ユニットリーダー研修とは?申し込み方法や内容・得られるメリットなど詳しく解説

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2024年4月22日(月)

目次

少子高齢化によりこれまで以上に介護への需要が高まっています。そのなかでも、今注目を集めているのが要介護者一人ひとりに寄り添った介護を実現するユニットケアです。ただし、ユニットケアを行うには、高い専門性や最新の知識、スキルを持ち、スタッフを統率できるリーダーの存在が欠かせません。そこで重要になるのがユニットリーダー研修です。

本記事では、ユニットリーダーの概要、求められる資質やスキルなどを紹介したうえで、ユニットリーダーを育成するユニットリーダー研修の内容、得られるメリットについてお伝えします。

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そもそもユニットリーダーとは

団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となる2025年問題を間近に控え、介護職の需要はこれまで以上に高まっていくと予測されます。ただし、要介護者一人ひとりの個性や日常生活のリズムは多様であり、画一的な対応では適切な介護は実現しません。

そこで求められるのがユニットケアであり、ユニットケアを行うスタッフを統率するユニットリーダーです。まずは、ユニットリーダーの定義、仕事内容、介護リーダーとの違いについて解説します。

ユニットリーダーの定義

ユニットリーダーとは、ユニットケアを行う施設で働くスタッフを管理する人物を指します。ユニットケアとは、要介護者を10人以下のグループにわけ、それを一つのユニット(単位)としてきめ細やかなサポートを行うケア方法です。

ユニットごとに専任のスタッフを配置し、要介護者一人ひとりの自主性やプライバシーを尊重しつつ、スタッフも含めたリーダーと要介護者が同じ施設で生活しながらそれぞれが望むサポートの実現を目指します。

ユニットリーダーはスタッフを管理するだけでなく、要介護者それぞれの状況に応じた対応が必要であり、高い専門性や経験、スキルの習得が必須です。ユニットリーダーはやるべきことや求められるものが大きく、介護職としてスキルアップにつながる役職といえます。

介護リーダーとの違い

介護におけるリーダー職には、ユニットリーダーのほか、介護リーダーがあります。ユニットリーダーと介護リーダーの仕事内容に大きな違いはないものの、対応する範囲が異なります。介護リーダーもユニットリーダーも、介護施設で働くスタッフの指導や管理をしつつ、要介護者とスタッフ間の調整も行います。

ユニットリーダーが担う要介護者の範囲は10人程度のグループ内のみに対し介護リーダーは、施設全体の統率を行う点がユニットリーダーとの違いといえるでしょう。また、ユニットリーダーと介護リーダーの大きな違いとして厚生労働省令で配置基準が定められているかどうかが挙げられます。

ユニットリーダーは、厚生労働省令基準でユニットごとに配置することが定められている一方、介護リーダーの配置は定められておらず、配置するかどうかは各施設の判断に一任されているのです。

ユニットリーダーの仕事内容

ユニットリーダーはユニットスタッフと施設利用者に関する仕事を行います。ユニットスタッフに関する仕事でユニットリーダーが担うのはスタッフの管理で、スケジュールやシフトの調整にくわえ、スタッフ教育も行います。

スタッフの動きを確認し、適切な指導や指摘を行いつつ、快適に働ける環境を整備するのがユニットリーダーに関する仕事です。一方、施設利用者に関する仕事は、要介護者や家族に対するケアや事務連絡のほか、スタッフだけでは解決できない相談ごとや苦情の対応などです。また、施設によっては入退居者の管理やユニット内でのイベントや行事ごとの企画進行を行う場合もあります。

 ユニットリーダーに求められる6つのスキル・経験

ユニットリーダーには、さまざまなスキルや経験が必要です。そのなかでもとくにユニットリーダーに求められる6つのスキルや経験を解説します。

  1. 介護の資格と実務経験
  2. リーダーシップ・向上心
  3. 指導力
  4. コミュニケーションスキル
  5. マルチタスクスキル
  6. マネジメントスキル

介護の資格と実務経験

ユニットリーダーには、さまざまな要介護者に対応できる高い専門性が求められます。そのため、介護現場でリーダーとなる資格・スキルがあると認められる介護福祉士の資格取得はオススメです。

介護福祉士になるには、3年以上の従業期間かつ540日以上の従事日数が必要なため、これからユニットリーダーになりたいといった場合は、まず実務経験を重ねて介護福祉士の資格取得を目指しましょう。

リーダーシップ・向上心

ユニットリーダーとしてスタッフを統率し、要介護者に適切なサポートを行うには、リーダーシップも重要な資質となります。スタッフに対して的確なタイミングで指示を出せなければ、要介護者が求めるサポートを行えず、要介護者とスタッフ間でトラブルが発生するかもしれません。そこで重要になるのがリーダーシップです。

介護に関する知識や専門性を高めることで、スタッフへの指示に説得力が生まれ、リーダーシップを発揮できるようになるでしょう。また、要介護者に対する快適なサポートを実現させるため、今何をすべきかを考える向上心も欠かせません。スタッフや要介護者からの相談に耳を傾け、最善のサポートができるように改善を繰り返していく向上心を持つことがユニットリーダーには求められます。

指導力

指導力もユニットリーダーに必要なスキルです。ユニットリーダーはスタッフを管理し、快適な環境を整備すると同時にスタッフ、とくに新人を育成することも重要な仕事の一つ。優れた指導力をもつリーダーは、スタッフを育成するだけでなく、スタッフのモチベーションを高め、スタッフ全体の士気向上にも大きく力を発揮します。

また、スタッフ本人でさえ気づけていないスキルをいち早く発見し、伸ばすことで要介護者やその家族が安心して生活できるユニットの構築も可能です。スタッフ一人ひとりの性格やスキルを把握し、それぞれに対し適切な育成を行える指導力を持つことは、ユニットリーダーになるための重要な要素だといえます。

コミュニケーションスキル

ユニットリーダーにはスタッフを育成し、指導するリーダーシップや指導力が必要なものの、それだけではチームとしてまとまらない場合もあります。そこで重要になるのがコミュニケーションスキルです。

ユニット内での良好なコミュニケーションの実現により、組織全体のパフォーマンス向上が可能になります。そのためには双方が意見を出し合ってコミュニケーションを図ることが重要です。

また、ユニットケアは要介護者一人ひとりの性格や個性に配慮したサポートが求められます。そのため、要介護者ともコミュニケーションを取り、今何を必要としているかの把握も欠かせません。つねに気配りを怠らず最善のサポートを提供するには、コミュニケーションスキルが必要不可欠なスキルといえるでしょう。

>>>「アサーションとは」

>>>コミュニケーション研修とは?内容や効果を引き出すポイントを解説

マルチタスクスキル

マルチタスクスキルとは、複数の作業を同時にこなせるスキルです。このマルチタスクスキルもユニットリーダーに欠かせないスキルといえます。ユニットリーダーは要介護者の状況に応じてすぐに動けなければなりません。同時にスタッフのスケジュール管理、要介護者の家族への連絡などの日常的な業務もこなしていく必要があります。

要介護者の家族への対応を含めた介護者としての仕事、リーダーとしてスタッフを管理する仕事、そして突発的な事態に対応する仕事と、ユニットリーダーはつねにこの3つの仕事を同時にこなしていかなければなりませんそのため、それぞれの仕事に優先順位をつけ、無駄なく進めて行けるマルチタスクスキルはユニットリーダーに必須のスキルです。

マネジメントスキル

ユニットリーダーに必要なマネジメントスキルとはスタッフのスケジュール管理や調整、介護計画の立案、ユニットの目標設定、予算管理などです。少子高齢化の影響で多くの業種で人材不足が慢性化しています。介護業界も同様で、2024年7月に公益財団法人介護労働安定センターが発表した「令和5年度介護労働実態調査」によると、介護事業所全体の人材不足感は65.9%となっています。(※)

少ない人材のなかで過不足のない介護を実現させるには、リーダーによる適切なマネジメントが欠かせません。限られた人材の効率的な配置、無理のない介護計画の立案、予算管理などは、ユニットリーダーのマネジメントスキルにかかっているといってよいでしょう。

※参考:公益財団法人介護労働安定センター「令和5年度「介護労働実態調査」結果の概要について」(PDF)

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ユニットリーダー研修とは

ユニットリーダーになるには、介護福祉士のような介護関連の資格取得が必要であると解説しました。しかし、介護に関する知識やスキルの習得以外に、スタッフ管理や介護計画立案などリーダーとしてのマネジメントスキルの習得も欠かせません。そこで必要なのがユニットリーダー研修の受講です。

ここでは、ユニットリーダー研修の受講目的や研修対象者要件、申し込み方法・費用などについて紹介します。

ユニットリーダー研修の受講目的

ユニットリーダー研修では、介護に関する知識の習得だけでなく、リーダーとしての資質やスキル、ユニットケアの理念と特徴などを学ぶことが最大の目的です。ユニットケアの概念を理解し、そのなかでリーダーとしてのマネジメントスキルの向上を目指します。

なお、ユニット型の特別養護老人ホームや介護老人保健施設、短期入所生活介護事業所などでは、施設の運営基準において、2名以上のユニットリーダー研修受講者を配置しなくてはなりません。地域によっては配置基準を満たさないと新規指定や指定更新が行われない場合もあるため、注意が必要です。

研修対象者の要件

ユニットリーダー研修の受講対象者は次の要件を満たしている必要があります。

  1. ユニットケアを行う施設に勤務しているもしくは勤務する予定がある
  2. 各ユニットにおいてリーダーとして指導的役割を担当している
  3. 都道府県知事から研修受講が適切であると認められている
  4. 一般社団法人日本ユニットケア推進センターの会長へ受講を推薦され、同センターによって受講が適切であると選考されている

なおユニットリーダーの選定人数は、前項で挙げたように原則2名以上であるものの、ユニット数が2つ以下の場合は1人でも構いませんまた、研修は「講義」「演習」「実地研修」によって行われます。

申し込み方法・費用

ユニットリーダー研修の実地研修は、全国に74あるユニットリーダー研修実地研修施設のうち、感染症対策を実施し、受け入れ態勢が整った施設で行われます。詳細については、一般社団法人日本ユニットケア推進センターのWebサイトで確認してください。

ユニットリーダー研修の申し込みは、基本的にオンライン受付のみです。一般社団法人日本ユニットケア推進センターのWebサイトにある「ユニットケア研修オンライン受講申込システム」から行います。なお、申し込む際は当該ページで利用規約に同意したあと、オンラインマニュアルのダウンロードが必要です。

ユニットリーダー研修では、「講義」と「演習」で5万円、実地研修で5万円に研修テキスト費3,000円の計10万3,000円がかかります。(※2024年1月時点)

ユニットリーダー研修の内容

ユニットリーダー研修は、厚生労働省老健局高齢者支援課通知にもとづき、都道府県および指定都市が一般社団法人日本ユニットケア推進センターに委託して開催されます。

日程は1日目にオリエンテーション、2日目、3日目は体験学習と1日ごとの振り返り、そして最終日の4日目は研修前に作成し、実地研修のなかで修正した行動計画書のプレゼンテーションです。また、4日間の実地研修の前に2週間〜4週間をかけ、自施設において行動計画書の作成や実践課題に取り組みます。次項から、4日間の研修内容について詳しく紹介します。

【実地研修】1日目|オリエンテーション

実地研修1日目の具体的な研修内容は次のとおりです。

  • 受講者の自己紹介、ユニットリーダー研修の目的や習得すべき知識、技術の説明などオリエンテーションの実施
  • 実地研修前に行った研修課題の提出と研修中の諸注意
  • 実地研修を行う施設の導入過程
  • 施設見学
  • 実地研修前に行った「講義・演習」の復習と確認テスト(※)
  • 施設内での体験学習

※「講義・演習」について。

  • 講義:ユニットケアを取り巻く社会的背景の確認、今後の高齢者介護施設や介護人材に求められる役割の理解
  • 演習:高齢者や高齢期に対する全人的理解、施設入居者を取り巻く環境の理解のほか、ユニットケアの理念や仕組み、安心快適な環境づくりなど

なお、コロナ禍では1日目〜3日目までの実地研修は、感染防止対策として、動画視聴型(eラーニング)、ライブ配信型(オンライン研修)が行われ、受講施設に入る前には抗原定性検査がありました。今後については、一般社団法人日本ユニットケア推進センターのWebサイトで確認をしてください。(※2024年1月時点)

【実地研修】2日目・3日目|体験学習・振り返り

2日目と3日目は体験学習と1日ごとの振り返りを行います。具体的な内容は以下のとおりです。

  • 1日目に続き、施設内での体験学習の実施
  • ユニットリーダーやほか職種の人同士による意見交換
  • 研修を行う敷地内において書類を用いた学習
  • 1日の振り返りの記入
  • 行動計画書の修正

学習書類は「掲示物や手帳など理念教育に関する資料」「ケア方針とケアマニュアル」「組織図と職務分掌(ユニットリーダーなど)」「事業計画書・ユニット目標」「リーダー会議およびユニットミーティング(議事録)」など。

2日目、3日目に行う「講義・演習」の具体的な内容は次のとおりです。

  • ユニットリーダーの役割
  • ユニットリーダーに求められる役割の理解
  • ユニットケアにおける個別ケアと自立支援
  • 介護専門職として求められるユニットケアのマネジメントに関する知識や技術の習得
  • ユニットリーダーに欠かせないユニット運営に関する知識や技能の習得
  • ユニットリーダーとしてユニットケアを展開するための実践課題の設定および施設における実践課題の実地計画作成

【実地研修】4日目|プレゼンテーション

4日目のプレゼンテーションでは、3日間で学んだことをもとに改善・修正を行った行動計画書の発表を中心に行います。具体的な内容は以下のとおりです。

  • 行動計画書の発表(各受講者が作成した行動計画書を発表する)
  • 行動計画書のプレゼンテーションへの助言・指導(行動計画書に対し、講師が助言・指導を行う)
  • 行動計画書の実践へのサポート指導
  • 質疑応答(受講者が講師に質問し疑問点や不安点の解消を行う)
  • 3日間の振り返り(提出課題冊子・ワークブックに研修で学んだことを記入する)

4日間の実地研修の終了後、実地研修実践報告書を事後課題として結果報告システムで報告します。実地研修実践報告書は、研修で学んだ内容を参考に受講者と施設管理者で作成してください。

ユニットリーダー研修で得られるメリット

ユニットリーダー研修の受講によって得られるメリットは多く、そのなかでもとくに大きいのはリーダー自身のスキル強化につながる点です。介護に関する知識や技術は介護福祉士や医療介護福祉士など介護資格の取得により得られます。しかし、リーダーとしての資質やスキルは介護資格だけでは得られません。

ユニットリーダー研修は、介護やユニットケアに関する最新の情報や知識習得にも効果を発揮するだけでなく、リーダーとしてのスキル向上に高い効果が期待できます。具体的にはスタッフへの指導や育成計画の立案、スケジュール管理、要介護者の家族とのコミュニケーションなどを適切に行えるようになるのです。また、リーダーとしてのスキル向上により、スタッフの行動を大きく変える効果も期待できます。

リーダーを育成する研修はオンラインがオススメ

ウェビナーの女性

ユニットリーダー研修の効果をさらに高めるには、オンライン研修の受講がオススメです。介護職は人材不足が慢性化しており、集合研修の実施はかんたんではありません。オンライン研修なら場所や時間を選ばずに集合研修を実施できます。

リーダーを育成するオンライン研修には、豊富なコンテンツからユニットリーダーの育成に役立つカリキュラムを選択できるmanebi ラーニングを活用すると、eラーニングとオンライン研修、双方により研修効果を倍増できます。

たとえば、介護リーダーシップ・部下のモチベーションアップ術・コーチング、チームビルディング・組織の方向性と価値観の共有・管理者に必要な印象管理術など、ユニットリーダーの育成に役立つコンテンツがそろっています。これらのスキルを習得すると、ユニットリーダー研修の効果もさらに高まるでしょう。

ユニットリーダー研修で基礎を学び実践につなげよう

ユニットリーダー研修とは、ユニットケアを行うスタッフを統率するリーダーとしての資質、スキルを高める研修です。スタッフの管理やユニットケアの行動計画を立案できるリーダー職は高い需要があるため、研修の受講でしっかりと基礎を学ぶことが重要となります。

ユニットリーダー研修の実地研修は4日間で行われるため、リーダーとしての資質やスキルを事前に学んでおけばより高い効果を得られるでしょう。そこでオススメなのがmanebi eラーニングです。

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