ビジネスの場において、イラッとする出来事が起こることもあるでしょう。そんなとき、自分の感情とうまく付き合えると多くのメリットがあります。人間関係が良好になるだけでなく、業務の効率化や生産性の向上にもつながります。
そこで今回は、「アンガーマネジメント」の概要から、その効果、メリット、具体的なノウハウまでを徹底解説します。
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資料をダウンロードするアンガーマネジメントとは
「アンガーマネジメント」とは、1970年代にアメリカで開発された、怒りの感情をマネジメントするための感情理解教育プログラムです。元々は身近な人に暴力をするDVや、軽犯罪を犯した人に対する矯正プログラムとしてカリフォルニア州を中心に実施が始まりました。
その後、大きな効果が見られたので、現在は全米の教育機関や企業でも導入されるケースが増えています。職場内での揉め事が減ったり、職場環境が良い雰囲気になったりなど、パフォーマンスの向上を目的に活用されています。
アンガーマネジメント研修の必要性
アンガーマネジメント研修は、階層別研修を行う際にその必要性を重視されます。例えば新入社員は、社会人としてのスタートにあたり、ビジネスマンとしての基本的な態度行動を身につける必要があります。
チームワーク、挨拶や言葉遣い、円滑なコミュニケーションを取る上で、怒りをコントロールすることはとても重要です。中堅社員は、上司・同僚・後輩に囲まれ、組織全体の中央に位置しています。仕事を遂行する中核的存在として、上司や後輩のパイプ役を果たしています。
実務のベテランという立場上、場合によっては独断専行の行動を取ってしまい、周囲への配慮に欠けることもあります。
アンガーマネジメント研修を行って、怒るべきことと怒らないことを分けられるようになれば、後輩や上司とのトラブルも減ります。上記のような理由から、職場においてアンガーマネジメント研修は今後ますます必要になってくると言えるでしょう。
アンガーマネジメントの考え方
アンガーマネジメントは、怒りの感情をコントロールすることで、健全な人間関係を作り上げていくための技術として活用されています。
アンガーマネジメントで考え方を大きく分けると2つです。「行動の修正」と「認識の修正」です。
「行動の修正」とは、「怒りのままに行動しない」という意味を指します。怒りによって周りの人と良好な人間関係を築くことを妨げるような行動を取っている場合、それを改善していく必要があります。「認識の修正」とは、頭の中に怒りにくい仕組みを作っていくことです。この2つはセットで、どちらかだけを修正・改善するということはありません。
「行動の修正」には、「衝動のコントロール」と「長期的な行動の修正」があります。「衝動のコントロール」とは、怒りを感じたときに余計なことを言わないようにする、ということです。「長期的な行動の修正」は、コミュニケーションのやり方を指します。
例えば、誰かに対して不満がある場合、誤解や不快感を生むような言葉を避け、上手に自分の意見が言えるようにコミュニケーションの仕方を学び直します。アンガーマネジメントでは、「問題行動を起こす要因は、認識に問題があるから」という考え方をします。
認知の歪みがあるため、その歪みを知って変えていく方法が「認識の修正」です。詳しい内容は後述しますが、怒りを記録するための「ストレスログ」を付けていくことがポイントです。
アンガーマネジメントの実践例
ディレイテクニック
「ディレイ」とは「遅らせる」という意味で、怒りの反応を遅らせるテクニックのことです。例えば、イライラすることを言われたときに深呼吸をすることも、そのひとつに含まれます。怒りを感じた瞬間、大きな深呼吸を4〜5回行います。
スケールテクニック
怒りの強さを数値で計算する方法です。怒りには、以下のような段階があります。
・軽くイライラしている怒り
・誰かに文句を言ってしまうような怒り
・腹いせに人を攻撃したり、物を投げたりするような強い怒り
怒りの段階を自分で測れるようになると、目の前の怒りに対処しやすくなります。
ストレスログを付ける
アンガーマネジメントの最も重要なポイントは、自分の頭の中に「怒りにくい仕組みを作ること」です。自分の置かれている環境をなるべく、怒りにくい状態にするために、ストレスログを付けます。以下のように、ストレスを4つに分類します。
1.「重要」かつ「自分で変えられる」
2.「重要」かつ「自分で変えられない」
3.「重要でない」かつ「自分で変えられる」
4.「重要でない」かつ「自分で変えられない」
自分がストレスに感じることを書き出し、次にストレスを上記の4つの基準で分類し、ストレスに優先順位を付けるやり方です。
アンガーマネジメントの効果
怒りをコントロール・マネジメントしやすくなる
怒りの感情に振り回されやすい人は、「その怒りは損か得か」という視点が足りていません。アンガーマネジメント研修を受けることで、以下のような視点を取り入れることができます。
・「この場面で怒ったところで、何か現実が良い方向に変わるのか?」
・「今怒ることによって大きな意味はあるのか?」
・「怒りを表すことで自分に一時的にプラスになることはあっても、長期的に考えたときに大きな損失になることがあるのではないか?」
怒りは、建設的な方向に向かえば素晴らしいエネルギーになります。そもそも、怒りそのものをゼロにしたり取り除いたりすることはできません。怒りという感情を目的達成にうまく活かし、有意義な方向に向けることを考えることが重要です。アンガーマネジメントを行うと、怒りをコントロール・マネジメントしやすくなります。
マネジメント業務に活かせる
何をどのように伝えるかが、コミュニケーションにおいては重要であり、アンガーマネジメントを行うことでそのやり方が身につきます。これはマネジメント業務にも活かせます。ここでひとつ具体例を挙げます。以下のどちらの言い方をされたほうが、聞き入れやすいでしょうか。
・強い口調で「明日までに報告書を提出しろと言っているだろ」
・穏やかな口調で「明日までに報告書を提出してもらえますか」
後者を選ぶ人が多いはずです。同じことを言うにしても、穏やかに丁寧に伝えることを心がけたほうがいいケースです。人を動かす立場にいる場合、怒りに任せて何かを言うことは、逆効果となります。自分の怒りを誰かにぶつけたとしても、相手を変えることはできず、相手の態度はより頑ななものになります。穏やかな口調を心がけ、ゆったりと振る舞うようにすることが重要です。
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資料をダウンロードするアンガーマネジメント研修を行うメリット
仕事のパフォーマンスが向上する
アンガーマネジメントでは、「何が原因か」よりも「どうなりたいか」を優先します。解決策に焦点を当てていく「ソリューションフォーカスアプローチ」と呼ばれる手法を用います。「ソリューションフォーカスアプローチ」とは、以下のことを意味します。
「なぜ自分は怒るのか?」と問題の原因を過去に遡って探すのではなく、「自分は怒りをコントロールしてどのようになりたいのか?」を考え、実行していくということです。
ここでひとつ具体例を挙げます。例えば、腹の立つ上司がいたとします。「なぜその上司に腹が立つのか?」という原因をいくら考えても、嫌なことばかりが思い出されてしまいます。
そうではなくて、「どうすれば上司と上手に関係を作っていけるだろう?」と考えたほうが、積極的に問題を解決できるようになります。
「上司と関係が良好になった場合、どういうふうに上司と会話をしているだろう?」
「自分はどのような感情で上司と向き合っているだろう?」
「それに対する周囲の反応はどのように変わっているだろう?」などの理想の場面をイメージします。
そして、その理想の状態と現実との間にあるギャップは何かを考えます。例えば、理想の状態では、上司とお互いに目線を合わせて会話をしているけれど、現実ではお互いに相手の目を見ずに会話をしているのであれば、そのギャップを埋めるために、目を合わせて会話をする必要があります。
ギャップを埋めるために行動を実践していきます。このような小さな変化をいくつも作り出し、何度も実行していくことで、いずれ上司との関係も良好になっていきます。
このプロセスを繰り返すことで課題解決能力が身につきます。仕事にも活かすことができ、パフォーマンスの向上にもつながります。
怒りの原因を追求することは、過去の怒りの感情を何度も思い出すことです。その際、かつての怒りを強めたり、新たな怒りを付け加えたりしてしまうことがあります。「思い出し怒り」が何度も繰り返されると、些細なイライラでもいずれは憎悪などの強い怒りに変わることがあります。
今できることに目を向け、「どうすれば相手と上手に関係を作っていけるのか」と考えたほうが、スムーズに物事が進みやすくなります。
職場内で健全な人間関係を築ける
前述した「ソリューションフォーカスアプローチ」を活用することで、職場内の人間関係のトラブル改善にも役立ちます。
相手と良好な関係が築けた場合、
・自分はどんなふうに相手と会話しているのか
・自分はどのような感情で相手と向き合っているのか
・相手は自分に対してどんな態度を取っているのか
・周りの反応はどのように変化しているのか
などの理想の場面をイメージします。
そして現実と比較し、そのギャップを埋めるために必要な行動を実践していきます。小さな変化を作り出していくことで自然と相手との関係も良くなっていきます。
アンガーマネジメント研修におすすめのツール
今回は、アンガーマネジメント研修の必要性、効果・メリットをご紹介しました。怒りをうまくコントロールできるようになると、健全な人間関係を築きやすくなり、仕事のパフォーマンス向上やマネジメント業務への活用も期待できます。
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