コンプライアンス対策を徹底解説|社員教育の進め方と実践手順

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2025年12月22日(月)

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ヒューマンキャピタルパートナーズ株式会社 代表取締役/人的資本経営・組織開発コンサルタント

堂前 晋平

組織・人材開発の専門家として、社員1万人を超える大手IT企業から10名以下の日本料理店まで、延べ500社・5万人超の支援実績を持つ。
大企業での営業経験を経て、ベンチャー企業にて支社設立・事業責任者・取締役としてIPO、さらに子会社設立を経験。上場企業のグループ人事責任者としてM&A後のPMIを担い、社員70名から400名への急成長を支援。これらの多様な経験を活かし、経営と人事の両視点から戦略的人材マネジメントを実践。日本経営品質賞本賞、ホワイト企業大賞、グッドカンパニー大賞などの受賞に寄与。2023年8月manebiのCPO(Chief People Officer)就任。現在はISO30414のリードコンサルタントとして人的資本経営の推進支援や社員研修の講師としても登壇中。

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企業におけるコンプライアンス対策は、法令遵守にとどまらず、企業の信頼性や持続的成長に直結する重要な経営課題です。本記事ではリスクの見える化、ルール整備、社員教育、違反時の対応までを体系的に紹介し、eラーニングによる効率的な進め方も解説します。

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自社のコンプライアンスリスクを見える化する

対策の第一歩は、自社に潜むリスクを正確に把握することです。資源を効果的に配分するため、以下の手順でリスクを浮き彫りにします。

業務フローの洗い出しと特定

自社のコンプライアンスリスクを把握するには、業務フロー全体を可視化することが重要です。各部門の業務プロセスを整理し、日常業務の中で違反の可能性が高い「ハイリスク業務」を特定しましょう。
例としては次のような業務です。

  • 金銭の授受を伴う経費処理や接待費の精算
  • 契約書の締結や見積もり交渉
  • 個人情報や機密データの取り扱い

各プロセスにおいて承認者が明確になっているか、チェック機能が働いているかを検証し、リスクの高い業務をリストアップしてください。

現場の課題把握(ヒアリング・調査)

実際に業務を担当している社員は、業務上の「やりにくさ」や「グレーゾーン」を日々感じています。こうした現場の声を集めることで、形骸化したルールや実態に合わない規程を発見できるでしょう。

質問項目には「ルールと実務が乖離している業務はあるか」「不正やミスが起きやすいと感じる場面はあるか」などを含めてください。

取引先リスク・反社チェック

自社内部のリスクだけでなく、取引先に関連するリスクも見逃せません。新規取引開始時はもちろん、既存取引先についても定期的なチェックを行う体制を整えましょう。

具体的な対策として、信用調査機関や反社チェックツールを活用します。契約書には暴力団排除条項を盛り込み、取引先情報はデータベースで管理します。また、取引先の財務状況や法令遵守状況についても、継続的にモニタリングする仕組みを構築することで、取引先起因のコンプライアンスリスクを最小化できます。

リスクの優先順位付け

洗い出したリスクを発生頻度と影響度の2軸でリスクを評価し、優先順位を決定しましょう。優先順位に基づいて、短期・中期・長期の対応計画を策定します。

  • 短期: 即効性のある施策を実施し、段階的に体制を強化する。
  • 中期: 教育体制の整備を進める。
  • 長期: 企業文化の醸成を目指す。


計画には具体的なKPIと達成時期を設定し、定期的に進捗を確認してください。

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実効性のあるルール・行動基準の整備

リスクを可視化した後は、それに対応する社内ルールと行動基準を整備することが必要です。

コンプライアンス基本方針を策定する

基本方針には、経営トップのコミットメントを盛り込み、法令遵守だけでなく社会規範や企業倫理の重要性についても言及します。

基本方針決定後は、全従業員に周知し、社内ポータルや社員手帳に掲載して、いつでも確認できる状態にしておきましょう。

就業規則・ハンドブックの更新する

就業規則や社員ハンドブックは、法改正や社会情勢の変化、自社の業務内容の変更に合わせて、定期的に内容を更新することが重要です。

特にハラスメント防止、情報セキュリティ、SNS利用に関するルールなど、近年重要性が高まっている項目については詳細に規定しておきましょう。また、違反した場合の懲戒処分についても明確に記載することで、抑止力が高まります。

周知・承認フローを仕組み化する

新しいルールや改定内容を確実に全従業員に伝えるための周知フローを確立しましょう。

具体的には、eラーニングシステムを活用して規程を配信し、受講完了と理解度テストの合格をもって周知完了とする方法が効果的です。周知状況は管理画面で一元管理し、未読者には自動でリマインドを送る仕組みを構築しましょう。

階層・テーマ別教育による意識の定着

ルールを整備した後は、それを従業員に理解させ、日々の業務で実践してもらうための教育・研修が不可欠です。

階層別研修の設計

コンプライアンス研修は、階層ごとに求められる知識とスキルは異なるため、それぞれに最適化された研修プログラムを設計してください。以下は階層別研修の構成例です。

階層主な目的研修内容例
経営層経営責任とリスク管理を理解し、コンプライアンス経営を推進・企業リスクと経営判断
・重大違反事例の共有
・ガバナンス体制の整備
管理職部下の違反防止と相談対応力を強化・違反予兆の察知方法
・報告・相談対応手順
・ハラスメント防止
一般社員日常業務での遵法意識を定着・基本法令と社内ルール
・情報管理
・SNS利用
・行動事例
新入社員自社基準の早期インストール・企業理念
・基本方針
・禁止事項の周知

実務リスクに直結する専門テーマ

全社共通: ハラスメント、情報漏洩、SNSリテラシー

部門別: 知的財産権(開発)、下請法・景表法(営業・マーケ)、労働法(人事)

コンプライアンス研修について、詳しく知りたい方はこちらをご確認ください。

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運営の実践ポイント

ここでは、研修の効果を最大化するための具体的かつ実践的なポイントをご紹介します。

ケーススタディ・ロールプレイを活用する

ケーススタディは、実際に起こり得るコンプライアンス違反の事例を題材に、参加者同士で議論しながら適切な対応を考える学習方法です。例えば、「取引先から高額な接待を受けた場合、どう対応すべきか」といった具体例を設定します。また、「上司からグレーな指示を受けた際、どのように行動すべきか」も取り上げます。

ロールプレイでは、参加者が実際にその場面の登場人物になりきって対応を体験します。通報窓口への相談場面や、部下からの相談を受ける管理職の対応など、実践的なコミュニケーションスキルを習得できます。これらの手法により、知識の定着だけでなく、実務での行動変容につながる学びが得られるでしょう。

理解度チェックとフィードバックを実施する

研修の効果を測定し、理解度チェックとフィードバックの仕組みを組み込みましょう。テストは選択式だけでなく、記述式や事例判断問題も含めると、より深い理解度を測れます。

フィードバックは、単に正解・不正解を示すだけでなく、なぜその選択肢が正しいのか、他の選択肢のどこが問題なのかを解説することが重要です。

フォローアップで学習を定着させる

研修後の1か月、3か月などの節目で復習テストを実施します。さらに、ミニケーススタディをメールで配信することで、知識の定着を促進できます。

モニタリングと違反発生時の対応

日々の業務の中でルールが守られているか、新たなリスクが発生していないかを継続的にモニタリングし、問題を早期に発見する体制が必要です。ここでは、実効性のある運用とモニタリングの方法を解説します。

相談窓口・通報制度を整備する

従業員がコンプライアンス上の疑問や違反行為を発見した際に、気軽に相談・通報できる窓口の設置は必須です。社内窓口だけでなく、外部の弁護士事務所に委託した社外窓口も用意しましょう。

内部監査・定期モニタリングを実施する

内部監査部門や第三者による定期的な監査を実施し、ルールが実際に遵守されているかをチェックします。監査では、契約書の記載内容、経費精算の適切性、個人情報の管理状況、ハラスメント防止策の実施状況などを確認します。問題が発見された場合は、担当部門に改善を求め、改善状況を継続的にモニタリングしてください。

違反発覚後の対応と再発防止策

どれだけ予防策を講じても、コンプライアンス違反が完全に防げるわけではありません。違反が発覚した際に迅速かつ適切に対応できるかどうかが、企業の信頼性や社会的評価に大きく影響します。ここでは、違反発覚後の初動対応から原因分析、再発防止策の立案まで、具体的な流れを解説します。

初動対応の手順を明確化する

違反の事実を把握したら、直ちに責任者や法務部門に報告し、情報の拡散を防ぐための措置を取りましょう。関係者に口外しないよう指示し、証拠となるデータや書類を保全します。

次に、顧客や取引先に損害が及んでいる可能性がある場合は、早急に対応を開始し、必要に応じて関係者への連絡や謝罪を行います。

以下は初動対応の基本的な流れです。

  • 違反の事実確認と責任者への報告
  • 証拠の保全と関係者への箝口令
  • 影響範囲の特定と被害拡大の防止
  • 関係機関や取引先への連絡

事実確認と関係者対応を適切に進める

初動対応の後は、違反の詳細な事実確認を行います。関係者へのヒアリングでは、違反者を一方的に責めるのではなく、なぜそのような行動を取ったのか、背景にどのような事情があったのかを丁寧に確認しましょう。

同時に、被害を受けた関係者への対応も進めます。顧客や取引先に迷惑をかけた場合は、速やかに事実を説明し謝罪するとともに、今後の対応策を提示します。適切な補償や再発防止策を示すことで、信頼関係の回復に努めてください。社内の被害者がいる場合は、心理的ケアや配置転換など、必要なサポートを提供します。

原因分析から再発防止策を立案する

事実確認が完了したら、違反が発生した根本原因を分析します。個人の故意や過失だけでなく、業務プロセス、教育体制、組織風土、管理体制など、複合的な要因を洗い出しましょう。「なぜその違反が起きたのか」を繰り返し問うことで、表面的な原因だけでなく深層の問題を発見できます。

原因分析に基づいて、再発防止策を立案します。個人への処分だけでなく、業務フローの見直しやチェック機能の強化を行います。ルールの明確化や研修内容の改善なども含め、組織全体で取り組む施策を具体化しましょう。再発防止策は文書化し、実施スケジュールと責任者を明確にして、確実に実行に移すことが重要です。

再発防止の教育をする

違反事例から得られた教訓は、今後の教育プログラムに反映させることで、組織全体の学びに変えることができます。実際に起きた違反事例を匿名化し、ケーススタディとして活用します。さらに、なぜその違反が起きたのかを分析した資料を研修教材に加えます。これにより、他の従業員にとって貴重な学習機会となります。

ただし、違反者の個人情報が特定されないよう配慮し、違反した個人を吊し上げるのではなく、組織として学ぶべき教訓を抽出する姿勢が大切です。

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eラーニングでコンプライアンス教育を効率化する

コンプライアンス教育を全従業員に継続的に実施するには、集合研修だけでは限界があります。eラーニングを活用することで、時間や場所を問わず効率的に学習を提供でき、受講状況の管理も容易になります。ここでは、eラーニングでコンプライアンス教育を効率化する方法を解説します。

自社ルールに沿って教材をカスタマイズする

既製のeラーニング教材は汎用的な内容になっているため、自社の具体的なルールや事例を反映させることで、より実践的な学習が可能になります。自社で作成した資料や動画をアップロードできるシステムを選びます。就業規則や社内ガイドライン、過去の違反事例などをeラーニング化すると効果的です。

受講状況の可視化とリマインドを自動化する

eラーニングの大きなメリットは、受講状況をリアルタイムで把握できることです。管理画面で誰がどの講座をどこまで受講しているか、テストの点数はどうか、未受講者は誰かを一目で確認できます。部署別、階層別の受講率を可視化することで、教育の進捗管理が容易になります。

モバイル・マイクロラーニングを活用する

長時間のeラーニング講座は集中力が続かず、学習効果が低下しがちです。5〜10分程度で完結するマイクロラーニング形式のコンテンツを活用することで、短い時間でも効率的に学習できます。

また、スマートフォンやタブレットで受講できるモバイル対応のシステムを選ぶことで、従業員は隙間時間を活用して学習できます。

〈コンプライアンス教育効率化チェックリスト〉

項目実施のポイント効果
業種・職種に合わせた
コンテンツ選定
・業種別・職種別に必要な法令を整理する
・一般+専門知識を組み合わせる
実務に直結した学習ができ、教育効果が高まる
自社ルールに沿った
教材カスタマイズ
・自社規程
・事例
・動画を教材に反映する
・現場に即した内容にする
当事者意識が高まり、実践的な理解が進む
受講状況の可視化と
自動リマインド
・受講率やテスト結果を自動集計
・未受講者に自動通知
管理負担を軽減し、受講率・定着率が向上する
モバイル・
マイクロラーニング活用
・5〜10分の短尺教材をスマホでも受講できるよう整備する隙間時間で学べ、学習継続と習熟度が向上する

コンプライアンス教育におけるeラーニングの活用については、こちらの記事でも紹介しています。

コンプライアンス研修でmanebi eラーニングが選ばれる理由

コンプライアンス教育を効果的に実施するには、適切なeラーニングシステムの選定が重要です。ここでは、manebi eラーニングがコンプライアンス研修に最適な理由をご紹介します。

AI搭載LMSによる最適な研修プラン提案

manebi eラーニングのAI搭載LMSは、各受講者の学習履歴、理解度、進捗状況をレポートとして出力し、企業のニーズに合わせた最適な研修プランを自動提案します。コンプライアンス研修の企画段階で、「どの教材を」「誰に」「どの順番で」受講させるべきかを悩む必要がありません。

オプション動画含む約8,000本の教材から業界・職種に合ったコンテンツ選定

manebi eラーニングは、オプション動画含む約8,000本の豊富な教材コンテンツを提供しています。コンプライアンスの基礎知識から、ハラスメント防止、情報セキュリティ、個人情報保護まで幅広く対応します。さらに、労働法や商取引法など、さまざまな企業研修テーマもカバーしています。

受講状況の自動リマインドと行動データの可視化

manebi eラーニングでは、受講登録や研修開始前後のリマインド、アンケート依頼などを自動化できます。期限前に未受講者へ自動的にメールが送信されるため、人事担当者が個別に連絡する手間が省け、受講率の向上にもつながります。

管理画面では、受講履歴、テスト点数、学習時間、受講ランキングなど、さまざまな行動データを可視化できます。

自社教材への柔軟対応と導入サポート

manebi eラーニングは、100GBまでの大容量ストレージを提供しており、自社で作成した動画やPDF資料、YouTube動画も簡単にアップロードして教材化できます。就業規則や社内ガイドライン、過去の違反事例など、自社固有のコンプライアンス教材を既製コンテンツと組み合わせることで、より実践的な研修プログラムを構築できます。

また、manebi eラーニングは導入から運用まで手厚いサポートを提供しています。専用担当者が丁寧な導入オンボーディングを行い、研修プランの提案、受講後の効果測定、長期的な教育計画まで伴走支援します。ITリテラシーに関係なく誰もが使いこなせる直感的なUIで、マニュアル不要で運用を開始できるため、導入の負担も最小限に抑えられます。

よくある質問

コンプライアンス研修はどの頻度で行うべきですか?

新入社員や中途入社者には入社時に必ず実施し、全従業員向けには年1回の定期研修が基本です。管理職や特定のリスクが高い部署には、半年に1回程度の頻度で実施することをおすすめします。

eラーニング中心でもコンプライアンス意識は高まりますか?

eラーニングは知識の習得には非常に効果的ですが、コンプライアンス意識を組織文化として根付かせるには、対面でのディスカッションやワークショップとの組み合わせが理想的です。

manebiの無料トライアルで何が体験できますか?

manebi eラーニングの無料トライアルでは、実際の管理画面と受講画面を使って、システムの使いやすさや機能を体験できます。受講状況の管理画面やレポート機能も確認できるため、導入後の運用イメージを具体的に描けます。

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