アダプティブラーニングとは？｜基礎知識からメリットまで解説

社員一人ひとりのスキルや学習ペースに応じた効果的な研修に移行する企業が増えています。本記事では、学習者の理解度や進捗に合わせて教材や学習順序を最適化する「アダプティブラーニング」について、基本概念から企業研修への導入メリットまで解説します。

オプション動画を含む約8,000の教材とAI搭載のLMSを持つmanebi eラーニング

アダプティブラーニングとは？｜他の学習手法との違い

アダプティブラーニングの定義

アダプティブラーニングとは、学習者一人ひとりの理解度や進捗データを分析し、最適な教材や学習ペースを提示する仕組みです。
一般的な研修とは異なり、個々のレベルや課題に合わせて内容を最適化できるため、効率的で効果の高い学習が可能になります。
こうした個別最適化の考え方は、教育現場だけでなく、社員育成やスキルアップを重視する企業でも注目を集めています。

他の学習手法との違い

アダプティブラーニングは、似た概念として語られる「eラーニング」「EdTech」「アクティブラーニング」と混同されることがあります。

これらはすべて「テクノロジーを活用した学びの形」や「学び方のアプローチ」を示す言葉ですが、アダプティブラーニングはその中でも学習データに基づいて内容を最適化するという点で異なります。

eラーニング

インターネットを活用した学習形態。時間や場所を選ばず学べる一方で、教材や進度はカリキュラムとして管理者が選定します。

EdTech（教育× 技術）

教育にテクノロジーを融合させた総称で、学習管理システム（LMS）やAI教材などを含む広い概念。アダプティブラーニングは、このEdTechの中でも「AIやデータ活用による個別最適化」に特化した一領域と位置づけられます。

アクティブラーニング

学習者自身が能動的に考え、発言し、参加することで理解を深める学習手法。グループワークやディスカッションなどを通じて学ぶ点が特徴であり、「どのように学ぶか」に焦点を当てています。一方で、アダプティブラーニングは「何を、どの順番で学ぶか」を最適化する点で異なります。

＜他の学習手法との比較＞

項目	アダプティブラーニング	eラーニング	EdTech	アクティブラーニング
学習の主体性	学習データをもとに最適経路を提示し能動的学習を支援	自分のペースで学習可能だが設計は固定	ツールで主体的学びを支援	学習者主体、議論や活動中心
学習内容の個別化	理解度・習熟度に応じて教材や課題を自動調整	基本は全員同一、選択制は一部	システム次第で個別対応可能	教材は共通だが学び方は個人差あり
評価・フィードバック	学習履歴・正答率を解析し個別フィードバック	テストやレポートで理解度確認。	AIやログ解析で定量評価可能	口頭・相互評価が中心
効果の範囲	学習成果の定着・効率化、学習体験最適化。	基礎学習のインフラ	教育全体の効率化・デジタル化	非認知能力や協働力の育成

アダプティブラーニングのメリット5つ

アダプティブラーニングを企業研修に導入することで、多くのメリットが得られます。ここでは、企業が特に注目すべき5つの主要なメリットについて具体的に解説します。

理解の定着と学習効率の向上

アダプティブラーニングでは、学習者の理解度に応じて教材の難易度が調整されることで、無理なく最適なペースで学びを進められ、理解が促進されます。さらに、段階的に難易度を上げる構成や、確認テスト・振り返りシートなどを組み合わせることで、学習内容を定着しやすい設計になっています。学んだ内容をすぐに復習・活用する流れを取り入れることで、記憶の定着と応用力の向上を同時に実現できます。

個別最適化された学習経路で受講率向上

アダプティブラーニングでは、学習者ごとに最適化された学習経路が設計されるため、無理なく自分のペースで学習を進められ、モチベーションの維持につながります。適切な難易度設定により達成感を得やすく、結果として研修の受講率や完了率が高まる傾向があります。

研修の評価と容易な成果の見える化

アダプティブラーニングでは、学習者の行動データが細かく記録されることで、研修成果の「誰が、どこでつまずいているか」が可視化され、評価が明確になります。進捗率・テスト得点・学習時間などを管理者向けダッシュボードで把握すれば、教材の改善や研修設計の見直しが迅速に行えます。

質の高い指導の実現

講師の力量に左右されず、各学習者に対して標準化された質の高い指導を実現できる点は、アダプティブラーニングの大きな利点です。学習履歴等をもとにシステムが定めた学習経路を提示することで、地域・部署を超えた教育格差の軽減も期待できます。

教材改善サイクルの迅速化

アダプティブラーニングでは、学習者の行動データをリアルタイムで分析できるため、教材の改善点を早期に把握し、短期間で内容を見直すことが可能です。正答率の低い問題や理解に時間がかかる箇所を特定することで、説明や構成を効果的に調整できます。

経験や感覚に頼らず、客観的なデータに基づいて研修内容を継続的に改善できる点が、アダプティブラーニングの大きな強みです。

自社研修で進めるアダプティブラーニング導入の5ステップ

Step1：導入目的を定める

まずは導入の目的と成功指標を設定します。「なぜ導入するのか」「どの課題を解決したいのか」を具体化することで、システム選定や運用方針が明確になります。

• 新入社員のスキル差への対応
• 管理職研修の効率化
• コンプライアンス研修の完了率向上

目的と指標を明確にすることで、効果測定や継続的改善がスムーズになります。

Step2：対象者を設定する

導入対象者を絞り、特定の部門や階層から小規模に始めるのが効果的です。新入社員研修や専門スキル研修など、成果を測りやすい領域から着手しましょう。

Step3：教材を小さな学習パートに分ける

教材を短い学習単位に分割します。理想は15〜20分程度で、一つの学習目標に焦点を当てます。

こうすることで、学習者は隙間時間を活用しながら自分のペースで学べます。また、内容を自由に組み合わせて、学習経路を個別に最適化できるようになります。

Step4：試験運用を行う

まずは限定対象で3〜6か月程度の試験運用を行います。システムの動作確認や学習データの収集、教材や設定の改善点を把握する期間です。

受講者のフィードバックを活かして設定を調整し、成功指標の達成状況を評価しましょう。効果が確認できれば本格展開に進み、課題があれば改善してから範囲を拡大します。

Step5：本格展開する

本格展開時には、管理者・受講者向けの説明会やトレーニングを実施し、学習データ活用や改善サイクルの共通認識を持つことが大切です。また、定期的な効果測定とレビュー体制を構築し、継続的に改善を行いましょう。

アダプティブラーニングを取り入れた研修設計の考え方

アダプティブラーニングは導入するだけでは効果が最大化しません。研修設計では、学習データを活用し、継続的に改善する運用体制を作ることが重要です

学習データを起点に研修を設計する

従来の「全員同じ教材・同じ進度で学ぶ」研修から、学習データを活かして成果につながる学びを検証する設計に転換します。

具体例：

• テスト結果や進捗データで理解が浅いテーマを把握
• 受講時間や再視聴の傾向から集中しやすい時間帯を特定
• 離脱が多いパートを見直して学習効率を改善

データ活用による改善サイクルを回す

PDCAのサイクルで学習データを活用し、研修の質を継続的に向上させます。
たとえば、以下のようなサイクルで運用すると効果的です。

サイクル	内容
Plan	目的・指標を設定し、収集データを明確化
Do	LMSで受講・テスト・フィードバックを実施
Chek	進捗・正答率・満足度を分析し改善点を抽出
Act	教材の難易度・順序・設問を見直して反映

人とシステムを組み合わせたハイブリッド運営

完全自動化は難しいため、管理者や講師が学習データを基に個別対応することで、効果的な学習支援が可能です。
具体的な運営方法としては、次のような工夫が考えられます。

• 理解度が低い受講者に補足教材や動画を提供
• 誤答傾向を分析しフォローアップ研修を実施
• 高得点者には発展課題を提示してモチベーション維持
• 管理者がダッシュボードで進捗を確認し次回研修を調整

このような「システム × 人」のハイブリッド運営により、個別最適化の精度を高めつつ、人間的なサポートも維持できます。

組織学習にデータを還元する

個々の学習成果を組織全体の知見に変えることで、人材育成の精度向上と学習文化の醸成につながります。
具体的な取り組み例としては以下が挙げられます。

• 部署ごとの理解度を分析し次年度の教育テーマを重点化
• 共通してつまずきやすいスキル領域を教材に反映
• 学習データを人事評価やキャリア面談の材料として活用
• 研修結果をレポート化し、経営層への説明資料として共有する

このように、研修データを組織知として活用すれば、人材育成の精度を高め、学習文化を継続的に育てられます。

企業におけるアダプティブラーニング活用と
manebi導入事例

アダプティブラーニングは、学習者一人ひとりの理解度や進捗に応じて学習内容を最適化する考え方です。新人研修や階層別教育で導入されるケースが増えています。

すべてを自動化するAIシステムがなくても、学習データを活用して運用を工夫することで、アダプティブラーニングの考え方を研修に反映することが可能です。eラーニングはその手段の一つとして、学習履歴やテスト結果を活用し、個別最適化を実現しやすくしています。

ここでは、アダプティブラーニングの方向性と、manebi eラーニングを活用した実践事例を紹介します。

manebi eラーニングでの実践例

事例1：株式会社ミツボシコーポレーション

対象	新入社員研修
取り組み	対面研修の一部をオンライン化し、社員が自分のペースで学習可能に
成果	研修コンテンツ（例：Excelスキル講座）を社員のリクエストに応じて柔軟に追加・改善

段階的に教材や学習順序を調整することで、アダプティブラーニングの「個別最適化学習」を実現しています。

株式会社ミツボシコーポレーションの導入事例詳細はこちら

事例2：株式会社ダイキアクシス

対象	全社員対象の内部統制研修と任意のスキル研修
取り組み	社員が興味に応じて学びたいコンテンツを選択可能にし、受講意欲を向上
運用の工夫	eラーニングで得た知識をOJT研修と組み合わせ、業務に活用

受講データをもとに個別フォローを行うことで、アダプティブラーニングの考え方を研修運営に反映しています。

株式会社ダイキアクシスの導入事例詳細はこちら

事例から見えるポイントは、システムの自動化そのものではなく、「学習データをもとに人が継続的に最適化する仕組み」です。具体的には以下の3点が重要です。

• 学習ログを定期的に分析し、教材や進行方法を改善すること
• 受講データを研修後のOJTや人材評価に活用すること
• 管理者がデータをもとに個別フォローを実施すること

まずはeラーニングの導入から｜manebiで始めるアダプティブラーニング的研修

アダプティブラーニングの導入には、教材設計や学習データの分析体制、継続的な改善コストなどの準備が必要です。まずは eラーニングを活用して段階的に学習の個別最適化を実現する ことが有効です。

manebi eラーニングの特徴

manebiは、AI搭載のLMSと豊富な教材で、効率的に研修を進めながら学習データを活用できる環境を提供します。
アダプティブラーニングの考え方を取り入れる第一歩として活用できます。

主要機能

• 約8,000本の研修教材（コンプライアンス・ハラスメント・情報セキュリティ・階層別研修など）
• AIによる研修プラン自動提案
• 学習履歴・理解度・進捗の可視化レポート
• 自社教材のアップロード・統合管理（最大100GB）
• テスト・アンケートで理解度測定
• 部署・個人別の学習状況ダッシュボード
• 多言語対応・動画編集・字幕生成

専任担当者の手厚い伴走サポート

導入前：研修課題のヒアリング → 最適なプログラム提案
導入後：24時間対応チャット、メール・電話・Zoomでの支援
導入運用中の教材改善や学習データ活用のアドバイス

→ 社内に専門知識がなくても、段階的にアダプティブラーニング的運用を実現可能

無料トライアルで効果を確認

manebi eラーニングでは、本格導入前に無料トライアルで実際の研修シナリオを想定した運用を試すことができます。自社の研修ニーズに本当にマッチするか、従業員が使いやすいと感じるか、期待する効果が得られそうかを、リスクなく検証可能です。トライアル期間中も専任担当者のサポートを受けられるため、疑問点をすぐに解消しながら評価を進められます。

よくある質問

manebiで自社の既存教材を使えますか?

はい、manebi eラーニングでは自社教材を自由にアップロードして活用できます。動画(MP4・MOV形式など)、PDF資料、YouTube動画も組み込むことが可能です。また、動画編集ソフト「Vrew」との連携により、手持ちの動画やPDFを簡単に教材化することも可能です。

manebi eラーニングはスマホで受講できますか?

はい、manebi eラーニングはスマートフォンやタブレットに完全対応しています。縦向き・横向きの両方に対応し、動画の画面サイズ調整機能や音声のバックグラウンド再生も可能です。また、学習進捗はクラウドで同期されるため、デバイスを切り替えても続きから学習を再開できます。