セクハラは職場環境の健全性を損ない、従業員の働きがいや生産性を低下させる深刻な問題です。この記事では、セクハラの基本的な定義や厚生労働省が定める分類、具体的な事例を通して、その実態と対策について解説します。企業が取るべき責務や防止策を知り、安心して働ける職場づくりを目指しましょう。
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セクハラとは、性的な言動で従業員に不快感を与える行為です。厚生労働省では、セクハラについて下記のように定めています。
職場におけるセクシュアルハラスメントは、「職場」において行われる、「労働者」(※1)の意に反する「性的な言動」に対する労働者の対応によりその労働者が労働条件について不利益を受けたり、「性的な言動」により就業環境が害されることです。
出典元:職場におけるハラスメント対策パンフレット|厚生労働省
厚生労働省が定める2種類のセクハラ
厚生労働省はセクハラを、
- 対価型セクシュアルハラスメント:性的な言動を受けた従業員がそれに抵抗・拒否した際、従業員に対して不利益な対応を行うこと
- 環境型セクシュアルハラスメント:労働者の職場環境が性的な言動によって不快な状態に変わり、働く際に無視できない程度の支障が生じること
の2種類にわけています。
それぞれについて見ていきましょう。
対価型セクシュアルハラスメント
従業員が性的な言動を受けてそれに抵抗・拒否した際、従業員に対する不利益な対応を行うこと。不利益な対応とはたとえば、下記のようなものです。
- 客観的に見て不利益な配置転換をする
- 昇進・昇格の対象から除外する
- 労働契約の更新を拒否する
- 減給する
- 降格する
- 解雇する
また厚生労働省は、対価型セクシュアルハラスメントの具体的なシーンについて、下記のようにまとめています。
・事務所内において事業主が労働者に対して性的な関係を要求したが、拒否されたため、その労働者を解雇すること。
・出張中の車中において上司が労働者の腰、胸などに触ったが、抵抗されたため、その労働者について不利益な配置転換をすること。
・営業所内において事業主が日頃から労働者に係る性的な事柄について公然と発言していたが、抗議されたため、その労働者を降格すること。
出典元:事業主の皆さん 職場のセクシュアルハラスメント対策は あなたの義務です!!|厚生労働省 P5
環境型セクシュアルハラスメント
性的な言動によって労働者の職場環境が不快なものに変わり、働くうえで無視できない程度の支障が生じること。たとえば性的な言動をされた結果、仕事で能力を発揮できなくなったり職場に行くのが怖くなったりなど、深刻な悪影響がおよんだ状況を指します。
また厚生労働省は、環境型セクシュアルハラスメントの具体的なシーンについて、下記のようにまとめています。
・事務所内において上司が労働者の腰、胸などに度々触ったため、その労働者が苦 痛に感じてその就業意欲が低下していること。
・同僚が取引先において労働者に係る性的な内容の情報を意図的かつ継続的に流布 したため、その労働者が苦痛に感じて仕事が手につかないこと。
・事務所内にヌードポスターを掲示しているため、その労働者が苦痛に感じて業務 に専念できないこと。
出典元:事業主の皆さん 職場のセクシュアルハラスメント対策は あなたの義務です!!|厚生労働省 P5
セクハラの3要件

セクハラの要件は、「職場で行われる」「労働者の意に反している」「性的な言動である」の3つです。それぞれについて見ていきましょう。
「職場」で行われる
職場とは、「労働者が業務を行う場所」のこと。しかし会社のオフィス内に留まりません。取引先との打ち合わせや出張先のように、業務に関わる場所であれば「職場」と考えられます。また、社外での飲み会などは、勤務時間外であっても「業務の延長線上にある」と考えられるため、こちらも職場だといえます。
「労働者」の意に反している
「労働者」には、正規雇用された正社員だけでなく、アルバイトや派遣社員、契約社員など、あらゆる雇用形態の労働者が含まれます。セクハラでは「労働者の意に反したものかどうか」が要件の一つとなるのです。
「性的な言動」である
セクハラには性的な言動が該当し、そこには男性から女性に対してだけでなく、女性から男性に対して、あるいは同性間での行為すべてが含まれます。よって加害者も、上司や同僚だけでなく、取引先や顧客など、職場内外を問わずあらゆる人物が考えられるのです。
どのようにセクハラを判断すべきか
職場におけるセクハラの状況は多種多様です。よってセクハラかどうかを判断するには、状況ごとに一つひとつ見ていく必要があります。厚生労働省が示す判断基準は以下になります。
- 性的な言動に該当するか
- 労働者が不利益を受け、又は労働者の就業環境が害されるか
性的な言動に該当するか
「性的な言動に該当するか」は以下の例があげられます。
性的な発言
- 性的な事実関係を尋ねること
- 性的な内容の情報(噂)を意図的に流布すること
- 性的な冗談やからかい
- 食事やデートへの執拗な誘い
- 自分の性的体験談を話すこと
など
性的な行動
- 性的な関係を強要すること
- 必要なく身体に触ること
- わいせつな図画(ヌードポスターなど)を配布・掲示すること
- 強制わいせつなどの犯罪行為
など
労働者が不利益を受け、又は労働者の就業環境が害されるか
「労働者が不利益を受け、又は労働者の就業環境が害されるか」に関しては、「被害者がどのように感じたのか?」を尊重し客観的な視点をくわえて判断します。
- 被害者が女性の場合:「平均的な女性労働者の感じ方」
- 被害者が男性の場合:「平均的な男性労働者の感じ方」
なぜセクハラ防止が重要なのか

まず知っておきたいのは「セクハラ防止は男女雇用機会均等法に基づいて事業主に定められた義務」という点です。こちらについては、後述する「セクハラに対する責務」で詳しく解説しています。またそのほか、セクハラを防止しない場合、多くのデメリットが生じる点も挙げられます。
従業員の働きがいと生産性向上
安全で働きやすい職場環境は、従業員の働きがいに直結します。従業員が安心して業務に集中できる環境を提供できれば、モチベーションも高まり、積極的な業務遂行を促すでしょう。得られるメリットの具体例は下記のとおりです。
- 業務効率の改善:従業員がストレスなく業務に取り組めるため、業務効率が向上
- 離職率の低下と人材育成:従業員の離職率を低下させ、長期的な人材育成に寄与
- チームワークの強化:健全な人間関係が築かれ、組織全体の協力体制が強化される
- 創造性の発揮:自由な意見交換が可能な環境は、従業員の創造性やイノベーションを促進する
また総合してこれらの効果により、企業全体の競争力も向上します。
企業イメージへの影響
たとえば、「あの企業でセクハラが起こった」となれば、企業としてのイメージは低下しますし、離職率が高まったり入社を希望する労働者も減ったりするでしょう。職場でセクハラが発生したにもかかわらず適切な対応が取られない場合、以下のような悪影響が考えられます。
- 社会的信用の失墜:ハラスメント問題が公になることで、企業の社会的評価が低下する
- 採用活動への支障:企業の評判が悪化することで、優秀な人材の確保が難しくなる
- 取引先からの信頼低下:取引先や顧客からの信頼を失い、ビジネスチャンスを逃す可能性がある
これらのリスクを避けるためにも、事業主は積極的にセクハラ防止対策を講じる必要があります。
セクハラの具体的な事例
厚生労働省の調査によるセクハラ被害の実態
まず、現在どのようにセクハラ事例が存在しているのか、令和6年3月に発表された「令和5年度 厚生労働省委託事業 職場のハラスメントに関する実態調査報告書(概要版)」から、ハラスメントに関する相談について見ていきましょう。
出典元:令和5年度 厚生労働省委託事業 職場のハラスメントに関する実態調査報告書(概要版)|厚生労働省 P7
同調査では、ハラスメントの相談があったと回答した企業の割合を過去3年間で高い順に見ていくと、セクハラは39.5%、そして就活等セクハラは0.7%あります。
次に、同資料から「過去3年間に相談があった企業における相談件数の推移(ハラスメントの種類別) 」を見ていくと、セクハラと就活等セクハラともに、11%ほどが「件数が増加している」と回答しています。
出典元:令和5年度 厚生労働省委託事業 職場のハラスメントに関する実態調査報告書(概要版)|厚生労働省 P8
このようにまだまだセクハラはビジネスシーンに残っています。早急に解決すべき課題だといえるでしょう。
実際に起きたセクハラの事例
実際、これまでどのようなセクハラが起きていたのでしょうか。判決が確定したセクハラの事例を見ていきます。
福岡セクシュアルハラスメント事件
事件の概要 | 出版社の編集長が社内外の関係者に向け、部下の女性について異性関係を含めた非難にあたる発言をしました。それにより部下の女性は退職を余儀なくされたケースです。 |
判決の要旨 | 編集長の発言は不法行為と判断され、出版社とともにその責任を問われました。また、このような不法行為が行われているにもかかわらず、環境の改善を図らなかった出版社の専務にも同様に責任が問われています。 |
大分セクシュアルハラスメント事件
事件の概要 | 会社代表取締役が、経営する会社で働く女性に強制猥褻行為といったセクハラを行ったもの。女性がこれに反応して厳しい態度を取り始めたところ、代表取締役は「能率又は勤務状態が著しく不良で、就業に適さないと認めたとき、その他の業務上の都合によりやむを得ない事由があるとき」という就業規則に基づいて、女性を解雇しました。 |
判決の要旨 | 女性が厳しい態度を取り始めた要因は、代表取締役からのセクハラにあると判断されました。よって、「就業規則の解雇事由に該当するとは言えない」とも判断され、代表取締役は女性に対して損害賠償責任を負うと判決が出ています。 |
セクハラ以外のその他ハラスメント
セクハラ以外にもハラスメントはさまざまあります。
- パワハラ: 職場において、上司を含めた立場が上にあたる人物が、優位な立場を利用し、適正な範囲を超えた行為を行って、相手に精神的・身体的な苦痛を与えること。
- モラハラ: 言葉や態度などを用いて相手に精神的な苦痛を与える嫌がらせのこと。たとえば無視や暴言といったモラルに反する行為が該当する
詳細は「ハラスメントの種類を一覧表でチェック!発生する要因とリスクも解説」を参照ください。
また昨今、マタハラも問題視されています。マタハラとは、妊娠や出産、育児を理由とした職場での嫌がらせや不利益な扱いのこと。
セクハラに対する企業側の責務
厚生労働省が定めたセクハラに対する責務「事業主が雇用管理上講ずべき措置」10項目
厚生労働省男女雇用機会均等法第11条では、職場におけるセクシュアルハラスメントについて、事業主に10項目の防止措置を講じることを義務付けています。
大項目 | 小項目 | 具体的に何をする? |
---|---|---|
1 事業主の方針の明確化及びその周知・啓発 | ⑴ 職場におけるセクシュアルハラスメントの内容・セクシュアルハラスメントがあってはならない旨の方針を明確化し、管理・監督者を含む労働者に周知・啓発すること。 ⑵ セクシュアルハラスメントの行為者については、厳正に対処する旨の方針・対処の内容を就業規則等の文書に規定し、管理・監督者を含む労働者に周知・啓発すること。 | ①セクハラに関する方針をはっきりさせ、「職場におけるセクハラは許されない」ことを、管理職を含む全従業員に伝える。 ②セクハラを行ったときは厳しく対処するというルールを就業規則に記載し、全従業員に知らせる。 |
2 相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備 | ⑶ 相談窓口をあらかじめ定めること。 ⑷ 相談窓口担当者が、内容や状況に応じ適切に対応できるようにすること。また、広く相談に対応すること。 | ③相談を受け付ける窓口をあらかじめ決めておき、プライバシーの保護を徹底する。 ④窓口の担当者は、内容にあわせて適切な対応ができるよう準備し、どんな相談にも対応できる体制を整える。 例・女性スタッフが対応する女性専用の窓口に設置。 |
3 職場におけるセクシュアルハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応 | ⑸ 事実関係を迅速かつ正確に確認すること。 ⑹ 事実確認ができた場合には、速やかに被害者に対する配慮の措置を適正に行うこと。 ⑺ 事実確認ができた場合には、行為者に対する措置を適正に行うこと。 ⑻ 再発防止に向けた措置を講ずること。(事実が確認できなかった場合も同様) | ⑤セクハラの疑いがあるときはすぐ、事実を正確に調査する。 ⑥事実が確認できたら、速やかに被害者が安心して働けるよう配慮する。 ⑦ハラスメントを行った人に適切な対応を取る。 ⑧ハラスメントが再び起きないよう対策を講じる。事実が確認できなくとも、再発防止のための取り組みを行う。 |
4 1から3までの措置と併せて講ずべき措置 | ⑼ 相談者・行為者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じ、周知すること。 ⑽ 相談したこと、事実関係の確認に協力したこと等を理由として不利益な取扱いを行ってはならない旨を定め、労働者に周知・啓発すること。 | ⑨相談者や関係者の個人情報を守るための対策を行い、従業員にもその方針を周知する。 ⑩相談や調査への協力を理由に、不利益な扱いをしないとを決め、それを全従業員に知らせる。 |
男女雇用機会均等法で定められたセクハラについての措置
男女雇用機会均等法では、セクハラについて下記のように定めています。事業主はこれを守らなければなりません。
第11条 事業主は、職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により当該労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。
2 事業主は、労働者が前項の相談を行ったこと又は事業主による当該相談への対応に協力した際に事実を述べたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。
3 事業主は、他の事業主から当該事業主の講ずる第1項の措置の実施に関し必要な協力を求められた場合には、これに応ずるように努めなければならない。
出典元:職場におけるハラスメント対策パンフレット|厚生労働省
令和元年に施行された法改正の変更点
令和元年の法改正では、
- 「事業主に相談した」などを理由とする不利益取扱いの禁止
- 自社の労働者が他社の労働者にセクハラを行った場合の協力対応
の2点がセクハラ防止対策にくわわりました。
「事業主に相談した」などを理由とする不利益取扱いの禁止
「相談」などを理由に労働者へ不利益取扱い(降格や減給など)をしてはならないものです。
自社の労働者が他社の労働者にセクハラを行った場合の協力対応
- 他社の労働者から自社の労働者がセクハラを受ける
- 自社の労働者が他社の労働者にセクハラを行う
場合もあるでしょう。このようなとき事業主は、雇用管理上の措置として、相談へ適切に対応しなくてはなりません。
また後者のように自社の労働者が他社の労働者にセクハラを行った際、他社が行う事実確認や再発防止などの措置について協力を求められた際、事業主は応じる必要があります。
セクハラは労災保険の対象となる
厚生労働省は、セクハラが原因で精神的な障害を発症した際、下記3つの要件を満たしたときは労災保険の対象になると定めています。
① 認定基準の対象となる精神障害を発病していること ① 認定基準の対象となる精神障害を発病していること
② 精神障害の発病前おおむね6か月間に、業務による強い心理的負荷が認められること
③ 業務以外の心理的負荷や個体側要因により精神障害を発病したとは認められないこと
出典元:セクシュアルハラスメントが原因で精神障害を発病した場合は労災保険の対象になります|厚生労働省
また②については、
- 心理的負荷の判定を「強」「中」「弱」の3段階から総合評価
- 心理的負荷が「強」と評価されるときに②を満たすものとする
とも定めています。
セクハラに対する労働者の責務

男女雇用機会均等法11条の2第4項では、
労働者は、性的言動問題に対する関心と理解を深め、他の労働者に対する言動に必要な注意を払うとともに、事業主の講ずる前条第一項の措置に協力するように努めなければならない。
と労働者に対しての責務を定めています。
わかりやすく言えば、
- 労働者はセクハラに対して関心を持ち、理解を深める
- 他の労働者に対する言動がセクハラにならないよう注意する
- 事業主に定められた措置に対して協力する
ものです。
セクハラ加害者が負う責任
セクハラの加害者は、刑事上・民事上・社内の処分と3つの場面で責任を負います。それぞれについて見ていきましょう。
刑事上の責任
強制的な性的行為を強要した場合
被害者が逆らえないような暴力や脅しを使って性的行為を強要した場合、加害者には強制性交等罪(刑法177条)や強制わいせつ罪(刑法176条)が適用されます。たとえば、女性が嫌がっているのに無理やり胸に触れる行為は、強制わいせつ罪に該当します。
暴力を伴う場合
強制性交等罪や強制わいせつ罪に該当しない場合でも、ハラスメントの際に暴力がくわえられていれば、暴行罪(刑法208条)や傷害罪(刑法204条)に問われる可能性もあります。
名誉を傷つける発言をした場合
セクハラの中で発言による名誉毀損罪や侮辱罪が成立する場合もあります(刑法230条、刑法231条)。
例として、職場で「あの人は不倫をしている」や「あの人の異性関係は乱れている」などと噂を広めた場合です。もし内容が事実であっても、名誉毀損罪に該当する可能性があります。
民事上の責任
損害賠償責任(民法709条)
加害者は、不法行為として被害者が受けた損害を賠償する義務があります。セクハラによって被害者が精神的な苦痛を受けた場合、加害者はその精神的損害を埋めるために慰謝料を支払う必要があります。
名誉毀損による損害賠償
たとえば、「あの人は不倫をしている」などの噂を流し、それが原因で被害者の評判が落ちた場合、加害者は「名誉を傷つけられた」という損害に対しても賠償しなければなりません。
社内の懲戒処分
加害者は、会社から懲戒処分を受ける可能性もあります。セクハラ行為は通常、就業規則で懲戒の対象とされているため、減給や停職、場合によっては解雇などの処分が行われることがあります。
セクハラ研修がセクハラの発生を抑止する
セクハラ研修をしっかり受けていれば、さらなるセクハラ防止に役立ちます。ここでは、セクハラ研修について、目的や内容などを解説します。
セクハラ研修の目的
セクハラ研修は、従業員一人ひとりの意識改革を促し、職場全体でハラスメントを防ぐ環境を整えるために行われます。研修の主な目的は次の通りです。
- 意識改革:セクハラ行為の具体例やその影響を理解させて、未然防止への意識を高める
- 知識習得:セクハラの定義や法律的な位置づけを学んで、問題の理解を深める
- 行動変容:従業員が職場内で適切な言動を心がけるように整え、心理的安全性の高い職場を築く
セクハラ研修を通じて、組織全体でハラスメントゼロを目指すとよいでしょう。
セクハラ研修が社内にもたらす変化
セクハラ研修を実施すると、社内にはさまざまなプラスの変化が生まれます。以下にその具体例を挙げます。
- 具体的な事例を通じた理解:従業員が研修を通じてセクハラの具体例やその影響を学ぶと、無自覚な言動によるトラブルを防止できる
- 従業員の意識の変化:セクハラの重大性を理解すると、個人の意識が高まり、相手を尊重する姿勢が醸成される
- 組織全体の変革:ハラスメントのない職場環境を目指すと、心理的安全性が向上し、従業員のモチベーションや生産性も高まる
セクハラ研修の実施方法や形式:
セクハラ研修の形式は、業務形態や従業員のスケジュールに応じて柔軟に対応するとよいでしょう。これにより、従業員が無理なく研修を受けられる環境を整えられます。また講義形式だけでなく、ディスカッションや実例を交えたワークショップを取り入れれば、受講者が主体的に参加できる研修を設計可能です。
①集合研修 (自社運営) | 自社スタッフで研修を主催します。自社の課題にあわせて研修を自由にカスタマイズできるうえ、外部への経費支払が発生しません。一方、教材の制作から講師まで、自社で賄うため、社員の工数を大幅に確保しなければならないでしょう。また、教材の作成や講師を務めるノウハウを持つ適任者の存在が前提となります。 |
②集合研修 (外部委託型) | 外部の研修・セミナー会社が企画・主催する集合研修に従業員を参加させるもの。完成した教材とプロの講師による研修が行われるうえ、人事担当者の負荷が少なく実施できます。一方、研修のカリキュラムが画一的、もしくは限定的になる傾向にあるうえ、必ずしも自社の状況を踏まえているものとは限りません。研修の成果を十分に得るためには、この点を考慮し、ほか研修との併用を検討するのも大切です。 |
③集合研修 (講師派遣型) | 研修会社から講師を招き、社内で実施するタイプです。事前に職場環境を踏まえたカリキュラムをカスタマイズすれば、自社の実情に合った研修となるため、高い効果が期待できるでしょう。ただし、講師の派遣に伴う交通費や宿泊費は通常、依頼者側が負担します。また、社内で会場が用意できなければ、外部の会場を手配しなければなりません。 |
④オンライン研修 (ライブ型) | Zoom、TeamsなどのWeb会議ツールを用いて、講師がライブ放送で研修を行います。ネットがつながる場所ならばどこからでも研修を受けられるうえ、一度に大人数に対して研修を展開できます。一方、ライブ配信ゆえ、時間の拘束を受けます。また受講者のリアクションが把握しにくい点はデメリットかもしれません。 |
⑤オンライン研修 (eラーニング/LMS) | オンデマンド(録画など)の教材で学ぶタイプです。オンデマンドのため、受講者は場所を問わず、自分の空いている時間で研修を受けられるため、大人数への研修も可能です。一方、オンラインのため受講者のリアクションが把握しにくくなります。LMS(学習管理システム)を通じて、受講者の学習の理解度を管理していく必要があるでしょう。 |
⑥ブレンディッドラーニング (オンライン研修+集合研修) | オンライン(eラーニング/LMS)と集合研修を組み合わせて研修を行うタイプです。たとえば、オンライン研修の予習でまず基礎知識を学んでから、ワークショップ型の集合研修を行い、さらにオンライン研修で復習とテストを行うなど。これにより理解が深まるでしょう。 研修の手法の中で、最も成果が出やすいタイプです。ブレンディッドラーニングのご相談はこちら |
セクハラ研修の実施のポイント
セクハラ研修では、以下のような内容を網羅的に扱います。
- 基礎知識:セクハラの定義や具体的事例から、問題点を視覚的かつ実践的に学ぶ
- 対応策と行動規範の提示:セクハラが発生した場合の適切な対応策や、予防に向けた具体的な行動規範を学ぶ
セクハラ研修後は、理解度チェック・テストを実施
研修終了後は必ず、内容を反映したテストを実施し、受講者の理解度を測定します。即時にフィードバックを提供すれば、疑問点や不足している箇所を補えるでしょう。
セクハラ研修の資料を共有する
セクハラ研修で学ぶ内容を資料にまとめ、いつでも使えるよう共有します。これにより、全社での「ハラスメントゼロ」意識も高まるでしょう。
ほかハラスメントについても学ぶ
ハラスメントといってもその種類はさまざまあります。ほかのハラスメントについても学ぶと、より一層理解が深まるでしょう。
ハラスメント研修については「ハラスメント研修とは?防止研修の内容や実施ポイントについて解説」を参照ください。
セクハラ防止に役立つ心理的安全性の高い職場環境作り
研修以外でセクハラ防止に取り組める「心理的安全性の高い職場作り」とは、下記の方法です。
- オープンなコミュニケーション環境の整備
- 「謝罪と受け止め」の習慣化
- 心理的安全性に関する定期的なモニタリング
- 管理職に向けた研修を別個実施する
オープンなコミュニケーション環境の整備
職場で自由に意見が言える環境を整えると、心理的安全性の基盤となります。以下を実践するとよいでしょう。
- 定期的なミーティングや1on1の導入:個別の対話の場を設け、上司が部下の意見を聞きやすい仕組みを整える
- フィードバック文化の構築:従業員同士がポジティブかつ建設的なフィードバックを交換できるよう、トレーニングを行う
- アンケートや感想共有:「職場で改善してほしい点」「自分が働きやすいと思う環境」などのテーマで意見を募る
- ディベートや意見交換の場を設ける: 定期的に意見交換の場を設け、従業員が安心して議論できる機会を提供する
- 感情的な対応を避けるトレーニング:衝突が起きた際、感情的にならず冷静に対応できるよう、トレーニングを実施する
「謝罪と受け止め」の習慣化
上司が部下から「不快だった」と指摘を受けた場合、対話を通じて相互理解を深める習慣を作ります。
- シンプルな謝罪の促進:指摘を受けたとき「ごめん」「気づかなかった」など簡潔に謝罪し、対話の糸口をつかむ
- 意図の説明を建設的に行う:自分の発言や行動の意図を冷静に伝えて、誤解を解消しやすくする
心理的安全性に関する定期的なモニタリング
心理的安全性の向上状況を把握し、継続的な改善を行います。
- 職場環境の定期的な調査:心理的安全性に関するアンケートや評価システムを導入し、従業員の声を反映する
- フィードバックを元に改善施策を実行:調査結果をもとに、具体的な改善策を計画・実行する
管理職に向けた研修を別個実施する
管理職が知らないうちに加害者にならないためにも、管理職研修やマネジメント研修などで部下との接し方や建設的な対話スキルを学べる研修を取り入れるとよいでしょう。たとえば下記のような内容です。
- ハラスメントの防止策
- マネジメントの方法
- コミュニケーションスキル
- 管理職の役割
- 部下への指導
マネジメント研修についての相談はコチラ。
上司にとってのメリットを共有
また同時に、管理職研修やマネジメント研修で学ぶと、上司にとっても大きなメリットがあると周知します。
- ハラスメントの加害者になるリスクを軽減:部下が気軽に指摘してくれる環境を整えれば、上司自身も誤解を未然に防げる
- 業績向上につながる職場環境の実現:部下の意見を取り入れると、業務効率やイノベーションが生まれる可能性が高まる
心理的安全性を高める施策を一貫して実施すれば、職場全体の雰囲気が改善します。ハラスメントが起こりにくい、活気ある職場づくりを目指せるでしょう。
セクハラ研修の活用で安全な職場環境作りを

セクハラは社内外のさまざまなところで起こりやすいです。そのようなセクハラを防ぐには心理的安全性の高い職場作りが役立つでしょう。
しかし最も効果が高いのはセクハラ研修といえます。なぜなら理解を深めながら確実な対応策を学べるからです。セクハラ研修を活用して、安全な職場環境作りに努めてみてはいかがでしょう。
「manebi」のセクハラ研修5つのメリット
manebiが持つセクハラ研修5つのメリットを解説します。
カスタマーサクセスによる手厚い伴走支援
カスタマーサクセスが、体制構築から効果測定まで手厚く伴走・支援します。またeラーニングの活用、教育体制構築に向けた研修プランの提案や研修後の振り返りまで幅広いサポートも可能です。
豊富な実績
manebiは3,500社が導入し、継続利用率は99%と豊富な実績を持っています。
幅広いコンテンツと理解度チェック
10分程度でサクッと学べる教材から60分以上の教材まで幅広く搭載。また、社内検定や理解度チェックができるテスト機能も搭載しており、深みのある教育が可能です。
ニーズに合わせて研修方法を選べる
eラーニングとオンライン研修、ニーズに合わせて研修方法を選べます。もちろん専門講師による集合研修も可能です。さらに、eラーニングでのインプットに、アウトプット中心の集合研修プログラムもプランに組み込めます。
自社コンテンツを使った独自研修の作成やナレッジシェアもかんたん
PDFや動画など自社コンテンツのアップロードや管理もかんたんです。活用によって、自社コンテンツを教材とする独自の研修も作成できます。また、理念の浸透や情報・ノウハウ共有といったナレッジシェアにも便利です。
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