マインドフルネスとは?実践方法や訓練のポイントをわかりやすく解説

  • マインド研修

2024年4月22日(月)

目次

「社員のヘルスケアのためマインドフルネスを理解したい」と考えている人事担当の方もいるのではないでしょうか。本記事では、マインドフルネスの概要やメリット、実践方法や訓練のポイント、具体例や注意点、効果を得る方法やオススメのツールなどを紹介します。それぞれわかりやすく解説するので参考にしてください。

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マインドフルネスとは

マインドフルネスは古代の仏教に起源を持つ伝統的な瞑想方法であり、宗教的な要素を取り除いたアプローチです。ここでは、マインドフルネスの定義と、マインドフルネスが企業に注目される理由について解説します。

マインドフルネスの定義

1960年代にマインドフルネスストレス低減法を開発・実践したJ.カバットジン氏によると、マインドフルネスは「価値判断することなく意図的に、今この瞬間に注意を向けること」と定義されています「〜であるべき」といったマインドレスな思考に陥らず、より生き生きと自分らしくあるための考え方がマインドフルネスです。個人の先入観や価値観にとらわれず、今この瞬間に起きていることに真摯に向き合う姿勢を示しています。

マインドフルネスが企業に注目される理由

マインドフルネスが企業に注目されている大きな理由は、社員のメンタルヘルス向上が期待できること。社員がメンタルヘルスを悪化させる主な要因として、労働過多による精神的な負荷、仕事の意味や価値の欠如からくるモチベーションの低下などが考えられます。

このような企業が抱える課題の解決につながる方法として注目されているのが、マインドフルネスメソッドです。マインドフルネスメソッドはGoogle社が開発した方法であり、不安やストレスを軽減する手段として浸透しています。

また、マインドフルネスの実践によりマネジメントスキル、クリエイティビティ、プレゼンテーションスキルの向上につながるという点も多くの企業が注目している理由です。マインドフルネスの実践で得られる具体的なメリットについては次章で詳しく解説します。

マインドフルネスの実践で得られる5つのメリット

マインドフルネスの実践で得られるメリットには以下の5つがあります。

  1. 集中力が養われる
  2. 自分に対する気づきを得られる
  3. 洞察力や直感力を高められる
  4. ストレスや不安を軽減できる
  5. 夜しっかり眠れるようになる

集中力が養われる

マインドフルネスによって集中力を養える理由に瞑想の効果があります。瞑想によって心のゆれを取り除けるため、目の前の物事に深く集中する能力が身につくのです。また、瞑想の継続は集中力をより向上させると考えられています。

実際、マサチューセッツ総合病院、ハーバード大学医学部などが2010年に実施した研究結果において、マインドフルネス実践者の側頭頂接合部、後帯状皮質、小脳の灰白質濃度の増加が確認されています。(※)マインドフルネスの実践が記憶力や判断力の向上につながった事例です。

※参考:National Library of Medicine「PMC3004979」

自分に対する気づきを得られる

マインドフルネスの実践によって自分の感情や長所・短所に気づけます。その結果、感情をコントロールしやすくなるため、仕事のパフォーマンスが向上するでしょう。企業で働く社員は、さまざまな業務にかかわりつつ、締め切りや課題、同僚や上司の状態など、多岐にわたる要因に対処しなければなりません。

しかし、物事を多く抱えると判断力が低下し、仕事のパフォーマンスを損なう可能性もあります。マインドフルネスによって内省を促進し、業務の優先事項を明確にすることで生産性の向上が期待できるのです。

また個人がマインドフルネスによって得る効果は組織全体に波及するため、。個人の心身の健康が向上すれば、メンタルヘルスの問題も軽減され、企業の労働力も安定するでしょう。

洞察力や直感力を高められる

マインドフルネスによって思考が整理されると、余計な考えや不安に悩まされる機会が減少し、目の前の問題にフラットな視点で対処できます。雑多な考え方が排除された結果、新たな発想が生まれやすくなるでしょう。また、物事をありのまま受け入れることで洞察力や直感力がアップする可能性もあります。

昨今、ビジネス環境に急激な変化をもたらした原因の一つは、人材不足や働き方改革です。今までと同じ考え方では、変化への対応が難しくなるかもしれません。マインドフルネスによって柔軟かつ創造的な思考を養うことは、企業が将来的に飛躍するために大切です。

ストレスや不安を軽減できる

ストレスや不安は主に過去や未来の出来事に対して抱くもの。マインドフルネスの実践で今この瞬間に意識を向けることにより、ストレスや不安の軽減につながります。過去の後悔や未来の不安ばかりを無駄に考えなくなるのです。また、マインドフルネスによって悲しみ、怒り、寂しさのような感情に気づきやすくなります。その結果、自身を客観的に観察できるため、感情をコントロールしやすくなるでしょう。

夜しっかり眠れるようになる

「不安やストレスが重なると寝つけない」という人も少なくありません。マインドフルネスの実践により、心と身体が同時にリラックスできるため、呼吸が深くなり睡眠の質がアップする可能性があります。交感神経と副交感神経のバランスが整うため、よく眠れるようになるのです。

【基本】マインドフルネスの実践方法・訓練2つのポイント

マインドフルネスの実践方法・訓練の基本として、「瞑想の流れ」と「呼吸のやり方」を解説するので参考にしてください。

瞑想の流れ

瞑想の効果を高めるには途中であきらめずに続けることが大切です。具体的なやり方として以下の方法があります。

  1. 呼吸を整えて続ける
  2. 呼吸に意識を集中する
  3. 引き続き呼吸に意識を集中する
  4. 雑念に対処する
  5. さらに呼吸に集中する

まずは呼吸を整え、目を閉じるか薄く開いた状態で呼吸を続けます。普段どおりの呼吸を意識してください。次に意識を呼吸に集中します。頭に雑念が浮かんでもやめる必要はありません。仕事やプライベート、ほかの些細なことが浮かんでも受け流してください。

呼吸に意識を集中させていくうちに、再び雑念が浮かんでくるかもしれません。その際は「今は不安な気持ちを抱えている」「いらだっている」などと認識することが大切です。それにより、自分の状態に気づけるので、雑念を意識の外に流しやすくなります。

雑念が浮かんだら「雑念、雑念」と心のなかでつぶやき、「戻ります」と呼吸に意識を戻す方法もオススメです。マインドフルネスの瞑想は1日10分程度でかまいません。続けていくうちに、長時間の実践が可能になるでしょう。

呼吸のやり方

マインドフルネスは呼吸のやり方が重要です。無理に呼吸をコントロールしようとせず、ラクな気持ちで反復してください。基本の呼吸方法は次のとおりです。

  1. 姿勢よく座る
  2. 息を吸う
  3. 息を吐く

まず背筋を伸ばして座りましょう。基本的には床に座って足を組みます。難しい場合はイスに腰をかける方法でも大丈夫です。次に、鼻からゆっくり息を吸い込みます。空気が自分の身体を満たす感覚を大切にしてください。

おなかや胸のふくらみを感じながら、「ふくらみ、ふくらみ」と心のなかでつぶやきます。おなかや胸がふくらんだあと、鼻からゆっくりと息を吐きます。吸うとき同様、身体が空気をとおる感覚が大切です。おなかや胸がちぢむことを感じながら、「ちぢむ、ちぢむ」と心のなかでつぶやきましょう。

上記の呼吸法を60秒〜90秒ほど続けることにより、瞑想の準備が整います。

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マインドフルネス3つの具体例

マインドフルネスは基本のやり方以外にも次の方法があります。

  1. ボディー・スキャン
  2. 歩行瞑想法
  3. マインドフル・イーティング

ボディー・スキャン

身体の感覚を細かく確認しながら行う瞑想法です。ボディー(身体)をスキャン(精査・確認)するという意味があります。

やり方のポイントとして、まずはリラックスできる体勢になりましょう。ゆったりと立ったり、イスに座ったりしてかまいません。目を閉じて呼吸を整えたあと、身体の各部位の感覚を丁寧に確認していきます。太陽光や懐中電灯のライトによって各部位をチェックするイメージです。

ボディー・スキャンの途中で不快な感覚を感じた場合は、呼気と一緒に吐き出します。その後に再度、身体の各部位の状態を確認しながら呼吸を繰り返しましょう。

歩行瞑想法

歩きながら行う瞑想法です。日常生活の合間に実践できるため、忙しい人や、同じ場所での集中が苦手な人にもオススメです。歩行瞑想法の内容自体は、ほかの瞑想法と変わりません。

呼吸に合わせて身体の各部位に注意を向けます。視線を前方に向けてゆっくり歩き、呼吸や手足の動きに集中するのがポイントです。ただし、音楽が流れていると集中しづらいので注意してください。歩行瞑想法を行う際は、可能な限り静かな場所で実践しましょう。

マインドフル・イーティング

食べる行為に集中する瞑想方法です。スマートフォンやテレビなど集中力を妨げる要素を遠ざけて、静かな場所で食事をします。食事の味や香りを楽しみながら、1食あたり30〜60分かけてゆっくりと食べましょう。早食いの癖がある人は利き手と逆の手で箸を持ったり、食事を小分けにして時間をかけたりという工夫もポイントです。

ダイエット効果や食生活の改善のためにマインドフル・イーティングに取り組む人もいます。食事に真剣に向き合うことで集中力がアップするだけでなく、体脂肪の減少が期待できるからです。ヘルスケアに役立つという観点からも魅力的な瞑想法といえます。

マインドフルネスを実践する際の注意点4つ

 マインドフルネスを実践する際の注意点は下記の4つです。

  1. 目的を意識して継続する
  2. マインドフルネスに頼りすぎないように
  3. 何も考えない状態を無理につくる必要はない
  4. 日常的に自分を客観視する癖をつける

目的を意識して継続する

マインドフルネスを始める際は「何を目的としているか」を明確に意識することが大切です。たとえば、次のような目的が考えられます。

  • 頭のなかをクリアにしたい
  • 不安な感情をやわらげたい
  • 穏やかな気分になりたい
  • イライラを解消したい
  • ポジティブな感情になりたい

目的どおりの効果を得られない場合もあきらめず、目的を意識しながらマインドフルネスを継続してください。

マインドフルネスに頼りすぎないように

マインドフルネスに頼りすぎると依存してしまう可能性があります。具体的には、マインドフルネスを行わないと集中力を保てなかったり、すぐに実践できないと不安になったりという状況です。このような状態に陥ると、自力で物事を乗り越えるスキルが低下するだけでなく、現実逃避によって無気力・無関心が続くかもしれません。

マインドフルネスは一時的なリラックス方法という認識で実践してください。とくに初期段階は、1日10分〜15分程度を目安に気軽に取り組みましょう。なお、精神疾患を抱えている人は、マインドフルネスによって不安が増幅する可能性があるため、事前に主治医に相談することが大切です。

何も考えない状態を無理につくる必要はない

「余計なことを考えない」と思っても、実際には難しいもの。脳は否定的な指示を理解できないといわれています。たとえば、「黄色いレモンをイメージしないでください」と告げられても、逆に黄色いレモンが頭に浮かぶという現象です。したがって強引に何も考えない状態を意識するのではなく、呼吸に集中した結果、自然に無の状態へと入り込むのがポイントです。呼吸に没頭することで心が静まり、余計な思考を抑える効果が期待できます。

日常的に自分を客観視する癖をつける

マインドフルネスの実践中は呼吸に集中するため、必ずしも自身を客観的にとらえられるとは限りません。そのため、基本的にはマインドフルネス後に自身を客観視します。

日常的な客観視が必要な理由として、行動に対する許可が挙げられます。マインドフルネスによって余計な思考を排除したあと、実際に行動を起こすことが大切だと気づくためです。自分を客観的に見られなければ、次の行動への許可を出しにくくなります。普段から自分を客観視する癖をつけましょう。

マインドフルネスの効果を身につけるには

マインドフルネスを自己流で習得できない場合は、専門的な講座、研修、プログラムを検討してみてください。1回限りの講座もあれば、複数回受講できる研修もあり、複数人で気軽に試せるプログラムなどさまざまな講座があるので、ニーズや目的にあわせて選ぶとよいでしょう。

現在、マインドフルネスは大きな注目を集めています。時間や費用をかけられない場合は書籍で学ぶという選択も可能です。基本的な考え方から実践的なトレーニングまで、初心者向けの書籍が豊富に出版されています。

また、後述する「manebi eラーニング」にも瞑想トレーニングのプログラムがあります。オンライン動画で気軽に学べるサービスとして好評です。

マインドフルネスの理解を深めるのにオススメのツール

マインドフルネスの実践により、集中力の養成、洞察力・直感力の向上、ストレスや不安の軽減などが期待できます。実際に導入する際は、瞑想の流れを理解したうえで、呼吸のやり方を把握することが大切です。自己流でマインドフルネスを習得するのが難しい場合は、オンライン講座の受講を検討してみてください。

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