モチベーション研修とは?メリットや効果的に実施するためのポイントを解説

  • マインド研修

2024年6月24日(月)

目次

モチベーションが高い社員は、仕事や企業に対する満足度が高く、生産性も向上しやすいとされています。社員のモチベーションを管理できていると、組織の状態やパフォーマンスも高まるでしょう。昨今では、社員のモチベーション向上に影響を与えるプログラムとして、モチベーション研修が注目されています。しかし「実際にどのような内容なのか」「実施する際のポイントは何か」と疑問を抱えている担当者もいらっしゃるでしょう。

本記事では、モチベーション研修のメリットや具体的なプログラム内容、効果的に実施するためのポイントを解説します。実際の導入事例も紹介しますので、ぜひ参考にして下さい。

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モチベーション研修とは

モチベーション研修は、社員のモチベーション向上を通じて、組織の活性化を目指すプログラムです。若手向けに行われるイメージも根強くあるでしょう。しかし、中堅社員や管理職向けなど、さまざまな階層を対象としています。

HR総研が2021年に発表した調査結果によれば、新入社員研修の実施率は、モチベーション研修を含めて約8割。しかし新任管理職研修や若手社員研修、中堅社員研修は、いずれも5割に満たない数値となっています。新入社員の定着を図るのは重要であるものの、中堅社員や管理職のモチベーション向上につなげられるかどうかも、組織の活性化に大きくかかわります。

モチベーション研修を実施するメリット3つ

モチベーション研修を実施する主なメリットは、以下の3点です。

  1. 社員満足度の向上につながる
  2. 管理職のマネジメントスキル向上につながる
  3. コミュニケーションの強化やイノベーションの促進につながる

社員満足度の向上につながる

モチベーション研修を実施する主なメリットは、社員満足度の向上につながること。社員はモチベーション研修での自己分析を通じて、自身の価値観や強み、改善点などを理解できます。

たとえば研修での自己分析によって、これまで何となくこなしていた業務で「自分が持つAといった強みを生かしている」とわかれば、「自分の強みを生かして成果を出す」と発想が転換するため、より高いモチベーションで仕事に臨めるでしょう。多くの社員が高いモチベーションを持って仕事ができる環境になれば、社員満足度も向上し、生産性向上にもつながります。

管理職のマネジメントスキル向上につながる

管理職のマネジメントスキル向上につながるのも、モチベーション研修を実施するメリット。具体的には、明確な目標設定や、部下への適切なマネジメントなどを行いやすくなります。管理職向けのモチベーション研修では、モチベーションの概念やマネジメントの手法などが基本的な学習内容で、内発的動機と外発的動機の使いわけなど、実践的なスキルも多く学べます。

管理職はチームの方向性を決定し、ほかの社員を指導する役割を担います。管理職のモチベーション自体がほかの社員のモチベーションにも影響を与えるため、マネジメントスキルを向上させる意義は大きいでしょう。

組織内コミュニケーションの強化やイノベーションの促進につながる

モチベーション研修は、組織内コミュニケーションの強化や、イノベーションの促進につながるといった観点でも有用です。コミュニケーションが強化されると、組織のビジョンなども共有しやすくなります。共通の目標に向かって働くことで、チームの結束力が高まっていくでしょう。

職場におけるイノベーションとは、柔軟な物の考え方を通じて、革新的なアイデアを生み出すこと。モチベーション研修では、異なる視点やアイデアを受け入れる重要性を学べます。管理職の適切なマネジメントと、新しいアイデアを生み出しやすい環境を融合できれば、イノベーションが促進されるかもしれません。

モチベーション研修の主なプログラム内容5つ

モチベーション研修の主なプログラム内容は、以下の5つです。

  1. セルフモチベーション研修
  2. モチベーションアップ研修
  3. コーチング研修
  4. エンパワーリング研修
  5. セルフケア・セルフコントロール研修

セルフモチベーション研修

自分でモチベーションを維持・向上させるためのノウハウを学ぶプログラムで、先述の内発的動機と外発的動機のうち、前者をコントロールするための内容になります。新入社員が自己について動機づけできるのは重要であり、同時にそれは中堅社員・管理職にも当てはまるもの。よってルフモチベーション研修は、基本的に管理職を含む全社員が対象です。

カリキュラム内容は、モチベーションの基本概念や方法論など。自己理解やコミュニケーションの方法を学習し、モチベーションを高めるためのノウハウ・理論を、実際に日常の業務に活用するのがゴールとなります。

モチベーションアップ研修

名前のとおり「モチベーションを高めること」を目的としたプログラムです。セルフモチベーション研修と異なり、内発的動機だけでなく、外発的動機の活用をカリキュラムに含む場合もあります。

  • 新入社員・若手社員:モチベーションの基礎やセルフコントロールの方法を学びつつ、必要に応じてケーススタディを実施
  • 中堅社員:上記にくわえて「フォロワーシップ」や「リーダーシップ」に関する考え方を身につけるのが一般的
  • 管理職:モチベーションをマネジメントに絡めて考えなければならないため、モチベーションの本質を深く学びつつ、「組織・企業にとって自分ができることは何か」を考えたり、部下のモチベーションを高める方法を学習したりする

コーチング研修

コーチング研修とは、コーチングスキルを習得し、個人やチームのパフォーマンス向上に役立てるためのプログラムです。そもそもコーチングとは、相手と対等な立場で「目標達成」「自己実現」などをサポートするコミュニケーション技術です。一方的にアドバイスや指示を与えるのではなく質問やフィードバックを通じた相互コミュニケーションによって、相手をサポートします。

新入社員・若手社員は誰かを指導する立場にはないため、基本的にはコーチング研修の対象にはなりません。部下を持っている管理職が対象で、コーチングの基本的な概念や方法を学習します。

エンパワーリング研修

エンパワーリング研修は、個人や組織の「本気力」を高め、パフォーマンスを最大限に引き出すことを目的としたプログラムです。株式会社エンパワーリングによって提唱されたもので、同社のメインコンテンツでもあります。

昨今、指示されたことをただやるだけでなく、主体性を持って業務に臨まなければならない部分も増えてきました。組織に依存するのではなく、自分・他人をモチベートしながら成果を出すためのマインドセットを学びます。

基本的には全社員が対象で、とくに管理職などリーダーに近い階層の人に実施すると、より効果的とされています。カリキュラムの内容は、エンパワーリングの概要や自己分析(自社分析)、受講者同士のコミュニケーションの実施などです。

セルフケア・セルフコントロール研修

セルフケア・セルフコントロール研修は、モチベーション研修に関連したもので、自分の感情やストレス状態をチェックするためのプログラムです。レジリエンスや睡眠改善、アンガーマネジメントなどさまざまな種類があります。

たとえばアンガーマネジメント研修では、ビジネスシーンにおける「怒り」をセルフコントロールするための理論・方法論が主なカリキュラム内容です。部下を教育する立場である管理職に対して、とくに効果的とされています。昨今では、テレワークをはじめワークスタイルも多様化しているなか、働き方の変化に合わせたカリキュラムを用意している企業もあります。

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モチベーション研修の導入事例4つ

モチベーション研修の導入事例として、以下4つのケースを研修の目的や内容などからご紹介します。

  1. 株式会社東急ストア
  2. トレンドマイクロ株式会社
  3. 株式会社TBK
  4. 一般社団法人KEC関西電子工業振興センター

株式会社東急ストア

実施した研修モチベーション・部下育成に関する研修
対象管理職
目的セルフモチベーションを高めるとともに、人を動かすモチベーションについても理解する
プログラムの内容趣旨説明モチベーションの現状理解セルフモチベーションのコントロール人を動かすモチベーション

株式会社東急ストアでは、管理職を対象としたモチベーション研修を実施しています。講義とグループワーク、ビデオ学習とさまざまな方法で、内発的動機と外発的動機を学ぶ内容になっています。とくにサービス業は、パート・アルバイトなどが重要な役割を果たすことが多く、人材も多様です。こうした研修は、社員満足度の向上を通じて、顧客により良いサービスを提供するために大きく役立ちます。

トレンドマイクロ株式会社

実施した研修セルフモチベーションコントロール研修
対象新入社員・若手社員
目的参加者自身が自分の内面と向き合い、自己発見を通じて学びを深めること
プログラムの内容自分でモチベーションをコントロールする手法

トレンドマイクロ株式会社では、社員が自ら気づきを得ることにフォーカスした、セルフモチベーションコントロール研修を実施しています。講義のように「単に答えを教える」といったアプローチとは異なり演習を徹底的に行って実践の試行回数を増やすのが特徴です。演習のあとにはフィードバックを行い、さらなる気づきの機会を与えます。

株式会社TBK

実施した研修モチベーションアップ研修・コーチング研修
対象管理職(課長職)
目的管理職層の「伝え方」に関するスキルのばらつきを直すため、体系的なコミュニケーションを身につけること
プログラムの内容コミュニケーションに関するオンライン研修と現場実践

株式会社TBKでは、これまで個人の力に依存していたマネジメント技術を、体系的に学習してもらうための研修を実施しています。コミュニケーションに関するオンライン研修から、現場実践(部下のニーズに関するインタビュー)を経て、再びオンライン研修を実施するといったカリキュラム内容です。オンライン実施により、往復8時間の移動、数十万円の交通費を削減しています。

一般社団法人KEC関西電子工業振興センター

実施した研修スキル診断つきのマネジメント研修
対象管理職(課長職)
目的技術者集団としてのスキル向上にくわえ、管理職のマネジメントスキル強化
プログラムの内容個々のスキルとパーソナリティ診断診断結果に合った講座の受講

一般社団法人KEC関西電子工業振興センターは、技術スキルの高い職員が多い一方、マネジメントスキルの向上が課題となっていました。集合研修の実施が現実的でないなか、個々で学習を進めるため、eラーニングでの研修を実施しています。

研修・講座の導入によって、マネジメントスキルが向上し、コミュニケーションの頻度が高まったそうです。集合研修が難しいといった特定の課題を抱えている場合は、eラーニングも検討するとよいでしょう。

モチベーション研修を効果的に実施するためのポイント3つ

モチベーション研修を効果的に実施するためのポイントは、以下の3点です。

  1. 研修の目的・目標を明確化する
  2. 効果測定・フィードバックを実施する
  3. 学びをサポートする仕組みを整備する

研修の目的・目標を明確化する

モチベーション研修を効果的に実施するためのポイントは、目的・目標を明確化すること。研修を計画する前に、組織やチームが直面している課題やニーズを洗い出しましょう。具体例は以下のとおりです。

  • 課題:社員のモチベーションが低下し、顧客満足度に影響をおよぼしている
  • 目的:社員が自己モチベーションを向上させ、職場でのエンゲージメントと生産性を高める
  • 目標:モチベーション理論やストレス管理に関する基礎知識を身につける

「どのような成果を期待しているのか」が明確だと、研修に参加する社員も目的意識を持って取り組むようになり、知識の定着にも良い影響を与えます。

効果測定・フィードバックを実施する

研修プログラムが終了したあとに、振り返りやフィードバックを実施するのも、モチベーション研修を行う際の重要なポイント。具体的には「最初に明確化した目的・目標を達成できたかどうか」を重点的に振り返ります。たとえば先ほどの具体例であれば、エンゲージメントや生産性を数値化し、変化があったかどうかを確認するとよいでしょう。モチベーション理論に関する小テストを実施するなど、知識の定着を確かめるのもおすすめです。

一般的に、モチベーション研修は複数回にわたって実施します。振り返り・フィードバックの内容を次の研修に生かしながら、長期的な目線で組織の活性化を目指しましょう。

学びをサポートする仕組みを企業側主体で整備する

学びをサポートする仕組みを企業側主体で整備するのも、モチベーション研修実施のポイント。新入社員や若手社員はもちろん、中堅社員、管理職が学ぶべきことも多くあります。

リーダーシップやマネジメント、人材開発などさまざまなテーマを継続的に学べる仕組みを用意するとよいでしょう。一般社団法人KEC関西電子工業振興センターの事例でも紹介したように、知識の定着や周辺知識の学習を効率的に行うには、eラーニングがおすすめです。集合研修の実施が難しいといった、物理的な課題を抱えている場合もeラーニングで解決できます。

学びをサポートする仕組みとは?

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モチベーション研修は、組織の活性化を目的としており、若手・中堅・管理職向けなどの階層にわけて行うのが一般的です。まずは「どの階層を対象にするのか」「どのような課題があるのか」など、研修方針を決めるうえで前提となる状況を明確化するとよいでしょう。

モチベーション研修の種類は多種多様で、オンラインで実施する方法もあります。とくにeラーニングは、継続的に学ぶための仕組みを作るうえで有用なので、選択肢に入れておくのがおすすめです。

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