新入社員研修は、新人が企業の文化や業務内容を学ぶ初めての機会。しかし研修を実施するだけで終わってはなりません。重要なのは研修が終わったあと「新入社員に学んだことを定着させ、実際の業務に生かせる状態にする」ことだからです。「研修での学びをどのように振り返り、いかにしてスキルアップにつなげるか」は、研修の成果を最大化するための鍵となるでしょう。
本記事では、新入社員研修で学んだことを定着させる方法や報告書の目的について詳しく解説します。人事担当者や研修の責任者が学びの定着やスキルアップを促す方法を検討する際の参考として、ぜひご活用ください。
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資料をダウンロードする新入社員研修で学んだことを記載する報告書の基本ポイント
新入社員研修で学んだことを定着させ、スキルアップを促進するには、報告書の作成が有効です。報告書は、新入社員が研修で得た知識や経験を整理し、自己の成長を可視化するツール。なおかつ、人事担当者や上司が新入社員の理解度や成長を把握するための手段としても重要です。
まずは、新入社員研修で学んだことを記載する報告書の基本について解説します。
新入社員研修における報告書とは
新入社員研修で学んだことを記載する報告書とは、新入社員が研修で得た学びや気づきをまとめ、上司や研修担当者に提出するもの。一般的に「研修受講報告書」と呼ばれます。この報告書は、新入社員自身の学習の定着を促すだけでなく、上司や研修担当者が新入社員の理解度や成長を把握するための重要なツールです。
一方、研修の効果を評価するために講師や人事担当者が作成する書類は「研修報告書」と呼ばれます。これは研修の成果や改善点を確認し、次回の研修の計画に活用するためのもの。研修受講報告書と研修報告書は、それぞれ異なる目的と役割を持ちます。違いを理解し、適切に活用するのが重要です。
新入社員研修における報告書の重要性
新入社員研修は、実務に必要な知識やスキルを学ぶ期間ですので「学習した内容をどのように活用していくのか」について計画を立てるのも重要です。そのため報告書には、研修後の実践計画を記載する場合もあります。実践計画とは「実務研修で学んだ内容を業務に生かし、3か月以内に当たり前のスキルとして応用できるようになる」といった「学んだ内容をどのように扱っていくか」といったもの。
具体的な実践計画を記載してもらえば、新入社員自身の成長を促すとともに、人事担当者や研修責任者が新入社員の理解度や成長を把握するための資料にもなります。
また、新入社員研修での学びを定着させるには、振り返りの仕組みづくりや報告書の作成が欠かせません。報告書作成を通じて新入社員自身が学んだ内容を整理し、理解につなげる活動も重要です。さらに、報告書をもとに新入社員のフォローアップを行うと、継続的なスキルアップを促進できます。
新入社員研修で学んだことを報告書として作成する目的
新入社員研修での学習内容を報告書にまとめる主な目的は以下のとおりです。これにより、新入社員自身の成長だけでなく、組織全体での知識の共有や共通意識醸成が期待できるでしょう。ここでは、新入社員研修の報告書の目的をそれぞれ解説します。
- 受講内容の振り返り
- 学習知識・スキルの定着
- 受講内容の共有・報告
- 理解度の確認
- 研修効果の測定
- 今後の行動計画への応用
受講内容の振り返り
新入社員研修の報告書作成は、新入社員が研修で得た知識や気づきを振り返る重要な手段。新入社員研修では、1か月から半年程度をかけて大量の知識を一度に吸収するだけでなく、仲間との出会いも含む多くの刺激があります。研修での学びを定着させるには、反復と実践、振り返りが欠かせません。
毎日の学習内容を報告書に記録する行為は、振り返りを促す役割を果たします。新入社員自身が自分の言葉で学んだことをまとめれば、理解を促すだけでなく、記憶の定着にも役立つでしょう。
また報告書は、上司や先輩が新入社員の学びの過程を把握し、必要なサポートを提供するための情報源ともなります。これらの理由から、新入社員研修で学んだ内容を報告書にまとめるプロセスは、新入社員のスキルアップを促す有効な手段といえるでしょう。
学習知識・スキルの定着
報告書の作成は、研修で得た知識・スキルを整理し、定着につなげるのも目的としています。研修では多くの情報が一度に提供されるものの、それらをただちに覚え、身につけるのは困難です。報告書を作成する過程では、自然な形で学習内容の振り返りとアウトプットが行われます。学習した内容を自分の言葉で他人に伝える行為は、学び・知識を整理する作業にほかなりません。報告書の作成により、受講者自身の知識やスキルの定着を促進する効果が期待できます。
また、自分が理解できていない部分や曖昧な点を特定すれば、新入社員の成長にも役立つでしょう。さらに、研修で学んだ内容を形に残すのも、報告書を作成する目的のひとつ。後日の振り返り時に資料として使えるだけでなく、ほかの新入社員や後輩に対する教材にもなります。
受講内容の共有・報告
新入社員研修の内容を報告書にまとめる作業は、学習内容の共有と理解度の確認にも大いに役立ちます。新入社員自身の理解度や進捗度を可視化する報告書は、上司が研修の進捗状況を知るために必要なものです。くわえて、他の社員と学びを共有する資料として活用すれば、新入社員全体の理解度アップにも貢献します。
また、報告書は研修内容の記録としても有用です。研修を受講できなかった人や来年度以降の新入社員にとって、過去の報告書は研修内容を把握するための貴重な資料となります。
理解度の確認
新入社員研修で学んだことを報告書として作成する目的のひとつが、新入社員の理解度チェックです。新入社員自身が報告書を作成すれば研修で得た知識やスキルを整理し、自己評価できます。このプロセスで、自身が理解できている部分と、さらなる学習が必要な部分が明確になるのです。
また、人事担当者や上司が適切なフォローアップを行うためにも、報告書を通じて新入社員の理解度を把握するのは欠かせません。
たとえば、報告書にもとづいて個別の面談を設ければ、新入社員が抱く疑問点や不明点を直接解消できます。また、報告書から新入社員全体の理解度や傾向を把握し、研修プログラムの改善点を見つけ出すことも可能です。
研修効果の測定
新入社員研修の成果を確認し、今後の改善につなげるには、報告書の作成が有効です。報告書を通じて新入社員からのフィードバックを得れば、研修の効果を定量的・定性的に把握できます。これにより「研修が狙い通りの成果をもたらしているか」「想定外の事象が発生していないか」を確認するのも、報告書を作成する目的のひとつといえるでしょう。
研修内容は、新入社員研修の傾向や理解度、事業環境や社会情勢の変化に応じて適宜修正しなくてはなりません。研修の効果を最大化するには、これらの要素をもとに研修内容の見直しや改善を継続する仕組みが欠かせません。より効率的かつ効果的な研修プログラムを提供するためには、研修効果の測定が必須です。
今後の行動計画への応用
報告書の作成は、「研修で得た知識を今後の仕事にどのように生かすのか」「自身がどのようなキャリアパスを目指すのか」といった計画の基盤作りにも重要です。新入社員が自分自身を知り、将来図や成長を思い描けば、キャリア形成に取り組むきっかけとなるでしょう。
新入社員研修では、企業のビジョンやミッション、業務内容や業界知識、ビジネスマナーなど多くの内容を学びます。これらの知識を報告書にまとめ、「自身がどのような領域に興味があるのか」「今後どのようなスキルを習得したいか」などを考えれば、自身のキャリアパスを明確にできるのです。
キャリアパスや目標が明確になれば、行動計画が立てやすくなるのはいうまでもありません。このことは、人材育成において重要な自己成長の促進にもつながります。さらに、報告書の作成を通じて考えや理解を他者に伝えるコミュニケーションスキルが鍛えられる点もメリットでしょう。
新入社員研修で学んだことの報告書に記載する主な項目
新入社員研修は、新たに組織に参加した社員が企業文化を理解し、必要な知識やスキルを身につける重要な機会です。一方「研修が終わった後に学んだことをどのように定着させ、スキルアップにつなげるか」は、人事担当者や責任者にとって大きな課題となります。
その一助となるのが、新入社員自身が研修で学んだ知識を報告書にまとめる作業です。報告書に基本情報や研修の内容、学習内容や感想を記載し、それを共有・検討すると、学びの定着とスキルアップ促進が期待できます。
基本情報
新入社員研修の報告書作成において、まず記載すべき基本情報は以下のとおりです。
- 報告書の作成日
- 研修の場所
- 報告者の氏名と所属
- 具体的な研修の種類
- 研修を担当した講師の氏名
これらの情報は個人によって大きな差が出る項目ではなく、事前にフォーマットを用意しておくと、報告書の作成をスムーズに進められます。記憶が新鮮なうちに記録するためにも、報告書は研修直後に作成しましょう。研修の場所は、研修の環境や設備、参加者の人数など、研修の効果に影響を与える要素を検証するうえで重要です。
のちに報告書の内容を参照する際、報告者の氏名と所属が必要になるため、記入漏れがないよう注意しておきましょう。具体的な研修の種類は、研修の目的や内容を明確にするために記載します。たとえば「ビジネスマナー研修」「プレゼンテーション研修」「業務知識研修」など。研修を担当した講師の氏名も、研修の質を評価するために重要です。
新入社員研修の内容
研修内容に関しては、研修で得た知識やスキルを具体的にリストアップし、どの研修から何を学んだか、明確に整理して記載してもらいましょう。これにより、新入社員が運営側の意図した通りに学べているかを確認できるのにくわえ、フォローの必要性を判断できます。
新入社員研修の内容とは、企業理念の理解やビジネスマナー、業務知識やコミュニケーションスキル、チームワークなど。講義やワークショップから何を学んだかを明確化すれば、研修効果の確認と評価が行えます。たとえば、企業理念の理解については、具体的に「どのような理念を学び、それが自身の行動にどのように反映されているか、あるいは今後どのように行動したいか」を記載してもらいましょう。
ビジネスマナーについては、「正しい言葉遣いによって社内のコミュニケーションが円滑になった」など、具体的な成果を挙げます。業務知識については、「新入社員がどのような業務を理解し、それをどの程度応用できるようになったか」を記録してもらうことが重要です。コミュニケーションスキルやチームワークについては、具体的なエピソードを交えて、どのように改善されたかを記載します。
新入社員研修での学び・感想
報告書には、新入社員研修で得た知識やスキルを具体的に記述し、受講後にどのような感想を抱いたかも記載してもらいます。学習内容を明確に文章としてまとめ、その学びがどのように実務に生かせるか考察すれば、学習内容の定着とスキルアップにつながるでしょう。また「わかりにくい点があった」「もの足りなかった」などの感想は、研修の効果測定や問題点の発見に役立ちます。
ただし感想といっても、主観的な意見に終始してはなりません。学びをどう活用するかについて客観的に考察してもらうのが重要です。考察を具体的なアクションプランへとつなげてもらえば、学びを実際の業務に生かす道筋を示せます。
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資料をダウンロードする新入社員研修で学んだことの振り返り・定着を図る際のポイント
新入社員研修は、新たな環境に適応し、必要な知識やスキルを身につける重要な機会。しかし、研修で学んだことが日々の業務に生かされず、忘れられてしまうことも少なくありません。そこで、学んだことを定着させ、スキルアップを促すための具体的な方法を5つご紹介します。
学んだことをもとに日次レポートを作成する
新入社員研修で学んだことを定着させる方法として、日次レポートの作成が有効です。研修中に得た知識やスキルを整理し、自身の言葉で表現すれば理解を深められます。レポートの内容は、「その日に学んだ内容」「まだ理解できていない点」「今後学びたいテーマ」「研修で得た知識をどのように仕事に生かすか」などを盛り込むとよいでしょう。
また、研修担当者が日次レポートに対してコメントをつけると、新入社員が自身の理解度を客観的に把握できます。フィードバックは、理解を促すだけでなく、新入社員が自己評価する機会を提供し、自己成長を促す役割も果たすのです。
学んだことを整理・共有する場を作る
学びを定着させるためには、学習内容を整理し、共有する場を設けるのも重要です。研修の内容をレポート形式でまとめた結果、理解が深まれば、実務に活用しやすくなります。
また、日々の振り返りを行えば、研修内容の復習になり、知識の定着にもつながるでしょう。さらに、研修に参加している社員同士がグループ形式で話し合うプロセスも有効です。他者に説明すれば、自身の理解が深まり、知識の定着がより進むといわれています。グループディスカッションによってアウトプットの機会が創出されるだけでなく、新たな気づきを得たり、連帯感が形成されたりする点も大きいでしょう。
学んだことの理解度チェックを行う
新入社員研修では、理解度の定期的なチェックも欠かせません。とくに知識習得型の研修では、毎日や週に一度などの頻度で理解度チェックを実施し、新入社員の理解度や定着度を確認するルーティンが効果的でしょう。
また、新入社員同士で問題を出し合う方法も有効です。他者に問いかけるには自身で理解している状態が前提となるため、より深い理解を促します。さらに、グループで取り組むと新入社員同士のコミュニケーションが活発化し、モチベーション向上にもつながるでしょう。この段階でオススメなのが、KPT(Keep・Problem・Try)というシンプルなフレームワークを用いて振り返りを行うこと。
・Keepは「続けていきたいこと」
・Problemは「問題点」
・Tryは「改善策」
を意味します。このフレームワークを用いると、新入社員自身が自分の学習状況を客観的に把握し、改善を進められるでしょう。
適切なタイミングでフォローアップを行う
新入社員研修の終了後は、一定期間が経過したタイミングでフォローアップを行うのも重要です。このフォローアップは、「新入社員が研修で学んだ知識やスキルがどの程度定着し、実際の業務に応用されているか」を確認するもの。たとえば1か月後のフォローアップでは、新入社員が実務を通じて学んだことやまだ理解が進んでいない部分を、把握できます。
またフォローアップは、配属後の不安の軽減や同期社員との連帯感形成にも効果的です。新入社員たちが業務における課題や不安を共有する場を設けると相互学習になり、なおかつ一体感の醸成にもつながります。
さらに、フォローアップの結果をもとに、先輩社員が新入社員のサポートを行うといった対応も可能です。定着していない知識やスキルが明らかになれば、それを補うための追加研修や、具体的な指導を行い、新入社員の成長をより的確にサポートできます。
行動計画を立て定期的に上司と面談する機会を作る
新入社員研修で学んだことを定着させ、スキルアップを図るには、行動計画の立案と定期的な上司との面談が有効です。業務経験後一定期間が経過すると、研修で学んだことの定着度や問題点が明らかになるため、実務に少し慣れてきたタイミングで面談を行うとよいでしょう。
面談のテーマとして取り上げるのは、「新入社員研修で学んだことを実践できているか否か」「仕事で困難を感じている点」「再学習したい項目」「学びたい項目」など。これらのテーマを通じて、新入社員自身の成長を促すとともに、上司とのコミュニケーションを深められるでしょう。
また、こういった振り返りからは、効果的なフォローアップの方法や、翌年度からの新入社員研修における改善アイデアが得られる場合もあります。新入社員の生の声を聞いて研修プログラムの改善点を見つけ出し、より効果的な研修を実現するためのヒントを探すのも重要です。
新入社員研修で学んだことを定着させるための具体的な施策
前のセクションでは新入社員研修で学んだことを定着させるためのポイントを紹介しましたが、ここではその具体的なアクションを2つ紹介します。
新入社員研修後に成果発表会を行う
新入社員研修の成果を定着させるための手段として、研修後に成果発表会を行うことをオススメします。新入社員が研修で学んだ内容成果、自分自身の成長、そして今後の目標などをまとめ、同期社員に向けて発表すると、学びの定着が期待できるでしょう。この発表会は、新入社員が自身の学びを整理し、自己理解を深める絶好の機会です。
また、役職者や今後ともに働く社員に向けて自身の成果をアピールすると、学びのモチベーションにもつながるでしょう。発表会は、新入社員の学習意欲を高めるきっかけにもなるのです。
さらに発表会では、自身の知識や考えを他者に伝える必要があるため、コミュニケーションスキルの向上にも役立ちます。くわえて、同期の発表を聞き、他者の視点や学びに触れれば、相互理解を深めるきっかけにもなるでしょう。
学習支援ツールを活用する
新入社員研修で学んだことを定着させるためには、学習支援ツールも積極的に活用しましょう。報告書作成は、学びの振り返りを促し、研修終了後の行動計画にもつなげられる作業です。しかし、限られた期間で膨大な知識を網羅するには限界があり、それぞれの内容を深掘りするのは困難でしょう。さらに、予算や人員の都合で扱えないテーマも存在します。
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新入社員研修での学びを定着させるには、研修内容の振り返りや報告書の作成が欠かせません。振り返りや報告書を通じて初めて、新入社員自身が学んだ内容を整理し、理解を深められるからです。また報告書をもとに成果発表会や面談、適切なフォローアップなどを行い、新入社員の成長を促進すると、学びを実際の業務に生かせます。
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