社員研修に使える助成金制度をわかりやすく解説!助成金を申請する際の注意点も

  • 社員研修

2023年10月30日(月)

目次

社員研修は、知識やスキルの向上、組織全体の成果などさまざまな効果が期待できます。しかし社内で抱えている課題によっては、社員研修の優先順位が低くなり、予算を充てられないケースもあるでしょう。このような社員研修に関する課題には、国や地方自治体の助成金制度が活用できます

この記事では社員研修に活用できる助成金制度の要件、助成金を利用するメリットや注意点、申請時の流れなどを解説します。助成金の利用を検討する際、ぜひ参考にしてみてください。

社員研修・eラーニングに使える補助金・助成金制度

社員研修に活用できる助成金には、全国の事業者が利用できる制度と、地方自治体が独自で設けている制度があります。それぞれの制度についてみていきます。

全国の事業者が利用できる制度

全国の事業者が利用できる代表的な制度は、厚生労働省の「人材開発支援助成金」です。人材開発支援助成金は、おもに社員のスキルアップや専門的な知識の習得に必要な研修や訓練を行った企業に対し、費用の一部が支給されます。支給には審査があり、申請すれば必ず支給されるとは限らない点に留意しておきましょう。

申請するコースによって支給額や条件が異なります。以下に記載する「人材開発支援助成金」の項目で詳しく解説します。

地方自治体が行う制度

地方自治体が実施している制度として、東京都の助成金制度を紹介しましょう。東京都では社内外の研修やeラーニングにより社員の育成を行った企業に対し、助成金を支給しています。制度は次のとおりです。各制度の要件は、以下に記載するそれぞれの制度の項目において詳述します。

  • 社内型スキルアップ助成金・民間派遣型スキルアップ助成金(東京都)
  • オンラインスキルアップ助成金(東京都)
  • DXリスキリング助成金(東京都)

仮に厚生労働省の人材開発支援助成金制度の申請がとおらなかった場合でも、地方自治体の制度に申請可能です。東京都以外の自治体でも人材育成のための助成金制度を設けている場合があります。地域の自治体に一度確認してみるとよいでしょう。なお地方自治体の制度においても、支給対象になるかどうかの審査があります。

人材開発支援助成金(厚生労働省)

厚生労働省の人材開発支援助成金は、社員の能力開発やスキルアップに必要な研修や職業訓練などを行った企業に費用の一部などを支給する制度で、7つのコースがあります。

  1. 人材育成支援コース:業務に必要な知識やスキルの習得を計画に沿って行った場合に助成
  2. 教育訓練休暇等付与コース :新たに教育訓練休暇等付与制度を導入する企業に対して助成
  3. 人への投資促進コース:デジタルやIT分野の人材育成に伴う研修や訓練を行う企業に対して助成
  4. 事業展開等リスキリング支援コース:新規事業の立ち上げに伴い、新たに必要となる知識やスキルを習得させるための研修や訓練を行う企業に対して助成
  5. 建設労働者認定訓練コース:建設関連の認定職業訓練や指導員訓練を行った場合に費用の一部を助成
  6. 建設労働者技能実習コース:建設関連の企業で社員のスキルアップに関わる実習を有給で行った場合に一部の費用を助成
  7. 障がい者職業能力開発コース:障がい者の能力開発に必要な教育訓練を継続的に行う施設の設置や運営を行う際に、費用の一部を助成

この7コースのうち多くの事業者が対象となる1〜4のコースを、次から詳しく解説します。また、一部のコースではジョブカードの運用が必要です。ジョブカードの詳細は厚生労働省の「マイジョブ・カード」にて確認できます。

【問い合わせ先】

参考)厚生労働省 人材開発支援助成金

出典)厚生労働省 マイジョブ・カード

人材育成支援コース

人材開発支援助成金の人材育成支援コースについて、次の4つの内容を解説します。

  • 概要
  • 対象となる訓練など
  • 対象となる経費・賃金
  • 助成額・助成率

出典)厚生労働省 人材開発支援助成金(人材育成支援コース)のご案内

概要

人材育成支援コースは、業務に必要となる知識やスキルの習得を目的に、計画にもとづいて研修や訓練を行った場合に発生する費用の一部が助成される支援制度です。なお、有期実習型訓練以外は正規・非正規どちらの雇用形態でも対象となっています。

人材育成支援コースは「人材育成訓練」「認定実習併用職業訓練」「有期実習型訓練」の3つの訓練が対象です。次に詳しく解説します。

対象となる訓練と要件

人材育成支援コースの対象となる訓練、基本要件は次のとおりです。

訓練内容  基本要件
人材育成訓練OFF-JTによる訓練時間が10時間以上必要
認定実習併用職業訓練・OJTとOFF-JTを組み合わせて実施する訓練である・訓練の実施期間が6か月以上2年以下である・総訓練時間数が1年当たりの時間数に換算して850時間以上である・総訓練時間数に占めるOJTの割合が2割以上8割以下である・訓練終了後にジョブ・カード様式3-3-1-1 「職業能力証明(訓練成果・実務成果)シート(企業実習・OJT用)」により職業能力の評価を実施する
有期実習型訓練・OJTとOFF-JTを効果的に組み合わせて実施する訓練である・訓練実施期間が2か月以上である・総訓練時間が6か月当たりの時間数に換算して425時間以上である・総訓練時間に占めるOJTの割合が1割以上9割以下である・訓練終了後にジョブ・カード様式3-3-1-1 「職業能力証明(訓練成果・実務成果)シート(企業実習・OJT用)」により職業能力の評価を実施する

出典)厚生労働省 人材開発支援助成金(人材育成支援コース)のご案内

また先の基本要件にくわえて次に挙げる要件を満たせば、eラーニングも助成対象になります。

  • 学習時間が10時間以上、または標準学習期間が1カ月以上である
  • 定額制ではなく、1つの訓練における費用がわかるものである
  • eラーニングのサービスが特定の企業専用ではないもの

eラーニングを活用できれば効率よく研修を進められるため、要件を満たせる場合は積極的に支援制度を活用してみましょう。

対象となる経費・賃金

人材育成支援コースで対象となる経費や賃金は次のとおりです。

【経費】

  • 研修会場や設備の利用料(会場使用料、マイクやボードなど)
  • 研修に必要なテキストなどの購入費
  • 外部講師を招く場合の旅費や手当

【賃金】

賃金は、所定労働時間内に訓練を行う場合のみ助成対象となります。所定労働時間外や所定休日に行う訓練は原則、対象外です。また、eラーニングによる訓練は、人材育成支援コースでは賃金助成の対象に含まれません。

助成額・助成率

人材育成支援コースの助成額や助成率は、社員の雇用形態や企業規模によって変化します。

【経費助成率(カッコ内は中小企業以外の場合)】

雇用形態人材育成訓練認定実習併用職業訓練有期実習型訓練
正社員45%(30%)45%(30%)対象外
非正規社員60%45%(30%)60%
正社員登用した場合70%45%(30%)70%

【OFF-JTにかかる経費助成限度額(1人当たり)】

企業規模10~99時間100~199時間200時間以上
中小企業15万円30万円50万円
中小企業以外10万円20万円30万円

賃金助成は、コース内すべての訓練で1人1時間当たり、中小企業は760円、中小企業以外では380円です。

教育訓練休暇等付与コース

人材開発支援助成金の教育訓練休暇等付与コースについて、次の4つの内容を解説します。

  1. 概要
  2. 対象となる訓練など
  3. 対象となる経費・賃金
  4. 助成額・助成率

出典)厚生労働省 人材開発支援助成金(教育訓練休暇等付与コース)のご案内(詳細版)

概要

教育訓練休暇等付与コースは「社外の研修に参加する際に有給休暇を与える」制度を新規導入して、社員のスキルアップを積極的にサポートする企業へ助成を行うもの。社外で行われる研修や講座などに参加する場合、所定の休日を利用して社員が自費で参加したり、費用を社員の給与として計上したりする企業も多くみられます。

費用を捻出できない場合はスキルアップの機会を損失してしまうでしょう。こうした課題に対して支援するのが本コースの目的です。教育訓練休暇等付与コースでは3つの制度が用意されており、それぞれの制度において要件を満たした企業が助成を受けられます。

【各制度のおもな要件】

  • 教育訓練休暇制度:3年間で5日以上の有給休暇の取得を認めること
  • 長期教育訓練休暇制度:研修や訓練が長期にわたる場合に、30日以上の休暇の取得が可能な制度を導入した場合(有給、無給含む)
  • 教育訓練短時間勤務制度:30回以上の時短勤務や残業の免除が可能な制度を導入し、適用した実績が1回以上ある場合

社員を支援したい思いがあっても、業務に直接関係しない研修を受ける場合もあるため、制度としての導入を懸念する企業は多いかもしれません。本コースは、そうした思いを抱える企業を支援するための助成金制度でもあります。

対象となる訓練と要件

教育訓練休暇等付与コースの対象となるのは基本、社員がスキルアップに向けて自発的に社外の研修や講座などに参加する場合です。次のようなケースでは助成の対象にならないので注意しましょう。

【対象外の教育訓練】

  • 会社主催のOFF-JTやOJT
  • 自社の通常業務に付随すると判断されるもの
  • 座談会や視察旅行など実施目的が訓練と直接関連しないもの
  • 制度の休暇日以外の休暇日や短時間勤務適用外の日に行われる場合

社員のスキルアップを目的としていても、会社の業務命令で行われたものは対象になりません。

対象となる経費・賃金

教育訓練休暇等付与コースの対象となる費用は、研修や訓練に参加する費用と社員の賃金です。

助成額・助成率

教育訓練休暇等付与コースの助成額は次のように設定されています。カッコ内は賃金要件または資格等手当要件を満たす場合の金額です。賃金を向上させた企業に対し、賃金要件、資格等手当生産性要件のいずれかを満たす場合に助成金の引き上げが行われます。

支給対象制度賃金助成経費助成
教育訓練休暇制度30万円(36万円)
長期教育訓練休暇制度6,000円(7,200円)20万円(24万円)
教育訓練短時間勤務等制度20万円(24万円)

出典)厚生労働省 人材開発支援助成金(教育訓練休暇等付与コース)のご案内(詳細版)

教育訓練休暇等付与コースは要件がやや複雑になっているため、制度を検討する際は社会保険労務士に相談しておくとよいでしょう。

人への投資促進コース

人材開発支援助成金の人への投資促進コースについて、次の4つの内容を解説します。

  1. 概要
  2. 対象となる訓練など
  3. 対象となる経費・賃金
  4. 助成額・助成率

出典)厚生労働省 人材開発支援助成金人への投資促進コースのご案内(詳細版)

概要

人への投資促進コースは令和8年度までの期間限定の制度です。おもにデジタルやIT分野における高度な知識やスキルを習得し、時代の変化に対応できる人材育成を行うための費用を助成する内容になっています。

人への投資促進コースに含まれるのは、次の5つです。

  1. 高度デジタル人材訓練/成長分野等人材訓練
  2. 情報技術分野認定実習併用職業訓練
  3. 定額制訓練
  4. 自発的職業能力開発訓練
  5. 長期教育訓練休暇等制度

対象となる訓練と要件

人への投資促進コースにおける5つの訓練の内容は、次のとおりです。

  1. 高度デジタル人材訓練/成長分野等人材訓練:高度デジタル人材の育成のための訓練を行う企業に対する効率助成
  2. 情報技術分野認定実習併用職業訓練:IT分野未経験者の訓練を行う企業に対する効率助成(OFF-JTとOJTを組み合わせた訓練)
  3. 定額制訓練:サブスクリプション型の研修・訓練への助成
  4. 自発的職業能力開発訓練:社員が自発的に受講した訓練費用を負担する企業への助成
  5. 長期教育訓練休暇等制度:働きながら訓練を受講するための休暇制度などを導入する企業への助成

会場で行う集合研修や講座などにくわえて、オンラインで学習できるeラーニングも訓練の対象になっています。また、対象者は基本的に正規・非正規を問われません。

対象となる経費・賃金

人への投資促進コースで助成対象となるのは、訓練の費用と社員の賃金です。

助成額・助成率

人への投資促進コースにおける助成額や助成率は次のとおりです。カッコ内は中小企業以外を表します。制度を利用できる期間が限られているため、早めに検討しておきましょう。

訓練項目経費助成率賃金助成額(1人1時間当たり)
高度デジタル人材訓練75%(60%)960円(480円)
成長分野等人材訓練75%(75%)960円(960円)
情報技術分野認定実習併用職業訓練60%(45%)760円(380円)
定額制訓練60%(45%)
自発的職業能力開発訓練45%(45%)
長期教育訓練休暇等制度制度導入経費20万円1日当たり6,000円

出典)厚生労働省 人材開発支援助成金人への投資促進コースのご案内(詳細版)

事業展開等リスキリング支援コース

人材開発支援助成金の事業展開等リスキリング支援コースについて、次の4つの内容を解説します。

  1. 概要
  2. 対象となる訓練など
  3. 対象となる経費・賃金
  4. 助成額・助成率

出典)厚生労働省 人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)のご案内詳細版)

概要

事業展開等リスキリング支援コースとは、新規事業の立ち上げや事業の転換などにより、新たに必要となる知識やスキルを習得するために行った研修や訓練の費用を助成する制度です。企業の持続的な発展のために、新たな分野への展開や、成長分野の技術を取り入れた業務の効率化を支援する目的で助成が実施されています。

対象となる訓練と要件

事業展開等リスキリング支援コースで対象となる訓練は次の2パターンです。

  1. 事業展開で必要になる知識やスキルを習得するために行う社内外の研修
  2. 事業展開はしないが、社内でDX化やグリーン・カーボンニュートラル化推進に関連する知識やスキルを習得するための研修

eラーニングを含む、先の2パターンに該当するOFF-JTが対象となります。新規事業を展開する場合でも「運転免許を取得するための講習といった業務に直接関連しないと判断されるもの」「単独で受験して資格を取得できる資格試験」は助成の対象外となるため注意が必要です。

対象となる経費・賃金

事業展開等リスキリング支援コースで対象となるのは次の経費と賃金です。

  • 研修会場や設備の利用料(会場使用料、マイクやボードなど)
  • 研修に必要なテキストなどの購入費
  • 外部講師を招く場合の旅費や手当て
  • 所定労働時間内の社員の賃金

事業展開等リスキリング支援コースでは、eラーニングによる研修や通信制による講座などは賃金助成の対象外となります。

助成額・助成率

事業展開等リスキリング支援コースの助成額と助成率は次のとおりです。

企業規模経費助成賃金助成(1人1時間当たり)上限額10~99時間上限額100~199時間上限額200時間以上
中小企業75%960円30万円40万円50万円
中小企業以外60%480円20万円25万円30万円

社内型スキルアップ助成金・民間派遣型スキルアップ助成金(東京都)

東京都の助成金制度のひとつである社内型スキルアップ助成金・民間派遣型スキルアップ助成金について、次の内容を解説します。

  1. 概要
  2. 助成内容
  3. 支給額・助成限度額

【問い合わせ先】

助成金の問い合わせ・申請方法

公益財団法人東京しごと財団 企業支援部 雇用環境整備課 「スキルアップ助成金」事務局

参考)公益財団法人東京しごと財団 社内型スキルアップ助成金・民間派遣型スキルアップ助成金

概要

社内型スキルアップ助成金・民間派遣型スキルアップ助成金は、中小企業の社員のスキルアップを目的に、研修や訓練で発生する費用を助成する制度です。申請するには、中小企業に該当する条件として次の内容を満たす必要があります。

業種資本金額もしくは出資総額常時使用する社員数
サービス業5,000万円以下100人以下
飲食業・小売業5,000万円以下50人以下
卸売業1億円以下100人以下
上記以外3億円以下300人以下

出典)公益財団法人東京しごと財団 社内型スキルアップ助成金・民間派遣型スキルアップ助成金

これにくわえて、下記5つの条件を満たさなければなりません。

  1. 東京都内に本社や支店などの登記がある
  2. 研修や訓練に関連する費用を社員に負担させていない
  3. 研修や訓練を所定の勤務時間内に行い、賃金を支払っている
  4. 国や地方公共団体から同様の助成を受けていない、今後も受けない
  5. 過去5年間に法令違反がない

また、みなし大企業に該当する場合や、事業協同組合・商工組合などの団体職員は社内型スキルアップ助成金・民間派遣型スキルアップ助成金の対象外となります。

助成内容

社内型スキルアップ助成金・民間派遣型スキルアップ助成金の対象となる研修や訓練は次のとおりです。

 社内型スキルアップ助成金民間派遣型スキルアップ助成金
訓練時間3時間以上12時間未満/1コース3時間以上20時間未満/1コース
実施場所東京都内東京都内
修了者数2名以上1名以上
実施方法集合型研修・同時かつ双方向のオンライン研修集合型研修

参考)公益財団法人東京しごと財団 社内型スキルアップ助成金・民間派遣型スキルアップ助成金

対象となる研修や訓練はいずれもOFF-JTです。対象者は正社員・非正規社員を問いません。また修了者とは、研修や訓練時間の8割以上に出席した者を指します。

支給額・助成限度額

社内型スキルアップ助成金・民間派遣型スキルアップ助成金の支給額や限度額は次のとおりです。

【社内型スキルアップ助成金】

  • 対象となる参加社員数×時間数×730円

【民間派遣型スキルアップ助成金】

1人当たりの受講料の1/2もしくは2万5,000円のいずれか低い額

・非正規社員が受講者の2割以上いた場合:受講料の2/3もしくは2万5,000円のいずれか低い額

申請できる上限額は、社内型スキルアップ助成金と民間派遣型スキルアップ助成金を合計して100万円です。

オンラインスキルアップ助成金(東京都)

オンラインスキルアップ助成金について、次の内容を解説します。

  1. 概要
  2. 助成内容
  3. 助成対象経費
  4. 助成額・助成限度額

【問い合わせ先】

公益財団法人東京しごと財団 企業支援部 雇用環境整備課 「スキルアップ助成金」事務局

参考)公益財団法人東京しごと財団 令和5年度オンラインスキルアップ助成金

概要

オンラインスキルアップ助成金は、中小企業が社員のスキルアップや知識の向上を目的に、eラーニングを活用した際に関連する費用を助成する制度です。申請できるのは、次の条件を満たす中小企業です。

業種資本金額もしくは出資総額常時使用する社員数
サービス業5,000万円以下100人以下
飲食業・小売業5,000万円以下50人以下
卸売業1億円以下100人以下
上記以外3億円以下300人以下

出典)公益財団法人東京しごと財団 令和5年度オンラインスキルアップ助成金

くわえて、次の条件を満たさなければなりません。

  1. 東京都内に本社や支店などの登記がある
  2. 研修や訓練に関連する費用を社員に負担させていない
  3. 国や地方公共団体から同様の助成を受けていない、今後も受けない
  4. 過去5年間に法令違反がない
  5. 指定の労働関係法に関連する条件を満たしている

また、みなし大企業に該当する場合や、事業協同組合・商工組合などの団体職員はオンラインスキルアップ助成金の対象外となります。

 助成内容

オンラインスキルアップ助成金の対象となるには、次の条件を満たすeラーニングである必要があります。

  1. 業務に必要な知識やスキルの習得、資格の取得を目的とするもの
  2. 受講者の受講履歴を確認できるもの
  3. オーダーメイドしたカリキュラムのeラーニングでないもの
  4. eラーニングの内容が試験問題のみになっていない

実施報告書を提出する際、受講履歴が確認できるもの、もしくは受講の修了が確認できる書類などが必要になります。

助成対象経費

オンラインスキルアップ助成金の対象となるのは次の経費です。

  • eラーニングの受講料
  • eラーニングに必要なID登録料
  • 受講状況を確認するために必要な料金

eラーニングを実施するためのパソコンなど、オンライン環境を整える機器や設備の購入、導入費用は、オンラインスキルアップ助成金の経費として認められていません。

助成額・助成限度額

オンラインスキルアップ助成金の助成額や限度額は次のとおりです。なお、オンラインスキルアップ助成金は、上限金額を満たすまで複数回、申請できます。

事業規模支給額上限額 
小規模企業(おもに常時使用する社員が5人以下)対象経費の2/327万円
小規模企業に該当しない中小企業対象経費の1/220万円
小規模企業に該当しない中小企業で受講者全体の2割以上が非正規社員の場合    対象経費の2/327万円

参考)公益財団法人東京しごと財団 令和5年度オンラインスキルアップ助成金

DXリスキリング助成金(東京都)

DXリスキリング助成金について、次の内容を解説します。

  1. 概要
  2. 助成内容
  3. 助成対象経費
  4. 助成額・助成限度額

【問い合わせ先】

公益財団法人東京しごと財団 企業支援部 雇用環境整備課 「スキルアップ助成金」事務局

参考)公益財団法人東京しごと財団 令和5年度DX リスキリング助成金募集要項

概要

DXリスキリング助成金は、中小企業のDX(デジタルトランスフォーメーション。デジタル技術とデータを活用して、ビジネスモデルを変革すること)に関連する人材育成の促進を目的とし、実施される研修に関わる費用を助成する制度です。

申請するには、中小企業として次の条件を満たす必要があります。

業種資本金額もしくは出資総額常時使用する社員数
サービス業5,000万円以下100人以下
飲食業・小売業5,000万円以下50人以下
卸売業1億円以下100人以下
上記以外3億円以下300人以下

出典)公益財団法人東京しごと財団 令和5年度DX リスキリング助成金募集要項

またこれにくわえて、次の条件を満たさなければなりません。

  1. 東京都内に本社や支店などの登記がある
  2. 研修や訓練に関連する費用を社員に負担させていない
  3. 社員の勤務時間内に研修や訓練を行っている
  4. 国や地方公共団体から同様の助成を受けていない、今後も受けない
  5. 過去5年間に法令違反がない
  6. 指定の労働関係法に関連する条件を満たしている

また、みなし大企業に該当する場合や、事業協同組合・商工組合などの団体職員は対象外となります。

助成内容

DXリスキリング助成金の対象として認められるには、次のふたつを満たしたOFF-JT型の研修や訓練を、東京都内で実施する必要があります。

  1. 研修や訓練は、集合型もしくはeラーニングで行われる
  2. 研修や訓練内容がDXに関連する知識やスキルアップを目的とするものである

DXに関連する訓練とは、おもに次の内容を目的としたものです。

  1. デジタル化による生産性向上・業務効率化
  2. 集客や売上アップに必要なマーケティング
  3. 組織力を高めるためのデータ戦略

また、講座内容としては次のようなものが対象となります。

  • AIやクラウドなどの基礎理論
  • UIやUXデザイン、開発技術
  • 経営戦略

DXリスキリングでは、6時間以上のオーダーメイド講座が対象として認められています。自社の課題に即した内容の研修を実施し、助成金の申請が行えるのは大きなメリットです。

助成対象経費

DXリスキリング助成金で対象となる経費は次の内容です。

  1. 研修や訓練の受講料
  2. 必要なテキストなどの購入費用
  3. IDやシステム管理費用
  4. サービス会社に自社の課題抽出を依頼した費用

DXは高度な専門知識を要するため、社内で必要な課題を見極めるのは困難です。DX推進を支援している研修サービス会社に依頼して、ヒアリングするとよいでしょう。

助成額・助成限度額

DXリスキリング助成金の助成額は、対象経費の2/3で上限金額は64万円です。上限金額に到達するまでは、複数回の申請ができます。

社員研修に助成金を使用するメリット

社員研修に助成金を使用するメリットには、おもに次のような内容が挙げられます。

  1. 良質な社員研修を実施できる
  2. 中小企業が対象の助成金制度もある
  3. 派遣会社と共同して訓練を実施する助成金制度もある

良質な社員研修を実施できる

助成金が活用できれば、より高度な社員研修が実施できます。研修の質を高めて社員の成長を促進できれば、生産性の向上といったメリットももたらされるでしょう。また、研修費用を抑えられると、ほかの分野に投資できる金額が増えます。それを優先すべき課題の改善に役立てるのも可能になるでしょう。

中小企業が対象の助成金制度もある

助成金制度の多くは中小企業が対象です。中小企業では、人材育成や新規採用にコストをかけられないといった課題を抱える企業が多く存在しています。助成金制度は社員の成長に、また企業が抱える課題の解決に役立てるための支援制度です。積極的に助成金制度を活用するとよいでしょう。

派遣会社と共同して訓練を実施する助成金制度もある

企業によっては、正社員数を増やせるだけの余裕がなく、派遣社員を多く雇っている場合もあるでしょう。人材開発支援助成金の人材育成支援コースでは、派遣社員も対象者に含まれます。派遣社員にスキルアップしてもらい、助成金で削減できる費用によって、正社員登用を実現できる可能性が高まるかもしれません。

派遣社員のスキルアップで正社員登用できれば、正社員不足の解消や生産性の向上も期待できます。正社員登用は重要な経営戦略のひとつであり、助成金制度を活用するメリットは大きいでしょう。

社員研修で助成金を活用する際の注意点

社員研修で助成金制度を活用する際は、次の2点に注意しましょう。

  1. 実施したい社員研修が助成対象にならない場合もある
  2. 助成金の申請期間が定められている

これらの点を把握していない場合、申請を受けつけてもらえなかったり、審査にとおらなかったりするかもしれません。2つの注意点について、詳しくみていきます。

実施したい社員研修が助成対象にならない場合もある

助成金の受給要件と社内で行う研修内容が必ず一致するわけではありません。内容によっては助成金制度の活用を断念しなくてはならないケースもあり、注意が必要です。また社員研修も助成金制度も、大きな目的は社員の成長を通じて、優秀な人材の確保や人手不足の解消など、会社の利益につなげること。助成金を受給するために研修を企画すると、社員の成長につながらなかったり、反感を買ってしまったりといったリスクが生じるでしょう。

助成金の申請期間が定められている

助成金制度の大半は申請できる期間が決められています。しかし多くの場合、初回のアナウンス以降、申請の開始時期や申請期限などについて大きな告知はほぼありません。そのため、気づいたら期間が過ぎていて申請できなかったというケースも多くあります。助成金制度を検討する際は、担当者の定期的な情報確認をルーティン化、仕組み化するなどして、期間内に確実に申請できるようにしましょう。

助成金における申請手続きの流れ

助成金の申請手続きは、おもに次のような流れで行います。

  1. 研修を企画する:対象者や日程、内容や目的、予算などを検討する
  2. 制度の対象かどうか確認する:自社の研修内容や研修参加者が制度の対象かどうかを確認する。必要に応じて社会保険労務士に相談する
  3. 実施計画書の作成・提出:申請の締切日を確認し、期日までに実施計画書を作成して提出する
  4. 研修の実施:実施計画書どおりに研修を実施する
  5. 申請書の提出:研修が終了したら期日までに実績報告として申請書を提出する
  6. 受給:支給審査にとおれば受給となる

厚生労働省・地方自治体によって手順が前後する場合があるものの、おおむねこうした流れで申請手続きを進めます。申請書の様式などは、厚生労働省や地方自治体のホームページからダウンロードできるほか、制度によっては電子申請が可能です。助成金の申請から受給までを請け負ってくれる研修サービス会社もあるため、必要に応じて検討、相談してみるとよいでしょう。

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社員の成長は企業の成長に必要不可欠です。人材育成の予算が確保できずにいる企業も、助成金制度の活用によって研修や訓練を実施できる可能性が高まります。まずは助成金制度と照らし合わせて「これまで実施していた研修で助成金の申請ができるものがないか」「実現をあきらめていた研修ができるようになるかどうか」確認してみるとよいでしょう。

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