コンプライアンス動画研修で失敗しないために|効果を最大化する導入・運用ガイド

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2025年12月8日(月)

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ヒューマンキャピタルパートナーズ株式会社 代表取締役/人的資本経営・組織開発コンサルタント

堂前 晋平

組織・人材開発の専門家として、社員1万人を超える大手IT企業から10名以下の日本料理店まで、延べ500社・5万人超の支援実績を持つ。
大企業での営業経験を経て、ベンチャー企業にて支社設立・事業責任者・取締役としてIPO、さらに子会社設立を経験。上場企業のグループ人事責任者としてM&A後のPMIを担い、社員70名から400名への急成長を支援。これらの多様な経験を活かし、経営と人事の両視点から戦略的人材マネジメントを実践。日本経営品質賞本賞、ホワイト企業大賞、グッドカンパニー大賞などの受賞に寄与。2023年8月manebiのCPO(Chief People Officer)就任。現在はISO30414のリードコンサルタントとして人的資本経営の推進支援や社員研修の講師としても登壇中。

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多くの企業で導入されている動画を用いたコンプライアンス研修は、「義務感から受講している」「とりあえず見るだけで終わる」という形で形骸化し、期待した行動変容につながっていないケースが散見されます。

しかし、これは動画というツールの問題ではなく、「研修設計」の問題です。

本記事では、コンプライアンス研修が形骸化するリアルな課題を深掘りし、情報漏洩やハラスメントなどの過去の失敗事例から学ぶ改善策を提示します。

研修を「単なるリスク対応」から「経営リスクを低減し、企業価値を高める能動的なツール」へと進化させるための実践的なヒントを提供します。

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コンプライアンス動画研修が形骸化する現状と課題

動画研修を導入しても「見るだけで終わってしまう」

動画研修は時間や場所を選ばず、均質な情報を全社員に提供できるメリットがあります。しかし、「いつでも見られる」がゆえに「いつでも後回しにできる」となりがちです。

  • 受動的な視聴: 一方的な情報提供形式では、社員は映画を見るような感覚になり、能動的な学習態度になりにくいです。
  • 義務感の受講: 「必須だから仕方なく」という意識が先行し、内容を深く理解し、自らの行動に落とし込む意欲が薄れます。
  • 進捗管理のみで満足: 管理側も「受講率100%」というKPI達成で満足し、行動変容の検証がおろそかになりがちです。

社員の理解度やモチベーションの差

コンプライアンス意識は、部門や職種、役職によって大きな差があります。

  • 知識レベルのバラつき: 法務部門や管理部門の社員と、現場の営業・開発職では、求められる知識レベルや前提知識に差があります。
  • 「自分事」にできない: 「うちの部署には関係ない」「あの部署の問題だ」と、内容を自分事として捉えられない社員が多いと、研修は効果を発揮しません。
  • 新入社員とベテラン層の溝: 新入社員には基礎知識が必要ですが、ベテラン層には過去の慣習と最新のコンプライアンス基準とのギャップを埋める「意識のアップデート」が必要です。

研修後の現場定着が進まない

研修で「知る」ことと、現場で「実行する」ことの間には、大きな壁があります。

  • 抽象的な内容: 法律の条文や一般論的な解説に終始し、**「では、自分の目の前でこの問題が起きたらどう行動すべきか」**という具体的な行動指針が示されないため、現場で応用できません。
  • 現場の圧力: 「コンプライアンスよりスピード・売上」という現場のプレッシャーや、上司の過去のやり方・慣習が、正しい行動を阻害します。
  • 「相談先」の不明確さ: 問題に直面した際に「誰に相談すればいいのか」「通報したらどうなるのか」という具体的なフローが不明確で、問題を内包化してしまいます。

よくある失敗パターンとその改善策

失敗パターン具体的な状況改善策(動画研修の工夫)
法律の読み上げ型法令解説が中心で退屈。現場での応用ができない。具体的なケーススタディを盛り込む。自社の過去事例や、あり得るシチュエーションをドラマ形式で再現。
一方的な配信型視聴後にテストがなく、理解度を測れない。動画内にクイズやチェックリストを挿入し、回答しないと次に進めない設計にする。
全社員一律型職種や役職に応じた内容の濃淡がない。対象者別に動画を分ける。(例:管理職向け「ハラスメントの指導・対処法」、一般社員向け「ハラスメントの定義・相談先」)
やりっぱなし型研修後のフォローアップや行動の変化を測定しない。研修後にアンケートやアクションプラン提出を義務付ける。半年後にフォローアップ研修を実施する。

時代の変化に対応したコンプライアンス動画研修設計

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コンプライアンスは「守るもの」から「企業価値を高めるもの」へと変化しており、研修も時代とともにアップデートが必要です。

ハラスメント防止法改正や多様性・DEI対応

2022年4月のパワハラ防止法(改正労働施策総合推進法)の全面施行など、法改正への対応は必須です。

  • 最新のハラスメント定義: SOGIハラ(性的指向・性自認)、アウティングなど、従来のハラスメントの枠を超えた多様性に関する知識を動画に組み込む。
  • DEI(Diversity, Equity, and Inclusion)の視点: 多様な社員が気持ちよく働くための相互理解の促進を目的とし、「ハラスメント防止」から「心理的安全性の高い職場作り」へと視点を転換させる。

テレワーク・リモートワーク時代の情報セキュリティ

働き方の多様化に伴い、情報漏洩リスクも変化しています。

  • 場所とツールのコンプライアンス: 自宅やコワーキングスペースでのPC操作、私用デバイスの利用に関するセキュリティルールを具体的に指導する。
  • 「うっかり」の危険性: リモート会議での画面共有ミス、カフェでの盗み見リスクなど、テレワーク特有のヒヤリハット事例を動画で再現する。

ESG・SDGs視点での社会的責任やステークホルダー対応

コンプライアンスは法令遵守を超え、企業の社会的責任の範疇に広がっています。

  • サプライチェーンコンプライアンス: 取引先・外注先の選定基準や、人権・労働環境に配慮した取引の重要性を伝える。
  • ESG(環境・社会・ガバナンス): 企業活動が社会や環境に与える影響を意識させ、「なぜ、私たちはこの基準を守るのか」という倫理観を醸成する。

変化に応じて研修内容をアップデートする

研修を「一度きりのもの」にせず、継続的な運用体制を構築します。

  • コンテンツのモジュール化: 法改正や新たな不祥事発生時に、動画全体を作り直すのではなく、該当する部分(モジュール)だけを差し替えられるように設計する。
  • 「時事ネタ」コンテンツの追加: 発生したばかりの他社事例(匿名化)を解説する月次・四半期ごとのミニ動画を作成し、タイムリーな意識喚起を行う。

eラーニングでコンプライアンス研修を実践|運用のポイントとは

研修効果を測定し改善する方法

研修をコストではなく「投資」にするためには、その効果を測定し、PDCAサイクルを回すことが不可欠です。

KPIの設定

効果測定は多角的に行います。受講完了率のような「易しいKPI」だけでなく、より「難しいKPI」を設定することが重要です。

測定カテゴリKPI設定例目的
プロセス受講完了率100%、テスト正答率80%以上研修のインプットが確実に行われたか
アウトプット研修後の行動変容アンケートスコア上昇知識が「行動意図」に変わったか
インパクト内部通報件数の増加、ハラスメント相談件数の変動、監査での指摘事項減少組織文化・リスクの現実に変化があったか

定量・定性データの活用による研修効果の可視化

  • 定量データ: LMS(学習管理システム)のデータに基づき、受講者の視聴時間、テストの回答傾向(どの問題で間違えやすいか=組織の弱点)を分析します。
  • 定性データ: 研修後のアンケートにおける「自由記述コメント」、研修内容に関する社内SNSでの議論の量や質などを分析し、研修の「熱量」を把握します。

再研修やフォローアップを組み込んだ改善サイクル

研修は「一回きり」では意味がありません。継続的なサイクルが行動を定着させます。

  1. Plan: KPI達成状況と定性データから、組織の弱点(例:管理職層の理解不足)を特定。
  2. Do: 弱点を補強するためのターゲット別フォローアップ動画や、集合形式でのディスカッションを実施。
  3. Check: フォローアップ後のKPI(特に通報件数などのインパクトKPI)の変化を測定。
  4. Action: 次年度の研修コンテンツや対象者、運用方法を改善する。

研修成果を組織文化や評価制度と連動させる方法

真の行動変容は、評価制度と連動した時に起こります。

  • 管理職の評価項目への追加: 管理職の評価基準に「部下からのハラスメント相談件数の少なさ」や「部下のコンプライアンス意識向上のための活動」を組み込む。
  • 昇進・昇格の要件化: 昇進・昇格時の必須研修の受講だけでなく、「コンプライアンスに関する行動評価」を組み込み、意識の高さを人事評価に反映させる。

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manebi eラーニング導入事例から学ぶ実践と効果

多くの企業がコンプライアンス研修の効果最大化を目指し、manebi eラーニングを導入しています。ここでは、特にコンプライアンス分野で成果を上げた3社の事例をご紹介します。

事例1:外為ファイネスト株式会社

課題eラーニング活用方法効果
金融業界特有の最新のコンプライアンス事情に合わせた継続的な教育が求められていた。毎月テーマを設定して最新事情に合わせたコンプライアンス教育を実施。常に新しいコンプライアンス知識を社員に提供する継続的な学習環境を構築。時代に即した意識統一を維持。

事例2:ヤンマー保険サービス株式会社

課題eラーニング活用方法効果
保険会社特有のコンプライアンス研修や商品研修が頻繁に発生し、学習の定着度を測る仕組みがなかった。社内で行う研修をZoomで録画し、manebiに自社教材としてアップロード。さらに〇×テストを組み合わせて学習を促進。コンプライアンス教育での意識統一に大きく貢献し、社内学習が飛躍的に向上。テスト導入により受講者がしっかりと学習する仕組みを構築。

事例3:株式会社ダイキアクシス

課題eラーニング活用方法効果
内部統制教育が必須でありながら、研修の受講漏れ管理が煩雑で、コスト削減も課題だった。コンテンツの豊富さと柔軟なID数変更が可能なmanebiを導入。必須の内部統制教育(コンプライアンス)に活用。受講率100%を達成し、学習管理システムによる受講漏れ管理が容易に。研修コストを40%削減することに成功。

【コンプライアンス研修】eラーニング導入のメリットとシステムの選び方【事例付き】

manebi eラーニングで実現する「自社最適化と継続的な運用」

コンプライアンス研修の効果を最大化するには、これらの要素をすべて満たす運用基盤が不可欠です。

例えば、manebi eラーニングのようなサービスを活用すれば、コンテンツとシステムの二面から研修を強化できます。

  • 基礎知識はプロのコンテンツで網羅: 情報漏洩やハラスメント防止など、専門的な基礎知識はmanebiの充実したコンプライアンス動画コンテンツで効率的にカバーできます。
  • 自社特有のルールを徹底定着: 動画制作のコツで学んだ自社オリジナルの研修動画をmanebiのプラットフォームにアップロードし、全社員に配信・管理することで、「自社特有のリスク」に対する意識向上を徹底できます。
  • 効果測定と改善サイクルを支援: 受講履歴、進捗状況、テスト結果などのデータを一元管理し、研修効果の可視化と改善サイクルを回すための運用負荷を大幅に軽減します。

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