eラーニングと集合研修の違い｜それぞれの効果的な活用法とブレンディッドラーニングについて

社員研修
eラーニング

2025年9月30日(火)

監修者

ヒューマンキャピタルパートナーズ株式会社代表取締役／人的資本経営・組織開発コンサルタント

堂前晋平

組織・人材開発の専門家として、社員1万人を超える大手IT企業から10名以下の日本料理店まで、延べ500社・5万人超の支援実績を持つ。
大企業での営業経験を経て、ベンチャー企業にて支社設立・事業責任者・取締役としてIPO、さらに子会社設立を経験。上場企業のグループ人事責任者としてM&A後のPMIを担い、社員70名から400名への急成長を支援。これらの多様な経験を活かし、経営と人事の両視点から戦略的人材マネジメントを実践。日本経営品質賞本賞、ホワイト企業大賞、グッドカンパニー大賞などの受賞に寄与。2023年8月manebiのCPO（Chief People Officer）就任。現在はISO30414のリードコンサルタントとして人的資本経営の推進支援や社員研修の講師としても登壇中。

＼お悩みに合わせてご提案します！まずはお気軽にご相談を／

ご相談はこちらから

企業の人材育成に関して、研修手法の選択は非常に重要な意思決定です。本記事では、eラーニングと集合研修それぞれの特徴や違いを詳しく解説し、効果的な活用法や導入ポイントまで、研修設計に必要な情報を含めてお伝えします。

学びを成果に変える研修をオーダーメイドで manebi 集合研修

集合研修とeラーニングの違い

集合研修とeラーニングは、それぞれ異なる特徴を持つ研修手法です。集合研修は講師と受講者が同じ時間・同じ場所で実施する対面式の研修であり、eラーニングは受講者がそれぞれのタイミングでオンライン上のコンテンツを学習する手法です。どちらも人材育成において重要な役割を担いますが、適用場面や期待できる効果は大きく異なります。

集合研修とeラーニングの比較表

比較項目	集合研修	eラーニング
学習効果・内容	◎ 実践スキル（ロールプレイング、グループワークなど）の習得に最適。講師や他者から直接フィードバックを得られる。	△ 知識のインプットには強いが、実践スキルの習得には工夫が必要。
モチベーション・一体感	◎ 講師や他の受講者と顔を合わせるため、緊張感や連帯感が生まれやすい。コミュニケーションも活性化する。	△ 一人で学習を進めるため、モチベーション維持が課題になりやすい。孤独を感じることも。
時間・場所の柔軟性	× 指定された日時に特定の場所に集まる必要があり、日程調整が必須。	◎ インターネット環境があれば、いつでもどこでも自分のペースで学習できる。
学習の均一性・個別最適化	△ 講師の質や参加者のレベルで内容にばらつきが出やすい。個人の習熟度に合わせた調整が難しい。	◎ 全員が同じ品質で学べるため、知識レベルを均一化しやすい。苦手分野の繰り返し学習も可能。
コスト	× 講師謝礼、会場費、交通費、宿泊費など、人件費を中心にコストが高くなりがち。	◎ 会場費などが不要で、一度導入すれば繰り返し利用できるため、コストを大幅に削減できる。

集合研修・eラーニングのメリット

集合研修のメリット

実践的スキルを習得できる

集合研修ではグループワークやロールプレイを通じて、知識だけでなく現場で役立つ実践的なスキルを身につけやすい特徴があります。

受講者同士の交流が生まれる

同じ場に集まることで自然にコミュニケーションが生まれ、社内ネットワークの強化やモチベーション向上につながります。

緊張感・モチベーションを高めやすい

講師や仲間と対面することで適度な緊張感が生まれ、学習に集中しやすくなります。仲間と一緒に取り組むことでモチベーション維持にもつながります。

eラーニングのメリット

時間や場所を問わずに学べる

インターネット環境さえあれば、受講者は自分のペースで好きなタイミングに学習を進められます。

コスト効率が高い

一度作った教材を繰り返し利用できるため、人数が多いほどコストメリットが大きくなります。

知識を均一化しやすい

全員が同じ教材で学ぶため、教育の標準化が可能で、知識レベルのばらつきを防ぎやすいです。

両者のメリットをすべて活かす「ブレンディッドラーニング」

集合研修とeラーニングそれぞれにメリット・デメリットがある中で、注目を集めているのがブレンディッドラーニングです。この手法は、一人一人の弱点をお互いに補完し合う効果的な研修方法として、多くの企業で導入が進んでいます。特に、研修効果の最大化と研修コストの最適化を同時に実現できる点で、人事担当者から高い評価を得ています。

eラーニングと集合研修の「いいとこ取り」｜ブレンディッドラーニングとは？

ブレンディッドラーニングとは、eラーニングと集合研修を組み合わせた研修の手法のことです。事前学習としてeラーニングで基礎知識をインプットし、集合研修で実践的なスキルやディスカッションを行い、事後学習で知識の準備を進めるこの組み合わせにより、学習定着率の向上と研修時間の短縮を同時に実現できます。

具体的な実施例として、新入社員研修では「ビジネスマナーや会社の基本情報をeラーニングで学習

→集合でロールプレイングや先輩社員との交流

→eラーニングで復習テストや応用問題」といった研修カリキュラムが効果的です。

manebi eラーニングは、低コストで場所・時間の制約を解消するeラーニング環境と、実践的スキル習得やチームビルディングを促す集合研修の双方の強みをまとめてサポートします。

学びを成果に変える研修をオーダーメイドで manebi 集合研修

【管理者】研修コストの削減と管理工数の劇的な効率化

ブレンディッドラーニングは、研修担当者にとって大きなメリットをもたらします。

集合研修のみで実施していた内容の一部をeラーニングに置き換えることで、会場費や講師料などの研修コストを30~50%削減できます。また、基礎知識の習得をeラーニングで完了させることで、集合研修の時間を短縮でき、より高度な内容に時間を集中できます。

管理面でのメリットとして、学習管理システムを活用した進捗管理の効率化があります。

従来の集合研修では受講者の理解を正確に把握することが困難でしたが、eラーニングの学習履歴データと集合研修での評価を利用することで、総合的な研修評価が可能となります。これにより、スケジュール調整の負担も軽減され、より戦略的な研修設計に集中できます。

【受講者】学習効果の最大化と知識定着の促進

受講者にとってのブレンディッドラーニングは、効率的で効果的な学習体験を提供します。事前のeラーニングで基礎知識を身に付けてから集合研修に参加するため、より深いディスカッションや実践的な演習に集中でき、学習満足度が向上します。

自己学習と他者との学習を行うことで、多様な学習スタイルに対応できます。

知識の確保ということでは、繰り返し学習の効果が期待できます。eラーニングで学んだ内容を集合研修で実践し、さらに事後のフォローアップ学習で振り返ることで、記憶の確保率が大幅に向上します。

【会社全体】教育レベルの均一化と組織力向上

組織全体への影響として、ブレンディッドラーニングは教育レベルの均一化に大きく貢献します。eラーニングで全員が基礎知識を確実に習得した上で集合研修に臨むことで、研修後の能力底上げが図れます。

これは特に、全国に拠点を持つ企業や大規模組織において重要な効果とされています。

また、管理職や先輩社員も巻き込んでブレンディッドラーニングを実施することで、組織全体での知識共有や相互支援の風土が育まれ、長期的な組織力向上につながります。

最適なのはどれ？目的別に使い分ける3つの手法

研修手法の選択は、目的や受講者の特性、組織の状況によって決まります。効果的な人材育成を実現するためには、それぞれの手法が最も適用される場面を正確に把握し、適切な研修方法を選択することが重要です。ここでは、具体的な活用シーンと選択基準について詳しく解説します。

【eラーニングが最適なケース】知識のインプットを効率化・均一化したい

eラーニングは、全社員に共通の知識を短期間で伝える必要があるときや、研修リソースが限られている企業にとって特に効果的です。特に、コンプライアンスや情報セキュリティなど、全社員が理解すべき内容に強みを発揮します。

導入事例：ヤンマー保険サービス株式会社（詳しくはこちら）

社員42名のヤンマー保険サービスでは、これまで外部提供される保険商品研修は整備されていた一方で、コンプライアンス教育は統一的に学べる仕組みが不足していました。そこで manebi eラーニングを導入し、2か月ごとに動画コンテンツを配信、テストで理解度を確認する仕組みを構築しました。

その結果、受講者全員が同じ教材で学習できるようになり、知識のバラつきを防ぐ効果が得られました。また、コースマップ機能により「次に何を学ぶべきか」が明確化され、学習スピードと完了率も向上。全社員で共通認識を持つことができ、意識の均一化にもつながっています。

【集合研修が最適なケース】実践的なスキルやチームの一体感が重要

集合研修は、コミュニケーション力、リーダーシップ、など、実践的なスキルの習得に最適です。他者との相互作用を通じて課題解決力を養えるほか、チームビルディングや組織文化の浸透にも効果を発揮します。
具体的にはロールプレイングやケーススタディ、グループディスカッションを通じて、実際の業務を想定した実践力を養成します。

導入事例：新橋製紙株式会社（詳しくはこちら）

社員80名規模の新橋製紙では、「どこから教育を始めるべきか」「世代間ギャップをどう埋めるか」といった課題を抱えていました。そこで manebi の対面研修サービスを導入し、参加者同士がチームを組んで非日常的な課題に取り組む形式を採用。新鮮で楽しい学びの場が社員の積極性を引き出すことに成功しました。

研修を通じて社員間に共通認識が生まれ、営業報告の質向上など具体的な成果が出ました。さらに講師からの客観的な評価により自社の強みを再認識でき、組織の一体感が高まっています。

【ブレンディッドラーニングが最適なケース】知識と実践力を高いレベルで両立させたい

知識のインプットから実践的スキルの定着までを効率的に行いたい場合には、事前学習と集合研修を組み合わせるブレンディッドラーニングが特に有効です。以下はそうした設計を体現している導入事例です。

導入事例：株式会社キンライサー（詳しくはこちら）

社員147人のキンライサーでは、対応力やお客様応対力の向上、組織文化の醸成を目的として、ただ集合研修を行うだけでなく、事前にレポート提出を含むeラーニングを行ってから対面での研修を実施する形式を採用しています。

具体的には、自社で作成したコンテンツを事前課題として受講者に視聴してもらい、学んだ内容をレポートでアウトプット。その後集合研修でそのレポートを元に議論やディスカッションを行うことで、実践力を引き上げる設計です。

また、研修後には実際のお客様先でトレーニング課スタッフが同行し、現場での対応をモニタリングしてフィードバックするという“体験‐観察‐改善”を取り入れています。これにより、受講者が座学で得た知識を、現場で具体的に活かせているかが明確になっています。

＼どう変わった？導入企業のリアルな声をチェック／

成功事例を見てみる

既存の集合研修をeラーニングに移行する方法

多くの企業では、これまで集合研修で実施してきた内容をeラーニングとして提供したいというニーズが高まっています。ただし、単純な置き換えだけでは期待した効果が得られない場合もあります。ここでは、その方法について解説していきます。

集合研修を撮影し動画として配信

最も簡単で実現しやすい方法は、自社の集合研修を撮影して動画コンテンツとして配信することです。

講師の講義内容をそのまま活用できるため、コンテンツ制作にかかる時間と費用を大幅に削減できます。特に、社内の専門知識を持つ講師研修や、外部講師を招いた貴重な講演内容を保存・活用する際に効果的です。

ただし、単純な撮影だけでは視聴者の集中力を維持することが困難な場合があります。そのため、10〜15分程度のチャプターに分割する、重要なポイントでテロップを追加する、理解度確認のための小さなテストを挟むなどの工夫を行いましょう。

また、集合研修特有のグループワークやディスカッション部分は、別途オンラインでのグループワーク設計や、事前・事後課題として完了することがおすすめです。

講義資料をベースとして教材を作成

より効率的なeラーニング化を進めるためには、自社の講義資料をベースにインタラクティブな教材を作成する方法があります。

PowerPointやPDF資料に音声解説を追加したり、クイズやケーススタディを組み込んだりすることで、自己学習に適した教材に変換できます。この方法では、受講者の理解度に応じたペース調整や、苦手分野を中心とした学習が可能となります。

教材作成の際は、学習者の視点を重視した設計が重要です。集合研修では講師が口頭でなんとなくしていた内容を明文化する、図表やイラストを用いて視覚的に分かりやすく、実務に直結する具体例を豊富に盛り込むなどの配慮が必要です。

すべての研修形式をサポート｜manebi

研修手法の選択や組み合わせを検討する際には、適切なプラットフォームとサポート体制が重要な要素となります。manebiでは、eラーニング、集合研修、ブレンディッドラーニングのすべてに対応できるようなソリューションを提供し、企業の多様な研修ニーズに応えています。特に、AI搭載の学習管理システムと豊富なコンテンツライブラリにより、効果的な人材育成を実現します。