批判的思考とは?得られるメリットや身につけるポイントをわかりやすく解説

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2024年7月9日(火)

目次

批判的思考はクリティカルシンキングともいわれ、論理的思考と訳されるロジカルシンキングとともにポピュラーな思考法として知られています。顧客のニーズが多様化する現代、論理的思考だけでは解決できない課題もあるでしょう。批判的思考を活用すると、多様化するニーズへの課題を解決可能です。

本記事では、批判的思考の重要性やメリットについて解説します。批判的思考を身につけ自社の業務に役立てたい人事・研修担当の方は、ぜひ参考にしてください。

批判的思考とは

クリティカルシンキングともいわれる批判的思考は本質的な事柄を深く考える思考法のこと。まずは批判的思考の概要について詳しく解説します。

批判的思考の意味

批判的思考とは、前提となる事実が本当に正しいのかを明らかにして、さまざまな角度から論理的に考える方法のこと。これまでの仕事のやり方や習慣などに影響を受けず、ビジネスの本質を見極めることが批判的思考の特徴といえます。「批判的」という言葉から否定的な思考法と受け取られる場合もあります。しかし、単に否定的という意味ではありません。

批判的思考で重要なポイントは「なぜなのか」や「本当に正しいのか」といった疑問を持つこと。事実をベースにして考える手法であり、感情や主観に左右されにくいことが批判的思考の特徴です。

論理的思考との違い

批判的思考とよく似た言葉に論理的思考(ロジカル・シンキング)があります。論理的思考とは、結論と根拠のつながりをとらえながら物事を理解する考え方です。結論をまず述べたうえで結論に至る理由を説明することで相手にわかりやすく伝えられます。

課題を解決するために原因を特定し解決策を立案するケースでは、論理的思考が効果的です。論理的思考と批判的思考の共通点は、ともに論理的に物事を考えて相手にわかりやすく伝えることといえます。論理的思考が推論を重ねて結論を得る思考法である一方、批判的思考は論理的思考をもとにして本格的な課題を得るための考え方です。

批判的思考の重要性

あらゆる変化のスピードが早く、将来の予測が困難な現在、本質的な課題の解決策を見つけるには、多角的で論理的に考える批判的思考を取り入れることが求められます。たとえば、顧客ニーズに関する変化では「品質のよい商品を提供すれば売れる」といったこれまでの常識では通用しないでしょう。

情報があふれる現代「自社の課題を解決するために必要なものが何か」を考え、必要な情報を選ぶことが重要です。多様化する顧客ニーズに対応するには、論理的思考だけでなく多角的に考える批判的思考も重要といえます。

批判的思考で得られる3つのメリット

物事の本質が見抜けるようになることや問題解決の精度アップなどが、批判的思考で得られるものです。ここでは、批判的思考の3つのメリットについて解説します。メリットを確認して、自社の課題解決のために役立ててください。

物事の本質を見抜けるようになる

批判的思考は物事の本質を見抜く思考法ゆえ、客観的な思考を持てるようになります。また疑いをもとに事実を見て必要かどうか判断するため、必要のない情報を見つけることにも役立つのです。それにより、必要となる事実だけをベースに物事を検討できるようになるでしょう。必要な情報だけで物事を検討できるようになることで課題解決につながります。

視点を変えることで新たなアイデアの発見につながる

批判的思考を用いると、新しいアイデアの発見につながるでしょう。誰でも経験を積み重ねていくうちに「自分の考えは間違っていない」と思い込んでしまうことは少なくありません。批判的思考では「自分の考えは間違っているかもしれない」と疑うため、新しいアイデアを発見できるのです。

たとえばプロジェクトを達成するために「人員補充が必要」という結論を批判的思考に結びつける場面を考えてみましょう。批判的思考では、すぐに人員補充をするのではなく「本当に人員補充が必要なのか」疑ってみます。その結果プロジェクト達成には「業務効率化が必要」という本質を導き出し、新しい気づきを得られるのです。このように批判的思考を取り入れることで、アイデアの発見や解決策につながる場合があります。

問題解決や意思決定の精度を高められる

事実から物事の矛盾や漏れを探すため、余分な情報を取り入れず問題解決や意思決定の精度を高められることも批判的思考のメリットです。たとえば顧客ニーズの把握や競合調査の結果に矛盾や漏れがあると、売り上げにつながる結論を導き出せない可能性があります。批判的思考を用いて矛盾や漏れをなくせば、問題解決の精度を高められ、正しい結論を導き出せるでしょう。

批判的思考のやり方と4つのステップ

批判的思考のやり方の手順は、以下のとおりです。それぞれ詳しく解説します。

  1. ゴールを明確にする
  2. 現状・前提条件を分析する
  3. 課題や矛盾点を洗い出す
  4. 問題を解決する方法・行動を決める

ゴールを明確にする

批判的思考では、ゴールを明確にすると、批判的思考を用いる理由を把握できます。その際は、以下を意識してゴールを設定してみてください。

  • 具体的な内容にする
  • 数値目標を設定する
  • 現実的に達成できるものにする
  • 目標は目的や課題に関連させる
  • 期限を設定する

売り上げを具体例に考えてみましょう。この場合のゴールを「商品Aの売り上げを6か月以内に30%アップさせる」とします。売り上げを上げたいものを商品Aと具体的に決め、数値目標を30%と掲げ、自社のビジネスに関連する内容にします。「6か月」という期限や「6か月以内に30%アップ」という現実に達成可能なゴールを設定することが批判的思考を行ううえで大切なのです。

現状・前提条件を分析する

現状・前提条件を分析するには、漏れや重複がないようにし、現状の課題を分解し解決法を導くことが重要です。現状・前提条件は、自社商品の市場や環境、戦略など、課題になっている要素について検討します。漏れや重複がないようにするには、MECE(ミーシー)のフレームワークが有効です。

MECEは「漏れなくダブりなく」を示す言葉で、MECEのフレームワークのひとつに、SWOT分析があります。SWOT分析は、自社を取り巻く環境と自社の強み・弱みを分析するフレームワークです。下記の頭文字をとってSWOTと呼ばれています。

  • 強み(Strength)
  • 弱み(Weakness)
  • 機会(Opportunity)
  • 脅威(Threat)

また、現状・前提条件を分解して分析する際はロジックツリーが有効です。ロジックツリーは、課題を分解して解決策を導く方法。MECEで漏れなく重複なく分析する要素を出し、ロジックツリーで要素を分解します。

たとえばMECEで「強みは商品力の高さ、弱みは価格の高さ」という要素を出してロジックツリーで商品力を分解する場合、自社の強み=「性能のよさ・デザイン性の高さ」など具体的に分析できるでしょう。現状・前提条件を分析する際は、前提条件が正しいのか確認し、自分の固定観念や経験則で判断しないことが重要です。

課題や矛盾点を洗い出す

現状とゴールにどれくらい差があるのか、課題や矛盾点を洗い出します。主観的な感情を入れず客観的な視点で現状とゴールの差を見つけ、課題や矛盾点を洗い出すことがポイントです。課題や矛盾点を洗い出すには、SWOT分析を利用する方法があります。

SWOT分析は、自社の強み・弱みと外部環境を分析するフレームワークです。自社の強みや弱み、機会・脅威を書き出します。

  • 機会:外部から自社を見たときにチャンスとなり得る要素のこと。たとえば「エリア内に競合店が少ない」「競合店での商品・サービスの品質が自社より低い」など
  • 脅威:自社の立場を脅かし障害となる要素。たとえば「近隣に競合店が出店した」「業界の需要が縮小している」など

また、業界の優良企業や競合他社を比較すると、自社の課題を発見できます。ベンチマークを行えば、課題や矛盾点を明確にできるでしょう。自社の重要課題の解決策に仮説を立て、仮説を実行するのも批判的思考の実施には必要です。

問題を解決する方法・行動を決める

洗い出した課題・矛盾点を解決するにはどうするべきかを決めます。問題解決するための行動を決めるにはPDCAサイクルの利用がおすすめです。PDCAサイクルは、計画・実行・検証・改善を順に行う問題解決のフレームワークのこと。PDCAサイクルを利用すると、継続的に課題が解決できるでしょう。

また、PDCAサイクルに似たものにOODA(ウーダ)ループがあります。OODAループは、以下の言葉の頭文字を取ったフレームワークです。

  • Observe(現状を客観的に観察)
  • Orient(状況判断、方向づけ)
  • Decide(行動の意思決定)
  • Act(行動)

OODAループは、自社の状況が変化した際に素早く対応でき、ビジネス環境が短期的に変化しても対応しやすいです。一方PDCAサイクルは、順を追って行うため、長期的な改善に向いています。自社に合ったやり方で問題解決へとつなげましょう。

批判的思考力を身につける3つのポイント

組織内に批判的思考力を持った人材がいれば、自社ビジネスの継続的な改善が望めるでしょう。人材育成の視点から、批判的思考力を身につける3つのポイントを解説します。

あらゆる視点から物事を疑い続ける

批判的思考力を身につけるには、あらゆる視点から物事を疑い続けることがポイントです。最初から結論となる答えを1つに決めつけないようにします。なぜなら結論を限定的に決めてしまうと事実を疑いにくくなり、さまざまな角度から物事を考えられなくなるからです。

また、これまでの仕事のやり方や常識といった枠にとらわれないことも批判的思考を身につける際には重要となります。これまでの仕事のやり方や常識の範囲内で思考すると、あらゆる視点で考えられず、本質的な改善とはならないからです。

批判的思考は短期間で習得できるものではありません。あらゆる視点から物事を問い続けることで次第に身につきます。仕事を効率よく行うためやチームをまとめるためなど、仕事上の課題を解決する目的を決めて批判的思考を行うこともポイントです。

思考癖や偏見を意識する

思考癖や偏見で物事を考えると客観的に思考できないため、自分の思考癖を意識することが大切です。主観をなるべく入れず客観的に考える習慣をつけていけば、批判的思考が身につくでしょう。

客観的な思考をするためにも、ルールにとらわれず「ほかの策はないか」「ほかの要因は考えられないか」などの視点から訓練してみましょう。また、自分に思考癖や偏見があるかがわからない場合、仮説と検証を行うと自分の思考癖に気づきやすくなります。

たとえば、同期のAさんはコミュニケーションスキルが高く誰とでもうまく仕事ができるから、リーダーに適任という仮説を立てたとしましょう。そして「リーダーの条件はコミュニケーションスキル以外にないのか」「Aさん以外にリーダーとなる人材はいないのか」など仮説が正しいのかを確認します。自分の仮説が妥当であるかを確認することで、思考癖や偏見に気づきやすくなるでしょう。

事実なのか意見なのかを見極める

単なる意見ではなく、事実にもとづいて考える習慣を積むと、客観的に物事を理解できるようになり、批判的思考を身につけられます。事実とは実際に起こったことで、たとえば「前年の売り上げ額4,000万円に対し、今期売り上げ額は5,000万円だった」「前年の利益率20%に対し今期の利益率は30%だった」などの発言です。

一方、意見とは自分の主張や考えを指します。たとえば、「今年度の売り上げや利益は前年度の実績を超えたと思う」といった発言になります。たとえ「前年度の売り上げ額や利益よりも今期の実績がよかった」という同じ結論だとしても、事実と単なる意見の2つがあると見わける必要があります。

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批判的思考とは、前提となる事実が正しいのか検討して物事の本質を理解する考え方です。あらゆることの変化が早い現在、課題を解決する手段の一つとして注目されています。経営を安定させるには、自社の課題を解決できる批判的思考を社員に身につけてもらうことが重要です。

批判的思考を身につけるには、時間や場所を選ばず実施できるオンライン研修を選ぶとよいでしょう。批判的思考の研修を実施する際、オンライン研修とeラーニングコンテンツを提供しているmanebi eラーニングを活用できます。

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