リフレーミングとは?意味や組織の導入メリット、やり方をわかりやすく解説

  • 人材育成

2024年7月2日(火)

目次

リフレーミングは、物事や状況を別の視点からとらえ直す思考法です。近年、ビジネスシーンではリフレーミングの活用が進んでいます。まさに現在、リフレーミングを取り入れようと検討中の担当者もいるのではないでしょうか。

この記事では、リフレーミングの意味や組織で取り入れるメリット、実践方法などを解説します。ぜひ参考にしてください。

リフレーミングとは?

リフレーミングとは、「物事や状況の枠組みを変えて、別の視点でとらえ直す」という心理学用語のこと。たとえば、業務や人間関係が原因でネガティブな気持ちになることもあるでしょう。そのようなとき、リフレーミングにより考え方や見方を変えてみると、ポジティブな気持ちになれる可能性があります。

リフレーミングとポジティブシンキングとの違い

  • ポジティブシンキング:物事を前向きにとらえる思考法。「つらいときでも何とかなる」と、深く考えなかったり、気を紛らわせたりして対処する
  • リフレーミング:「相手の立場に立つ」「別の角度から見てみる」というように「物事をとらえる視点を変えること」にフォーカスする

リフレーミングの種類

リフレーミングの対象は、「現在の状況」と「物事の内容」にわけられます。それぞれについて、リフレーミングのポイントを解説します。

状況のリフレーミング

好ましくない状況に置かれている人は、状況の見方を変えるリフレーミングを活用してみましょう。状況の見方を変えると、多角的に分析でき、課題解決に向けて積極的にアクションを取れるようになるからです。また、悲観せずに済めばモチベーションも維持できます。

内容のリフレーミング

出来事や機会に対して、納得いかない、悲しいなどと感じるときもリフレーミングで対応できます。物事の意味をとらえ直すと、前向きに行動する気持ちが湧いてきます。たとえば、難しいプロジェクトの責任者に任命されたとしましょう。リフレーミングを意識すると、「苦労するかもしれないが、成長できるチャンスになるかもしれない」と前向きな視点を持てます。

リフレーミングを組織作りに取り入れる4つのメリット・効果

自社にリフレーミングを導入すると、社員がパフォーマンスを発揮しやすい環境を整えられます。リフレーミングを組織作りに取り入れるメリット・効果を解説します。

社員のモチベーションアップにつながる

仕事をしていると、ミスや失敗で落ち込むときもあるでしょう。望ましくない出来事が起きたときにポジティブな視点を持てると、仕事に対するモチベーションを維持・向上できます。たとえば失敗したとき「今回のアプローチでは失敗するという学びを得たため、一歩前進できた」というように視点を変えられる社員は、落ち込むことなくチャレンジを続けられます。

社員の課題解決能力が向上する

リフレーミングを活用すると、状況を的確に分析して解決への糸口を見つけられます。リフレーミングでは「できない」と決めつけず、「どうすれば現状を打破できるか」「この課題を解決しておけば、自分は大きく成長できる」などの視点で課題をとらえるためです。リフレーミングに長けた社員が増えると、さまざまなビジネスの課題に速やかに対処できるようになります。

社内のコミュニケーションが円滑になる

リフレーミングを活用すると、同僚や上司・部下とのコミュニケーションが円滑になります。大勢の人が集う組織では、コミュニケーションに悩む社員もいるでしょう。他者の短所ではなく長所に目を向けるようにすると、相手に対する苦手意識がなくなりコミュニケーションが円滑化します。コミュニケーションが円滑になれば、チームの結束も強まり、マネジメントもスムーズに進むでしょう。

社員のストレス軽減につながる

リフレーミングが社内に浸透すると、ストレスに悩む社員を減らせるとともに、離職防止も期待できます。失敗やミスをした際にリフレーミングを活用すると、過度に落ち込まず自信を保てるためです。リフレーミングにより居心地がよくなったチーム環境も、社員のストレスを軽減させます。

リフレーミングの5つの手法

リフレーミングの重要性はわかっても、どのように実践するかイメージがわかない人もいるでしょう。リフレーミングの5つの手法を紹介するので、試してみてください。

言葉のリフレーミング

言葉のリフレーミングは、言葉の表現を変えて物事をとらえ直す手法です。同じ状態・状況でも、言葉ひとつでポジティブにもネガティブにも表現できます。

たとえば、下記のように言い換えられるでしょう。

  • 「神経質」な傾向が見られる人:「細かいところまで気づける人」
  • 「おとなしい人」:「真面目」
  • 「落ち着きがない人」:「活発」

時間軸のリフレーミング

時間軸のリフレーミングは、未来や過去にいる自分を想定して物事をとらえ直す手法です。たとえば、仕事でトラブルが起きたとしましょう。未来の視点でとらえると「事業規模が小さいうちに、トラブルに気がつけてよかったかもしれない」「5年後もこのプロジェクトを続けていくには、トラブルにどう向き合おうか」などとポジティブに考えられます。

As IFのリフレーミング

As IFのリフレーミングでは、「仮に~だったら」と、仮定しながら物事を考えます。たとえば「仮に自分が消費者の立場だったら、どのようなサービスがあるとうれしいか」「同僚の◯◯さんなら、どう対処するだろう」などと考えてみましょう。立場や状況を変えて考えてみると、視野が広がり適切な施策を思いつく可能性があります。

解体のリフレーミング

解体のリフレーミングは、物事の枠組みを解体して本質を突き止める思考法です。たとえば、プロジェクトがスムーズに進行しないときは、「スムーズに行かないと感じる原因は何か」「スケジュール・品質・コストのどこに、どの程度問題があるか」などと、物事を細分化して考えてみてください。解決策が見つからないように思えるときでも、課題を絞ると対処できる可能性があります。

Wantのリフレーミング

Wantのリフレーミングは、「自分はどうしたいか」という問いかけから行動につなげる手法です。たとえば、仕事で思うような評価を得られなかった場合は「ダメだった」で終わらせず、「それでは、これからどうしたいのか」と自分に問いかけるとよいでしょう。否定的な言葉を避けると、未来を見据えた思考にシフトできます。

組織で実践してみよう!リフレーミングの基本的なやり方

以下の手順で、基本的なリフレーミングを実施してみましょう。

  1. リフレーミング対象となる課題を抽出・洗い出す
  2. 手法の選定
  3. 課題を別の視点から捉える
  4. 複数の視点から最適なアプローチを探す
  5. 行動に移す

リフレーミングを習慣化するためには「リフレーミングノート」があると便利です。リフレーミングノートには、左側に課題、右側にポジティブな言葉に言い換えたものを書きます。まずは言葉のリフレーミングに慣れ、やり方が身についてきたと感じたらほかの手法にも挑戦してみましょう。

ビジネスシーンにおけるリフレーミングの活用例5選

ビジネスシーンでのリフレーミングの活用例を解説します。リフレーミングを、さまざまな課題の解決に役立てましょう。

上司が部下を指導するとき

部下が指示どおりに動いてくれない、期待する成果を上げられないというときは、指導のタイミングかもしれません。指導の際は、リフレーミングを意識して、ポジティブな言葉を織り交ぜて改善点を指摘しましょう。指導のネガティブな点を意識しがちな部下もいるため、ポジティブな言葉を織り交ぜた方が内容を伝えやすくなります。

たとえば「君に期待をしているからこそ、注意している」「この課題を乗り越えたら、もっと成長できる」などと添えると、部下は指導を前向きにとらえやすくなります。

マーケティング戦略でビジネスアイデアを出したいとき

商品開発でアイデアを思いつかないときも、リフレーミングの出番です。さまざまな人の立場を思い浮かべ、それぞれの視点でどのような商品が好まれるか考えてみましょう。自分・自社目線ではなく、ターゲットのペルソナや市場ニーズに立つと、新しいアイデアが湧いてくるでしょう。

また、開発中の商品についても、いくつもの視点で評価してみてください。当初の目的とは違ったとしても、機能や特性を生かした新しい売り込み方を思いつく場合があります。

顧客や先方からクレームを受けたとき

コールセンターで顧客や先方からクレームを受けたときは、リフレーミングでクレームの本質を見つけましょう。クレームを表面的にとらえるのではなく、クレームの根本的原因を突き止めて対応すると、顧客や先方からの信頼を大きく回復できる可能性があります。

またクレーム対応が苦手な社員は、リフレーミングを理解しておくと心理的ハードルを下げられるでしょう。たとえば「クレームの言葉は厳しいが、内容は参考になる情報ばかりだ」ととらえると、顧客や取引先からのクレームを受け止めやすくなります。

社員の人材配置を行うとき

社員の人材配置がうまくいかないと、個々の能力が発揮されず企業としてのパフォーマンスは低下します。強みだけではなく、弱みも意識して人材配置を決めましょう。言葉のリフレーミングを使うと、弱みを強みに言い換えられます。また人事評価結果・スキル・特性・経験など複数の視点で考えてみると、しっくりくる人材配置ができる可能性もあります。

ときには、社員の希望に沿わない人材配置を進めたい場合もあるでしょう。そのようなときも「キャリアにとってプラスになる」「経験を評価されたうえでの配置である」などリフレーミングを意識した説得を行うと、人材配置を受け入れてもらえる可能性があります。

チームメイトに対する印象づけ・評価を行うとき

チームメイトをよく思っていないと、仕事に影響が出る場合もあります。チームメイトの仕事に対する姿勢を批判したくなったときは、本当に気に入らないところばかりなのか、視点を変えて分析してみるとよいでしょう。

かりに、口数が少なく、チームメイトと距離を置きがちな人がいたとします。「話しかけにくい」と構えていると、いつまでも距離を縮められないかもしれません。しかしリフレーミングを意識して視点を変えると、「冷静に状況を俯瞰し上司に報告してくれている」「仕事ぶりが丁寧である」などの長所に気がつける可能性もあります。

リフレーミングを人材育成に取り入れる3つの方法

リフレーミングを人材育成に取り入れる方法を解説します。社員のリフレーミングを強化して、前向きに仕事に取り組めるように活用してもらいましょう。

メンタルスキル研修に導入する

メンタルスキル研修と組み合わせると、リフレーミングを実践しやすくなります。メンタルを整えるスキルを学ぶひとつの方法として、リフレーミングを取り入れましょう。グループワークで他者と意見交換する場を用意すると、さまざまな視点の存在に気づけます。eラーニングやオンライン集合研修を行えるサービスを利用すると、手軽に研修を開催できるのでおすすめです。

1on1制度で活用する

1on1ミーティングでも、積極的にリフレーミングを取り入れましょう。部下にネガティブな内容を伝えるときは、リフレーミングによりポジティブな言葉を選んでください。フィードバックを前向きに受け止めた部下は、効率よく成長していくでしょう。また、信頼関係の構築にもリフレーミングが役立ちます。

社内コミュニケーションが増える機会を創出する

社内のリフレーミングを強化させるには、社員同士コミュニケーションを取れる機会を積極的に設けることも大切です。たとえば定期的に異なる部署同士が集う交流会や、部署を横断するプロジェクトなどは、社内コミュニケーションを促進させます。

リフレーミングを人材育成で上手に取り入れる2つのコツ

リフレーミングを人材育成で上手に取り入れるコツとして、便利な資料や、押さえておきたいポイントを紹介します。

リフレーミング辞典・一覧表を活用する

リフレーミング辞典または一覧表と呼ばれる資料を活用しましょう。資料には、ネガティブな言葉の置き換え表現が一覧化されています。言葉のリフレーミングは、慣れていないと適切な置き換え表現が思い浮かばないかもしれません。リフレーミング辞典を用いると置き換え表現がすぐにわかり、リフレーミングに取り組むハードルを下げられます。

長期的な実践を心がける

リフレーミングを社内で定着化させるには、長期的な取り組みが必要です。概念を知っていても、使いこなすためには日々の積み重ねが欠かせません。たとえば社内でメンタルスキル研修を実施する際は、1度開催したら終わりではなく定期的に行いましょう。

リフレーミングを取り入れる際の注意点

リフレーミングを取り入れる注意点を解説します。ポジティブシンキングとの違いを意識しつつ、本質的な課題解決にリフレーミングを役立てましょう。

目の前にある課題から目を背けない

ポジティブに考えることに注力してしまうと、現実から遠ざかってしまう恐れもあります。リフレーミングは物事のとらえ方を変える思考法で、課題解決のための手段に過ぎません。自分にとって都合のよい考え方では、目の前の課題を解決できないと認識しておきましょう。

他者へ行うときは相手の気持ちを理解する

他者へリフレーミングを行うときは、相手の立場や気持ちに配慮しましょう。自分と他者は違う人間です。自分がよいと思った視点でも、相手にとっては納得できない場合があります。状況とともに相手の立場や気持ちも理解したうえで、リフレーミングを実施してください。

組織でメンタルスキル研修を実施するなら「manebi eラーニング

manebi eラーニング」は、eラーニングとオンライン集合研修を組み合わせた、学習管理システムで、5,000以上の豊富なコンテンツがあり、オンライン集合研修ではメンタルスキル研修も実施できるため、自社のリフレーミング強化に役立ちます。

自社でリフレーミングを積極的に取り入れよう

リフレーミングとは、物事をとらえる視点を変えることで、人材育成やマーケティングなどさまざまなシーンで活用できます。リフレーミングするときはポジティブに考えることに注力し過ぎず、本質を見極めるよう意識してみましょうまた、リフレーミングを定着化させるには、長期的な取り組みが必要です。今回紹介したポイントを意識して、ぜひリフレーミングを自社に導入してください。

manebi eラーニング」は、5,000もの豊富なeラーニング教材を取りそろえており、メンタルスキル研修やメンタルトレーニング研修、セルフマネジメント研修など心身ともに健やかな職場をつくる研修が充実しています。また、自社コンテンツをアップロードできるのでオリジナリティのある研修が可能です。

カスタマーサポートが、目的に合った教育カリキュラムの策定をサポートするので、業務負担を抑えつつ研修の準備に取り組めます。ぜひ「manebi eラーニング」をご活用ください。

>>「manebi eラーニング」資料ダウンロードはこちらから

で成果に繋がる
社員研修を実現しませんか?

playse管理画面