ワーカホリックとは?特徴や仕事への悪影響・抜け出す方法を解説

  • 人材育成

2024年7月1日(月)

目次

「仕事中毒」を意味するワーカホリック。ワーカホリックになる理由は人それぞれあるものの、仕事に打ち込みすぎて自身の健康やプライベートがおろそかになると、さまざまな弊害を引き起こします。ワーカホリックという言葉は知りつつも、具体的な特徴や業務・組織におよぼす影響がわからず、どのように対策すべきか迷っている担当者も多いのではないでしょうか。

本記事では、ワーカホリックのデメリットや8つの特徴、企業ができる対処法などを解説します。ワーカホリックについて詳しく知りたい人は、ぜひ参考にしてください。

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ワーカホリック(仕事中毒)とは

ワーカホリックとは、「work(仕事)」と「alcoholic(アルコール中毒)」を組み合わせた造語であり、「仕事中毒」とも呼ばれています。ワーカホリックは、プライベートの時間や自身の健康や家族、趣味よりも仕事を優先している状態で、寝ても覚めても仕事のことが頭から離れない中毒症状を指します。

仕事を重視する価値観には何の問題もありません。しかし働きすぎによって、生活やメンタルなどのバランスを崩し、体調不良や精神面の問題を抱えるケースもあります。

ワーカホリックのデメリット

ワーカホリックには、以下のようなデメリットがあります。

  • 健康被害に発展する恐れがある
  • コミュニケーションの機会が減る
  • 視野が狭まる

ワーカホリックになる原因の一つに長時間労働が挙げられ、睡眠時間を削るほど働きすぎると健康被害に発展する可能性があります。睡眠不足になるとストレスが溜まり、知らず知らずのうちにメンタルヘルスを害してしまうケースも少なくありません。

またワーカホリックに陥ると周囲とのコミュニケーションが減るため、慢性的なインプット不足になりがちで、プライベート・仕事を問わず視野が狭まる傾向にあるのです。企業内でワーカホリックが増えると、業務パフォーマンスの低下や、急な欠勤、離職率の増加にもつながります。健康経営が叫ばれる昨今、ワーカホリックは対処すべき重要な経営課題として認識すべきでしょう。

ワーカホリックの特徴8選

ワーカホリックの代表的な特徴は以下の8つです。

  1. 休日にも仕事をする・仕事が頭から離れない
  2. 自分の健康より仕事を優先する
  3. 抱える業務量が多い
  4. 仕事以外に趣味や没頭できることがない
  5. 責任感が強く真面目
  6. 完璧主義者でこだわりが強い
  7. 自分に自信がない
  8. 仕事以外の人間関係が少ない

休日にも仕事をする・仕事が頭から離れない

つねに仕事が頭から離れず、休日にも仕事をしてしまうのは、ワーカホリックの典型的な特徴です。ワーカホリックの人は、休日でも仕事をしていないと焦燥感を感じ、落ち着かない傾向にあります。さらにエスカレートすると、休日は非生産的で無駄なものだと考えたり、休むことに罪悪感を覚えたりしてしまうのです。

しっかり休息を取らないため心身が休まらず、集中力や生産性が低下し、さらに仕事をする時間が延びるという悪循環に陥ります。

自分の健康より仕事を優先する

自分の健康より仕事を優先するのも、ワーカホリックの特徴です。頑張りたい目標や理由が明確な人に多く見られ、食事の時間や休憩時間、さらには睡眠時間をも削って働き続ける人もいます。

健康あってこその仕事であり、体調が良くなければ十分なパフォーマンスの発揮は難しいでしょう。ワーカホリックは心身の健康を害することより、自分が仕事をしていない状態に不安を感じてしまうのです。

抱える業務量が多い

抱える業務量が単純に多すぎて、本人が望んでいなくてもワーカホリックにならざるを得ない場合もあります。毎日消化しきれないほどのタスクや業務があり、残業や休日出勤が続く人はワーカホリックになりやすいでしょう。

本人が意図せずワーカホリックになってしまっている場合は、企業側が業務量や制度を見直すなどして解決すべきでしょう。

仕事以外に趣味や没頭できることがない

ワーカホリックの人のなかには、「仕事以外に趣味や没頭できることがない」という人も少なくありません。プライベートでとくにやりたいことがなく、余った時間の使い道が仕事になってしまうのです。自分自身で意図的に仕事の時間を増やしているわけではないものの、結果的にワーカホリックにおちいります。

強い目的意識がないにもかかわらず、意図せず仕事の時間が長くなってしまっている場合は、自分の意識や時間の使い方を見直したほうがよいでしょう。

責任感が強く真面目

責任感が強く真面目な人も、ワーカホリックになりがちです。仕事をするうえで責任感や真面目さは非常に重要です。しかし、「自分が休むと業務が滞るかもしれない」と強迫観念に駆られたり、自分の役割を果たすために休日・休憩を削って働いたりするのは、度が過ぎているといえるでしょう。

何でも一人で抱え込まず、周囲に相談や協力を仰いで、チームワークで仕事を進めることも大切です。

完璧主義者でこだわりが強い

性格的に完璧主義でこだわりが強い人も、ワーカホリックに陥りやすい傾向にあります。完璧主義そのものは悪いことではないものの、仕事のクオリティを高めようと追求するあまり、結果的に仕事をする時間が長くなってしまうためです。

完璧主義者には競争心が強く負けず嫌いな人も多く、周囲のライバルに勝とうと努力する過程で個人の業務量が増加し、ワーカホリックにおちいってしまう場合もあります。

自分に自信がない

自分に自信がなく、ネガティブな理由でワーカホリックになる人もいます。自己肯定感が低く、「自分は仕事ができないから、もっと頑張らないと評価されない」といった強迫観念に駆られるためです。

責任感が強く真面目な場合、完璧主義者でこだわりが強い場合とは動機が異なるだけで、結果的に業務量が増加する点では共通しています。理由がポジティブ・ネガティブにかかわらず、1つの仕事に打ち込みすぎてしまうとワーカホリックになりやすいでしょう。

仕事以外の人間関係が少ない

仕事以外の人間関係が少なく、交友関係が希薄な人もワーカホリックになりがちといえます。仕事以外に趣味や没頭できることがない人と同じく、プライベートの時間を余してしまう傾向にあるためです。交友関係が希薄になると、無意識に職場や仕事に居場所を求めるケースも少なくありません。「周囲とのコミュニケーションが少ない」「仕事を理由に周囲からの誘いを断っている」場合はとくに注意が必要です。

ワーカホリックの8つの対処法

ワーカホリックの従業員がいる場合、企業としてできるサポートや対処法は以下の8つです。

  1. 組織や従業員ごとの業務量の是正
  2. 役割や人事評価を見直す
  3. 人事制度や労務管理を見直す
  4. 健康経営に取り組む
  5. 産業医やカウンセラーを頼る
  6. 仕事とプライベートを線引きする
  7. 社内コミュニケーションを活性化させる
  8. 社内研修を取り入れる

組織や従業員ごとの業務量の是正

ワーカホリックには、本人が望んで働いているケースと、環境要因によってワーカホリックになっているケースにわけられます。企業はワーカホリックの従業員を生まないために、以下のようなステップで是正を図るのがおすすめです。

  1. 従業員の勤怠をチェックし、労働時間の実態を把握する
  2. 長時間労働している従業員を抽出し、傾向を分析する
  3. 偏りが生じている場合、原因と対策を検討する

実態と傾向がわかれば、原因と対策を講じるのは比較的容易です。より正しい情報を得るために、該当する従業員やその上司に直接ヒアリングすることも検討しましょう。

役割や人事評価を見直す

従業員ごとの役割や人事評価の見直しもワーカホリック対策に有効です。業務量が適正でも、従業員のスキル・経験と与えている役割のあいだにミスマッチが生じると、業務やタスクを消化しきれずに長時間労働になる場合があるためです。

また、評価基準が厳しすぎたり、評価者によって評価基準が変わってしまう場合も同様です。従業員の能力と役割が合致していても思うような評価を得られず、結果的に過度な努力を要求してしまっているケースもあります。本人の能力に見合った役割を与えているか、評価基準は適正で、評価者によって基準がぶれない仕組みになっているか、見直してみましょう。

人事制度や労務管理を見直す

人事評価とあわせて、既存の人事制度や労務管理を見直し、長時間労働を未然に防止する仕組みを構築することも検討しましょう。たとえば、以下のような制度を運用することで終業を促し、残業や過重労働を減らせる可能性があります。

  • 労働時間目標を設定する
  • ノー残業デーを設定する
  • 残業を申請方式にし、時間外労働に対する規制を強化する
  • 任意の時間にPCを強制シャットダウンする
  • 残業にペナルティを、早期終業にインセンティブを設ける

制度は作って終わりではなく、形骸化しないよう適切に運用することが大切です。しっかり機能すれば、残業文化を変えられるでしょう。

健康経営に取り組む

企業の経営方針として、健康経営に取り組むのもよい方法です。健康経営とは、企業が従業員の健康を経営課題ととらえ、改善を目指して積極的にマネジメントすること。企業にとってメリットも多く、導入する企業が年々増加しています。職場環境を改善するアプローチと従業員に対するアプローチがあり、具体的には以下のようなものが挙げられます。

  • オフィス環境の整備
  • 喫煙所の廃止
  • 福利厚生の充実
  • 従業員向けのヘルスリテラシー研修の実施
  • 専用システムによる健康状態の把握・管理

自社の環境や予算に合わせて、取り入れられるものから始めてみるとよいでしょう。

産業医やカウンセラーを頼る

産業医やカウンセラーなどの専門家を頼るのもひとつの方法です。専門家の面談やカウンセリングを提供すると、従業員自身が現状を自覚して適切に対処できるようになる可能性があります。

あわせて、ワーカホリックの増加や悪化を防ぐため、定期的なストレスチェックやメンタルヘルスチェックを行い、早期発見に努めることも大切です。なお常時50人以上の従業員がいる場合、労働安全衛生法で年に1回のストレスチェックが義務づけられています。

仕事とプライベートを線引きする

仕事とプライベートの線引きを明確にするのも企業側ができる対策です。昨今はテレワークの急速な普及で、プライベートに仕事を持ち込みやすい環境になっています。企業ができる対策としては、以下のようなものが考えられます。

  • 休日は緊急の場合を除きチャットを禁止する
  • 社内システムにアクセスできない時間帯を設ける
  • 休憩時間はチャットやメールをチェックしないよう呼びかける
  • 仕事を持ち帰れないルールを作る

できるだけ、仕事とプライベートを区別できるような工夫や仕組みを検討してみましょう。

社内コミュニケーションを活性化させる

社内コミュニケーションを活性化させることも、ワーカホリック対策につながります。ワーカホリックになっている従業員に気づきやすくなったり、本人に注意喚起できる機会が増えたりするためです。

ストレス解消や業務量過多による悩みを打ち明けるという意味でも、社内コミュニケーションの活性化は重要な役割を果たします。具体的には、以下のような取り組みがオススメです。

  • 社内イベント
  • 1on1ミーティング
  • メンター制度
  • フリーアドレス制
  • 従業員同士の食事を促す制度の導入

社内研修を取り入れる

ワーカホリックやヘルスリテラシーをテーマとした研修を実施するのもよいでしょう。従業員一人ひとりが知識をつけることで、健康に対する意識の向上や行動様式の変化が期待できます。研修における具体的なテーマは、以下のようなものがオススメです。

  • 長時間労働が心身におよぼす影響
  • セルフケアの概要や実施方法
  • タイムマネジメント
  • 業務効率化の工夫やツールの提案

健康経営の一環として方針を示しやすく、部署や役職の垣根を超えて組織全体で取り組めば、これまでの慣習や雰囲気を大きく変えられる可能性もあります。

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ワーカホリック診断の方法

ワーカホリックを診断する方法としてワーカホリックとの相関性があるとされる「仕事の楽しみ」「仕事への衝動」「仕事関与」から構成される「ワーカホリックの3要素」を測定する方法があります。

たとえば、「仕事の楽しみ」では仕事と余暇のバランスに対する質問、「仕事への衝動」では「会社を離れても仕事のことが頭から離れず、気持ちが仕事から解放されない」という質問に対して、段階ごとに4つのなかから回答を選んでもらうという内容です。

ある研究結果から、ワーカホリックは、仕事を楽しんでいる人、仕事に対する何かしらの衝動を持っている人、仕事への関与が高いと感じている人がなりやすいとわかっています。よって、これらの程度を測ることで診断が可能になるのです。

ワーカホリックの対処法を学んで心身の健康を保とう

過度に仕事に熱中し、心身の不調を損ねるリスクのあるワーカホリックは、誰しもが陥る可能性があります。ワーカホリックの従業員が増えれば、仕事の効率や生産性が下がり、組織の活気が損なわれ、最悪の場合は離職や従業員の疾患につながるでしょう。

組織が目標を達成しながら成長を続けるには、ワーカホリックへの対策をとり、従業員の健康を守っていく必要があります。ワーカホリックをはじめ、企業で起こり得るさまざまなリスクに対策するために、「manebi eラーニング」でメンタルヘルスや労務管理、健康経営などの幅広いテーマを学んでみませんか?

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