研修で日報を書く目的は?メリットや書き方・活用時のポイントを解説

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2024年6月20日(木)

目次

日報とは、業務の進捗や所感などを報告するための文書です。「業務日報」や「営業日報」などさまざまな用途で使われ、基本的には毎日記入します。研修で日報を活用すると、プログラム内容を参加者が深く理解できたり、知識の定着に役立ったりするなど、いくつものメリットがあります。

本記事では、研修で日報を書く目的・メリットや基本項目、実際の書き方を解説します。「新入社員研修」「若手社員・中堅社員向けのスキルアップ研修」「リーダー研修」にわけ、実際の文例・テンプレートも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

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研修で日報を活用する目的・メリット3つ

研修で日報を活用する主な目的・メリットは、以下の3点です。

  1. 研修内容を深く理解する
  2. 研修内容を報告する
  3. 研修内容の所感などをデータとして残しておく

研修内容を深く理解する

研修で日報を活用する目的としてよく挙げられるのは、参加者に研修内容を深く理解してもらい、知識として定着させること。企業の研修は、1対1で行うOJTから、外部講師による集合研修など多種多様です。昨今では、参加者が主体となってプログラムの進行にかかわるワークショップでも見られるようになりました。

同じプログラムを実施した場合でも、全員が知識を完璧に身につけられるわけではなく、人によって理解度に差が出るのが研修の難しいところです。日報を書くことで、誰でも知識を整理しやすくなり、今後の研修や業務に役立ちます。

研修内容を報告する

日報には、研修内容を報告させるという目的もあります。たとえば新入社員研修による日報の場合、上司に報告するのが一般的です。上司側にとっても、新入社員の動きを把握できるだけでなく、日報に返信することでコミュニケーションツールとして機能する側面もあります。

日報は、特定のフォーマットに沿って、研修内容や所感を書くスタイルが一般的です。全員が同じ形式で記入するため、複数人の部下を抱えている場合でも比較的マネジメントしやすくなります。

研修の内容・所感などをデータとして残しておく

日報は、研修内容や所感をデータとして残しておくという意味でも有用です。研修のテーマや所感などの情報がデータとしてまとめられていると、自社で研修を企画する際に役立ちます。

たとえば参加者の所感は、「研修プログラムの狙いは達成できているか」「社員の期待に応えているか」を評価するための重要な指標となります。まとめられたデータを参考にすれば、次回以降の研修をより効果的に計画するヒントになるでしょう。オンラインフォームや研修管理システムなど、デジタルツールの活用によってデータ収集・分析を効率化し、アクセスしやすい形で情報を蓄積するのがおすすめです。

研修における日報の基本項目5つ

研修における日報の基本項目は、以下の5つです。

  1. テーマ・研修日時・研修場所
  2. 今日の目標
  3. 活動内容
  4. 所感
  5. 課題

テーマ・研修日時・研修場所

「テーマ」では、研修の主題を書きます。とくに指定がなければ、「新入社員研修」「リーダー研修」など一般的な呼び方で問題ありません。研修をアウトソーシングする場合は、研修の名称や、研修実施企業、講師名などの情報もあわせて記載します。

「研修日時」「研修場所」は、文字のとおり研修が行われた日付と時間、場所です。研修の日時と場所を記録すれば、それが公式の記録となり、「誰が」「いつ」「どこ」で研修を受けたかをすぐに確認できます。

今日の目標

「今日の目標」では、その日の研修で達成したい具体的な目標や成果を記述します。具体的な目標を持つと、研修の内容をより深く理解し、関連するスキルや知識の習得に集中できるからです。

具体例は、「自社サービスについて理解を深める」「効果的なプレゼンテーション技術について学ぶ」「タイムマネジメントのテクニックを学び、自分の仕事に適用できる具体的な方法を1つ実践する」など。基本的には「社員がその日に集中すべきポイントを認識するためのもの」ではあるものの、目標を達成したかどうかを評価する際にも役立ちます。

活動内容

「活動内容」では、実際の研修内容を記載します。たとえば講義やワークショップ、グループディスカッション、実習、プレゼンテーションといったジャンルだけでなく、研修の具体的な内容まで含めましょう。具体例は、「新入社員向けビジネスマナー研修」「ビジネスマナーの概要(講義)、名刺交換のロールプレイング」など。ワークショップの場合、ブレインストーミングといった具体的な手法についても記載します。

外部の研修を利用する場合は、事前にカリキュラム表やパンフレットなどが配布される場合もあります。研修内容を示す公式の資料なので、その内容を書き込んでも問題ありません。

所感

「所感」では、その日に行われた研修内容に対する個人的な感想や考察を記述します。研修内容を客観的に整理する「活動内容」と対比する形で、個人の内面的な視点でまとめるための項目です。単に感想を述べるだけでなく、「なぜそのように感じたのか」「どの部分がとくに印象に残ったのか」「自分の学習や成長にどのように影響するか」など、深く考察することを意識します。

「所感」は、社員が自分自身の学習に役立てるだけでなく、上司側にとっても研修のフィードバックとして参考にしやすい部分です。所感を共有すると、コミュニケーションの促進にもつながります。

課題

「課題」はとくに新入社員研修の日報で重視される項目で、理解が不十分な点や、スキル向上が必要とされる領域を特定します。複数の課題がある場合は、それぞれ優先順位をつけ、どれを先に解決するかを決めるのが重要です。

課題の具体例は、「プレゼンテーション中に緊張してしまい、ポイントを明確に伝えられなかった」「日々のタスクを効率的に管理するためのツールを使いこなせていない」「自社商品に関する講義の内容で理解できていない部分が多くあった」など。課題や改善策を明確にすると、上司や指導者が適切なサポートや指導をしやすくなります。新入社員の場合は、明日の予定を記入しておくのもよいでしょう。

研修における日報の書き方4ステップ

研修における日報の書き方は、以下の4ステップです。

  1. 項目を用意してアウトラインを作る
  2. 文章の構成を考える
  3. 文章を書く
  4. 日報を見直す

項目を用意してアウトラインを作る

まずは、前述の項目(「テーマ・研修日時・研修場所」「今日の目標」「活動内容」「所感」「課題」など)を使って、日報のアウトラインを作ります。大まかな骨組みを作り、細部の肉づけをするのが基本です。記事の構成を考えるのと同じような要領で、項目を用意して日報のアウトラインを作成します。

日報は毎日書くものなので、最初に作成したアウトラインを、テンプレートとして残しておくのがおすすめです。社員自身が記入しやすくなるのはもちろん、上司などの管理職によるマネジメントの負担も減らせます。テンプレートについては、のちの項目で詳しく解説します。

文章の構成を考える

アウトラインが作成できたら、次に文章の構成を考えます。文章を書くのに慣れていない場合、研修の日報をいきなり書き始めると、要点がまとまらなかったり話が脱線したりすることもあるでしょう。文章の構成を考える際は、「PREP(「結論」「理由」「具体例」「結論」の流れで情報を伝えること)」を意識するのがおすすめです。簡潔に情報を伝えられるのが大きなメリットで、書くだけでなく、人と話す場面でも役立ちます。

PREPは長い文章を描くシチュエーションには不向きであるものの、日報程度の短いものであれば問題ないでしょう。PREPの流れに沿って文章を組み立てると、読み手に伝わりやすい自然な文章になります。

文章を書く

アウトライン、そして構成に肉づけをする形で日報を記入します。文章はなるべく簡潔にし、冗長にならないよう注意しましょう。たとえば読点(「、」)は、基本的には2つ以内にするのがおすすめです。また、上司が日報にそれほど長い時間を割けない場合もあります。その際は、文章を組み立てるのではなく、重要なポイントを箇条書きにするだけでも問題ありません。

日報を書く際は、「研修の最後に行われた確認テストでは100点満点中90点を獲得した」「プレゼンテーションで10段階中8の評価をもらった」など、具体的な数字の使用を意識しましょう。

日報を見直す

最後に、ここまで記入した内容をすべて見直します。まずは、研修の活動内容や所感に記載された事実やデータが正確であるかどうかを確認してください。書かれた事実が間違っていると、振り返りやデータの活用に支障をきたすことがあります。

また間違いがあったとき具体的な改善方法を伝えるようにすると、報告・連絡・相談、資料作りやプレゼンテーションといった仕事のあらゆる場面で、正確な情報を調べてアウトプットする意識を持たせやすくなります。

次に文章全体を通読し、誤字脱字や文法的な誤りがないかもチェックしましょう。「てにをは」の使い方や主語・述語の関係や、「項目の内容に沿って正しい文章が書かれているか」などです。誤字脱字や文法をチェックできたら、日報の内容をブラッシュアップしていきます。「専門用語や複雑な文章構造を避けているか」「情報が論理的に並べられているかどうか」など、わかりやすさを中心にチェックするとよいでしょう。

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研修の日報に使える例文・テンプレート

研修の日報に使える例文・テンプレートとして、以下の3つのシチュエーションを想定します。それぞれの例文・テンプレートを紹介しますので、書き方の参考にしてみてください。

  1. 新入社員研修の日報
  2. 若手社員・中堅社員向けのスキルアップ研修の日報
  3. リーダー研修の日報

新入社員研修の日報

新入社員研修に関する日報の例文・テンプレートは、以下のとおりです。

テーマ    企業文化とビジネスマナー
研修日時2024年2月20日 9:00〜17:00
研修場所本社研修室
今日の目標企業のミッション、ビジョン、バリューを理解する基本的なビジネスマナー(メールの書き方、電話応対、会議の参加方法)を学ぶ
活動内容午前:企業の歴史、ミッション、ビジョンに関する講義午後:ビジネスマナーのワークショップ
所感企業の価値観や目指す方向性を知り、自分がどのように貢献できるかを考える良い機会となった。ビジネスマナーのワークショップでは、実際に体験することで、理論だけではわからない細かなポイントを学習できた。
課題企業のミッション・ビジョン・バリューについて理解できたが、それを日々の業務にどのように活用していくかがまだ具体的にイメージできていない。今後は学んだ知識を、実際の業務で応用するイメージを持つことが課題。

若手社員・中堅社員向けのスキルアップ研修の日報

若手社員・中堅社員向けスキルアップ研修に関する日報の例文・テンプレートは、以下のとおりです。

テーマ    プロジェクトマネジメントスキル
研修日時2024年2月20日 9:00〜12:00
研修場所本社研修室
今日の目標プロジェクトマネジメントの基本プロセスを理解する
活動内容プロジェクトマネジメントの講義グループワークで実際のプロジェクト計画を作成
所感プロジェクトマネジメントの重要性について理解できたが、リスク管理の部分が難しく感じた。グループワークでは、チームメンバーとのコミュニケーションを通じて、多様な視点からプロジェクトを見ることの重要性を学んだ。
課題リスク管理の具体的な手法についての理解が浅いと感じるため、追加で学習が必要。時間管理のスキルを向上させ、グループワークの効率を高めたい。

リーダー研修の日報

リーダー研修の日報の例文・テンプレートは、以下のとおりです。

テーマ    リーダーシップの基礎
研修日時2024年2月20日 9:00〜17:00
研修場所東京○○ホテル「○○の間」
今日の目標リーダーシップの基本理念を理解するチームビルディングの方法を学ぶ
活動内容午前:リーダーシップに関する講義午後:グループワークを通じたチームビルディング演習
所感リーダーシップには、ただ指示を出すだけではなく、個々のメンバーの能力を引き出すのが重要であると学習した。午後のグループワークでは、実際にチームをまとめる施策例を学んだが、実務に応用するにはまだ課題を感じた。
課題多様な状況でのリーダーシップを学ぶ必要がある。とくに、意見の対立が激しいときにどのようにチームをまとめ上げるか、そのための具体的なスキルや方法を深く学習する。

研修で日報を活用する際のポイント4つ

研修で日報を活用する際の主なポイントは、以下の4点です。

  1. 見やすさを重視して作成する
  2. コミュニケーションツールとして役立てる
  3. 活用のルールを定める
  4. 学びを定着させるための仕組みを作る

見やすさを重視して作成する

研修で日報を活用する際は、見やすさを重視して作成しましょう。日報は毎日書くため、必ずしも時間をかけて洗練された文章を書く必要はありません。文章自体のクオリティよりも、必要な情報が簡潔にまとまっているかどうかのほうが重要です。

見やすい日報を書き続けるには、社員側が気をつけるのはもちろん、上司側あるいは研修担当者側も所要時間を設定するなどの工夫が必要です。日によって日報のクオリティにばらつきが発生しないよう注意しましょう。研修における日報の所要時間の目安は、10分から30分程度が一般的です。分量は、A4用紙1枚に収まる範囲にします。文字数で考えると、平均で5〜600文字程度、多くても1,000文字以内で考えておきましょう。

コミュニケーションツールとして役立てる

コミュニケーションツールとして役立てると意識するのも重要なポイントです。研修の日報は、前述のように、上司と部下など特定の間柄のコミュニケーションツールとして活用できます。

上司(日報を確認する側)に求められるのは、提出された日報に対してスムーズに返信すること。返信が早ければ、部下(日報を記入する側)は、「自分の日報をよく確認してくれている」と感じるでしょう。モチベーションアップにつながり、研修の効果がより高まることが期待できます。

日報は毎日書くものなので、丁寧に返信をしていると、多くの手間や時間がかかってしまいます。基本的には、日報を確認したことがわかるような内容であればよく、長いコメントを書く必要はありません。

活用のルールを定める

研修で日報を活用する際は、細かくルールを定めておくのも重要です。活用に関するルールを定めておかないと、日報が形だけのものになってしまい、部下にとっても上司にとっても意味がなくなります。

活用に関するルールでまず定めておきたいのは、日報の提出時間です。たとえば「定時までに日報を提出する」と設定すれば、滞りなく日報の提出と確認ができます。日報の分量も、あらかじめ定めておきたい部分です。たとえば「所感は3〜5行以内」など分量の指定をすると、過不足なく内容をまとめやすくなります。

学びを定着させるための仕組みを作る

社員が研修を受け、日報を記入したあとも高いパフォーマンスを発揮してもらうべく、継続的に学び続けるための仕組み作りも重要です。とくに中堅社員や管理職の場合は、リーダーシップ、マネジメントや経営、コンプライアンス、人材開発などさまざまなテーマを継続的に学べる仕組みが望ましいでしょう。

知識の定着や周辺知識の学習を考えている場合は、eラーニングの活用がオススメです。社員がそれぞれのペースで学べるため、物理的な制約を抱えている場合でも問題ありません。

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研修の日報は、個人の成長だけでなく、ナレッジの共有や研修プログラムの改善など多くのメリットがあります。本記事で紹介した項目を使ってアウトラインを作り、テンプレート化しておくとよいでしょう。日報は、時間をかけて記入するものではありません。記入時間や分量、提出時間など日報に関するルールをあらかじめ決めておくのがオススメです。

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