企業が情報漏えいなどのセキュリティ被害にあう件数は近年増加傾向にあり、情報セキュリティへの対策は重要性が高まっています。セキュリティ被害を未然に防止するためには、従業員一人ひとりの意識を高めつつ、実際の課題に即した教育・訓練を行うのが重要です。
しかし、「具体的にどのような教育・訓練を行い、どう実施すればよいのかわからない」という企業も少なくありません。
そこで本記事では、情報セキュリティ研修の目的・内容・実施方法などについて解説します。情報セキュリティ研修の実施を検討している企業担当者はぜひ参考にしてください。
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資料をダウンロードする情報セキュリティ研修とは

情報セキュリティ研修とは企業における情報資産を守るため、従業員の知識やスキル向上を目指す教育研修です。近年、サイバー攻撃や不正アクセスなどの被害件数が増加傾向にあり、手口も年々複雑化しています。
コロナ禍を経てテレワークが急速に浸透したことも相まって、社内外ともにセキュリティリスクが高まっています。また、情報資産の保護や個人情報保護法などの法令遵守のためにも、情報セキュリティ研修は不可欠です。
さらに、サイバー攻撃の増加に伴い、人的ミスが被害の主要原因となるケースが多く発生しています。従業員一人ひとりが、起こりうる情報セキュリティ事故や対策方法について学ばなければなりません。
なお、情報セキュリティで起こりうるリスクに関しては「情報セキュリティリスクとは?企業が行うべき対策を解説」で詳しく解説しています。
情報セキュリティの動向

情報セキュリティの動向
情報セキュリティを取り巻く環境は、技術の進化や社会情勢の変化により日々変動しています。なかでも、近年注目される情報セキュリティの動向を詳しく解説します。
情報セキュリティ10大脅威
「情報セキュリティ10大脅威 2024」では、IPAが2023年に発生した情報セキュリティの事故から重大な10個のリスクをランキング形式で発表しています。「情報セキュリティ10大脅威 2024」には、サイバー攻撃や不正アクセスだけでなく情報漏えいや内部不正といったさまざまな脅威が含まれています。
引用:情報セキュリティ10大脅威 2024|IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
特に、組織向けの脅威としてあげられるのは、「ランサムウェア攻撃」「フィッシング詐欺」「ゼロデイ攻撃」などです。上記の攻撃は企業の機密情報を標的とし、業務停止や信頼の失墜といった深刻な被害をもたらします。また、近年の調査では、人的ミスが情報セキュリティの脅威の大半を引き起こしているとも判明しています。
対策として、セキュリティソフトの導入やシステム更新の徹底はもちろん、従業員教育やポリシーの策定が不可欠です。情報セキュリティ対策を怠ると、企業全体が甚大なリスクにさらされる可能性があります。最新の脅威を正確に把握し、予防策を講じることが重要です。
ランサムウェアが増えている
ランサムウェアは「情報セキュリティ10大脅威 2024」にも記載があるとおり、近年特に深刻化しているサイバー攻撃の1つです。攻撃者は企業の重要データを暗号化し、復元する代わりに多額の金銭を要求します。上記のような手口により、被害を受けた企業は業務停止や多額の経済的損失、さらには顧客信頼の喪失を招いています。
2024年6月8日には大手出版社の株式会社KADOKAWAがランサムウェア攻撃を受け、254,241件もの個人情報が流出しました。従業員のアカウント情報を窃取され、社内ネットワークに不正サクセスされたのが原因とされています。流出した個人情報には角川ドワンゴ学園の在校生、さらにはクリエイター・取引先など多くの関係者の情報が含まれており、被害は甚大です。
企業がランサムウェアを含む情報セキュリティの脅威に対応するためには、情報セキュリティ教育の徹底が必要不可欠です。従業員に対して疑わしいメールの識別や安全なファイル管理方法の周知はもちろん、インシデント発生時の迅速な対応フローを教育する必要があります。ランサムウェアは他人事ではなく、全社員が取り組むべき課題です。
参考:ランサムウェア攻撃による情報漏えいに関するお知らせ | KADOKAWA
社内で起きる情報漏えいリスク

社内で起きる情報漏えいリスクには、主に以下の4つがあげられます。
- 情報機器の誤操作・メールの誤送信
- 置き忘れや紛失
- 管理権限の設定ミス
- 意図的な不正による漏えい
上記のリスクに対しては、事前に綿密な対策を実施しておきましょう。
情報機器の誤操作・メールの誤送信
従業員の誤操作や機密情報を含むメールの誤送信は、情報漏えいのなかでも発生頻度が高いリスクの1つです。実際に、東京商工リサーチの調べによると2023年の情報漏えい・紛失事故のうち、「誤表示・誤送信」が24.5%を占めていました。
引用:2023年の「個人情報漏えい・紛失事故」が年間最多 件数175件、流出・紛失情報も最多の4,090万人分|東京商工リサーチ
誤送信の例としては、宛先の入力ミスや間違えた添付ファイルの付与で機密情報が第三者に漏れてしまうケースがあります。また、CCとBCCの使い分けを誤り、他の受信者に送信相手全員のメールアドレスが公開されてしまう事故もよく見られます。
上記の問題を防ぐためには、送信前のダブルチェックや送信制限機能をもつメールツールの活用が有効です。また、社員全員が情報の取り扱いに対して高い意識をもつよう、定期的なメールでのデータ送信に関する教育と訓練を行いましょう。
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資料をダウンロードする置き忘れや紛失

情報機器の置き忘れ・紛失も社内で頻発するリスクで、東京商工リサーチの調査でも情報漏えいの原因として「紛失・誤廃棄」が8.5%を占めていました。特に、外出先でノートパソコンやUSBメモリを紛失すると保存されている顧客情報やプロジェクトデータが外部に流出する恐れがあります。テレワークの普及により、自宅やカフェでの業務中にUSBメモリを紛失するなどのケースも増えています。
情報機器の置き忘れ対策として、機器の暗号化やリモートロック機能を設定するのがおすすめです。加えて、社員が日頃から物品管理を徹底するよう啓発活動を行う必要があります。
管理権限の設定ミス
情報システムの管理権限の設定ミスも、見落としがちな漏えいリスクです。例えば、「重要なデータが誰でもアクセス可能な状態になっている」「退職者のアカウントが削除されておらず、不正利用される」などの事例が報告されています。上記のようなアクセス管理の不備により、外部からの不正アクセスを許す結果になり得ます。
不正アクセスを防ぐためには、アクセス権限を「必要最低限の範囲」に設定して定期的に見直す仕組みの構築が重要です。さらに、自動で設定変更を監視するツールを導入すれば、手動管理よりも人為的なミスを減らして情報漏えいのリスクを下げられます。
意図的な不正による漏えい
社員が故意に情報をもち出して情報が流出する「内部不正」は、企業にとって深刻な脅威です。東京商工リサーチの調査でも、情報漏えいの原因として「不正もち出し・盗難」は13.7%を占めていました。例えば、「退職間近の社員が顧客リストを競合他社に渡す」「金銭目的で機密情報を売却する」などのケースがあります。
上記のような意図的な不正による情報漏えいのリスクに対応するためには、監視体制を強化し、社員の行動ログを適切に管理する必要があります。また、心理的な抑止力を高めるために内部不正が発覚した際の罰則を明確化し、就業規則に組み込むのも有効です。
情報セキュリティ研修の3つの目的

情報セキュリティ研修を行う目的は次の3つです。
- 従業員個人の情報セキュリティ意識を高める
- 情報セキュリティにおける課題や問題点を知る
- 情報セキュリティの実践を学ぶ
情報セキュリティ研修を実施する際は、上記の目的を達成できる内容で実施しましょう。なお、企業のセキュリティ対策を円滑に実施するための仕組みについては「情報セキュリティガバナンスとは?基礎知識と重要性を知る」で詳しく解説しています。
従業員個人の情報セキュリティ意識を高める
情報セキュリティ研修の最も基本的な目的の1つは、従業員個人の情報セキュリティ意識を向上させる点です。サイバー攻撃や不正アクセスは特定の役職に限らず、すべての従業員に関わるリスクとなっています。日常業務に潜むリスクを理解し、正しい行動を取ることが不可欠です。
情報セキュリティ研修では、実際の被害事例を紹介してセキュリティインシデントに対する危機感を身近に感じてもらうのが有効です。例えば、企業がフィッシング詐欺で重要な顧客データを流出させた実例を紹介すれば、誤った判断が大きな被害につながる点をイメージしてもらいやすくなります。
また、無意識の行動が引き起こすリスクを明確に説明し、不審なメールを開かないなどの基本行動が定着するよう指導しましょう。上記のような対策により、従業員一人ひとりが「自分ごと」として情報セキュリティを捉える意識を育めます。
情報セキュリティにおける課題や問題点を知る
情報セキュリティ研修の目的は具体的な課題や問題点を把握し、リスクへの理解を深める点です。企業内で発生する多くのセキュリティトラブルは、従業員の知識不足や些細なミスが原因であるケースが少なくありません。
情報セキュリティ研修では最新の被害事例を取り上げ、従業員に警戒心をもたせることが重要です。例えば、フィッシング詐欺やランサムウェアなどの新たな攻撃手口を紹介し、どのような影響を企業に与えるのかを具体的に説明しましょう。
また、実際の被害事例を紹介すれば、従業員が問題を「自分ごと」として考えられるようにもなります。上記のような学びを通じて情報セキュリティにおける潜在的なリスクを迅速に発見し、報告する能力を身に付けられます。
情報セキュリティの実践を学ぶ
情報セキュリティ研修を受けるだけではなく、得た知識を実際の業務に活かすことが最も重要です。日々の業務で情報セキュリティ事案に対する対策を実践できるようになれば、情報漏えいによる損害などのリスクを未然に防げます。
例えば、情報セキュリティ研修では「安易に外部デバイスにデータを保存しない」など日常業務で実践できる基本的な行動ルールを学びます。また、セキュリティソフトの更新を怠らないなどのシステム利用時の基本対策も理解させましょう。さらに、インシデント発生時の適切な対応方法を習得すれば、万が一問題が発生しても被害を最小限に抑えられます。
情報セキュリティ研修を通じてセキュリティポリシーの遵守が徹底され、企業全体のリスク管理能力が向上します。情報セキュリティ研修は「学ぶだけでなく実践する」を目的とし、従業員が主体的に行動できるスキルを身に付けるのが重要です。
情報セキュリティ研修を実施するメリット
情報セキュリティ研修を実施するメリットは、主に以下の4つがあげられます。
- 従業員がセキュリティポリシーを正確に理解できる
- セキュリティリスクを把握して効果的な対策を実施できる
- セキュリティインシデントへ迅速に対応できる
- コンプライアンスの遵守を徹底できる
上記のように多くのメリットがあるため、積極的に情報セキュリティ研修を実施しましょう。
従業員がセキュリティポリシーを正確に理解できる
情報セキュリティ研修を通じて、従業員はセキュリティポリシーの内容や目的を正確に理解できる点がメリットです。セキュリティポリシーを理解できれば、全従業員が同じ水準でセキュリティ意識を高められます。また、単にルールを覚えるだけでなく実務レベルでセキュリティポリシーを実践できる人材の育成も可能です。
情報セキュリティ研修ではポリシーの目的や重要性を丁寧に説明するだけでなく、具体的な業務への適用方法も指導します。例えば、「セキュリティポリシーを守ると、業務上のどのようなリスクを回避できるのか」をわかりやすく解説しましょう。
セキュリティリスクを把握して効果的な対策を実施できる
情報セキュリティ研修を通じて従業員はセキュリティリスクを早期に特定し、適切な対応策を講じる能力を養える点もメリットです。セキュリティリスクへの理解を深めれば、知識に基づいて具体的な対策を実行できるようになります。
情報セキュリティ研修では、フィッシング詐欺やランサムウェアなど実際のリスク事例や攻撃手法に関して講義を行いましょう。また、自社の業界で起きやすいセキュリティリスクへの対策を共有して業務に落とし込めば、実態に即したセキュリティ向上を実現できます。例えば、過去の被害事例を検討して具体的な防止策をグループで考えるワークショップ形式の研修が効果的です。
セキュリティインシデントへ迅速に対応できる
情報セキュリティ研修を受けた従業員は、セキュリティインシデントが発生した際に迅速かつ適切に対応する能力を身に付けられます。初動対応が遅れて被害が拡大するのを防ぐためにも、インシデント対応力の強化は欠かせません。
情報セキュリティ研修では、実際にセキュリティインシデントが起きた際の対応マニュアルの内容を伝える時間を設けましょう。また、セキュリティインシデントが起きた際の対応を練習する模擬トレーニングを通じて実行力を鍛え、従業員が即座に行動を起こせる状態を作ります。例えば、サイバー攻撃を想定した実践演習を行うと、対応フローを身をもって習得し、実際の現場でも即座に対応できるようになります。
コンプライアンスの遵守を徹底できる
情報セキュリティ研修は、法令や規制に基づいた情報管理体制を強化するためにも重要です。個人情報保護法やGDPRなどの法令を遵守できていないと、企業は罰則を受けたり、信用を失墜したりするリスクにさらされます。情報セキュリティ研修を通じて従業員全員が法規制の重要項目を理解し、適切に対応できる体制を構築しましょう。
情報セキュリティ研修ではコンプライアンス違反事例を題材にしたリスク啓発を行い、具体的なリスクを社員がリアルに感じられるよう工夫します。また、法令の内容だけでなく、組織としてどのような取り組みが必要なのかも具体的に説明してください。
情報セキュリティ研修の主な訓練内容

情報セキュリティ研修では、企業や個人が情報資産を守るために必要な以下の知識とスキルを習得します。
- 個人情報保護法を知る
- 情報セキュリティポリシーを知る
- メディアポリシーを学ぶ
- 標的型攻撃メールの脅威を知る
上記の訓練内容を参考に、自社の情報セキュリティ研修を組み立てましょう。
個人情報保護法を知る
情報セキュリティの基本といえるのが「個人情報保護法」です。個人情報保護法は個人の権利や利益を守るために、個人情報の取り扱いに関する基本的なルールを定めています。研修では個人情報保護法の重要性を理解し、適切な取り扱いを学べる内容で実施します。
まず、個人情報保護法の基本を理解し、違反リスクを回避できるようになるのが目標です。個人情報の定義や収集・保管・廃棄における具体的な手順を学んで実際の業務に活かせれば、顧客や取引先からの信頼を確保できます。また、情報が漏えいした場合の影響やリスクについても具体例を用いて解説しましょう。
情報セキュリティポリシーを知る
情報セキュリティポリシーは、企業がセキュリティ対策を実施するための基本指針です。情報セキュリティポリシーでは、保護すべき情報資産・想定される脅威・対策の内容や体制が定められています。
情報セキュリティポリシーの研修では、組織内で共有されるセキュリティルールを正確に理解した上で日常業務で徹底できるようになるのが重要です。ポリシーの背景や目的を具体的に説明し、従業員が重要性を認識できるよう指導します。また、実務に応用可能なケーススタディを通じて、ポリシーを業務に落とし込む方法も学びます。
メディアポリシーを学ぶ
SNSやデジタルメディアは、ビジネスにおいて欠かせないツールですが、不適切な利用が企業に重大なリスクをもたらす可能性があります。メディアポリシーを学べば、SNS利用時のリスクを理解して安全な活用方法を身に付けられます。
メディアポリシーの研修では、デジタルメディアやSNSを利用する際の適切な行動を指導しましょう。例えば、デジタルメディア・SNSにおける社外秘情報の取り扱いや投稿内容の公開範囲に注意する重要性を具体的な事例を交えて解説します。
また、不用意な発言や情報共有が企業の信用問題に発展した事例を紹介し、従業員に注意を促しましょう。メディアポリシーに関する研修を行えば、メディア利用時の情報漏えいリスクを最小限に抑えられます。
標的型攻撃メールの脅威を知る
標的型攻撃メールに関する内容も、情報セキュリティ研修に適しています。標的型攻撃メールとは、企業の機密情報を盗み出すなどの目的で特定の個人や組織を狙って送られるサーバー攻撃の手法です。具体的には、以下のような事例が該当します。
- 経理部に対して「請求書」と偽るメールを送り、添付ファイルを開かせてマルウェアをインストールさせる
- 経営者や取引先になりすましてメールを送り、偽の送金指示や契約変更通知で金銭や機密情報を詐取する
標的型攻撃メールは従業員個人を狙い、企業の機密情報を盗み出す巧妙な手法です。標的型攻撃メールから企業を守るためには、従業員一人ひとりが手口を理解して適切に対処できるスキルを身に付けることが重要です。
情報セキュリティ研修ではフィッシングや標的型攻撃メールの具体的な手法を学び、メール攻撃への対策を強化します。不審メールに含まれるリンクや添付ファイルの見分け方を指導し、日常業務での対応力を高めましょう。実際に仮想の攻撃メールを使用したトレーニングを行えば、現実の状況で迅速かつ正確に対処する力を養えます。
情報セキュリティに関するさまざまな研修例

情報セキュリティ研修には、以下のような多様な目的や対象に応じたプログラムがあります。
- セキュリティマインド研修
- 新入社員向け情報セキュリティ研修
- 情報セキュリティマネジメント試験対策研修
実施する目的・対象に応じて、上記の研修内容を使い分けてください。
セキュリティマインド研修
セキュリティマインド研修は従業員一人ひとりの意識を高め、日常業務におけるリスク回避行動の習慣化を目的とした研修です。情報セキュリティはルールを守らなければリスクが増大し、重大なトラブルを引き起こす可能性があります。セキュリティマインド研修では、単なる知識習得にとどまらず、「自分ごと」としてセキュリティを捉えるマインドセットを養います。
研修内容には、セキュリティリスクの基本的な考え方を学ぶ座学が含まれます。さらに、実際のインシデント事例を基にしたグループディスカッションやワークショップを通じて、実践的なリスク対応力を養いましょう。
従業員は自身の業務に関連するリスクのシナリオを想定し、具体的な対策を考える実践演習にも取り組みます。セキュリティマインド研修を通じて従業員がセキュリティリスクを自覚し、能動的に対策を講じられる組織を目指します。
新入社員向け情報セキュリティ研修
新入社員向け情報セキュリティ研修は、企業文化や業務ルールに慣れる前の段階でセキュリティ意識を根付かせることを目的とした研修です。研修では自社の情報セキュリティポリシー・運用ルール・機器や情報の扱い方を学び、情報リテラシーを高めます。
新入社員が基本的な情報セキュリティの知識を早い段階で身につければ、日常業務の中でのリスク意識を自然にもてるようになります。パスワード管理・不審メールへの対応・社内ツールの適切な使用方法など、実務に役立つスキルも指導しましょう。
また、フィッシングメールや社外秘情報の取り扱いに関する演習を行い、実際の業務環境に迅速に適応できる能力も養います。新入社員向け情報セキュリティ研修により、新入社員が組織のセキュリティ文化を理解してリスク軽減に貢献できる人材へと成長します。
情報セキュリティマネジメント試験対策研修
情報セキュリティマネジメント試験対策をメインとした研修を実施するケースもあります。情報セキュリティマネジメント試験は、IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)が主催している情報セキュリティマネジメントの基本スキルを認定する国家資格です。
情報セキュリティマネジメント試験では、情報セキュリティの基礎知識から管理策、リスク分析手法まで幅広い範囲をカバーしています。エンジニアや情報セキュリティ担当者など、組織で情報セキュリティ対策を統括・管理する人を対象にして行われる試験内容です。
情報セキュリティマネジメント試験対策研修では、試験範囲に沿った体系的な講義が実施されます。過去問題を使った演習や模擬試験を通じて解答テクニックを身に付け、試験合格を目指します。また、セキュリティの基礎知識・リスク管理の手法などの内容を網羅し、実務への応用事例も紹介すると業務に活かしやすいです。
情報セキュリティ研修に利用できる無料配布の資料
以下のサイトでは、情報セキュリティ研修で活用できる無料利用が可能な資料が提供されています。
- IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)Webサイト
- 経済産業省Webサイト
- JPCERT コーディネーションセンター
- 内閣サイバーセキュリティセンター
上記の資料を活用すると、企画内容の作成を効率化してスムーズに研修を実施できます。
IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)Webサイト
IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)の公式Webサイトは、情報セキュリティ関連の無料資料が豊富に揃ったサイトです。IPAは情報セキュリティに関する啓発活動を積極的に行っており、提供される資料は初心者から専門家まで幅広い層に対応しています。主な提供資料には、次のようなものがあります。
主な提供資料 | 概要 |
中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン | 基本的なセキュリティ対策をわかりやすく解説しており、研修のテキストとして活用できる。 |
各種教育用コンテンツ | 映像教材やスライド資料があり、オンライン研修や自主学習に最適。 |
情報セキュリティ自社診断 | セキュリティ対策の自己点検に役立ち、日常的に活用できる。 |
また、脆弱性対策や開発者向けの専門性の高いコンテンツも充実しており、業種や役職を問わず活用できる資料が揃っています。
JPCERT コーディネーションセンター
JPCERT コーディネーションセンターは、国内におけるサイバーインシデント対応の専門機関として最新のセキュリティ情報を提供しています。提供されているセキュリティ関連の情報は現場レベルで役立つ実務的なものばかりです。主に提供される資料の内容は以下の通りです。
主な提供資料 | 概要 |
注意喚起 | 最新の脅威情報や対策を速報で提供しており、即時性の高い情報源として活用が可能。 |
Weekly Report | 毎週更新されるセキュリティ関連情報のまとめで、日々の業務におけるリスク把握に役立つ。 |
CSIRTマテリアル | 組織内のセキュリティ対策チーム向け資料で、CSIRT(Computer Security Incident Response Team)の育成に最適。 |
内閣サイバーセキュリティセンター
内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)は、中小企業やNPO向けに特化した資料を提供しています。規模の小さい組織でも実践できるセキュリティ対策をわかりやすく解説しており、初学者にも適した内容です。
主な提供資料として、「インターネットの安全・安心ハンドブック」があげられます。「インターネットの安全・安心ハンドブック」では、セキュリティの基本から実践までを段階的に解説しており、小規模事業者の従業員研修に最適です。手軽に取り組める内容でありながら実用性が高く、具体的な事例や簡単な対策方法も示されています。
また、「サイバーセキュリティ関係法令Q&Aハンドブック 」も提供されており、サイバーセキュリティ対策に関連する法律をQ&A形式で把握できます。
情報セキュリティ研修の実施方法
情報セキュリティ研修は、以下のようにさまざまな実施方法があります。
- 集合研修(自社運営)
- 集合研修(外部委託型)
- 集合研修(講師派遣型)
- オンライン研修(ライブ型)
- オンライン研修(eラーニング/LMS)
- ブレンディッドラーニング(オンライン研修+集合研修)
以下では、各実施方法のメリットや特徴について詳しく解説します。
①集合研修(自社運営)
自社運営の集合研修は、自社内で独自に計画・実施する形式です。自社独自のセキュリティポリシーや業務特性に合わせた内容を組み込める点が大きな特徴です。また、外部に講師を依頼する費用などがかからず、コストを抑えて実施できるメリットもあります。
自社運営の集合研修では研修内容を自社の課題やポリシーに最適化できるため、実践的で現場に即した知識を従業員に伝えられます。また、参加者同士が直接顔を合わせられ、質問やディスカッションを通じて深い理解が得られる点もメリットです。
一方で、企画や運営に手間がかかるため、社員の工数を大幅に確保しなければなりません。自社に必要な学習内容を的確に把握し、研修計画を立てられる適任者の存在も不可欠です。
②集合研修(外部委託型)
外部委託型の集合研修は、研修会社が用意したプログラムに従業員を参加させる形式です。研修内容や進行は専門の外部講師に任せられるため、企画や運営にかかる負担を軽減できます。
外部委託型の集合研修では、最新のセキュリティ動向を盛り込んだ専門性の高い講義が受けられる点がメリットです。特に、幅広い分野の知識が必要な場合や自社内で講師を用意できない場合に有効です。
ただし、内容が汎用的であるため、自社特有の課題には対応しきれない場合があります。研修の成果を最大化するためには、事前に研修会社に要望を伝えて自社の状況に合ったプログラムを選択する工夫が必要です。
③集合研修(講師派遣型)
講師派遣型の集合研修は、外部講師を自社に招いて実施する形式です。自社の施設を活用できるため、従業員が外部会場に移動する手間が不要である点がメリットです。
講師派遣型では、自社のポリシーや課題に合わせて研修内容をカスタマイズできます。また、講師がその場で質問に応じて受講者の疑問を解決できるため、参加者が理解しやすい形式である点もメリットです。
ただし、講師の派遣にかかる交通費・宿泊費は依頼者が負担しなければなりません。社内で会場を用意できない場合、外部で別途手配する必要も出てきます。
④オンライン研修(ライブ型)
ライブ型のオンライン研修は講師がZoom・TeamsなどのWeb会議ツールで講義を行い、参加者はオンラインで受講する形式です。時間や場所にとらわれずに参加できるため、テレワーク環境下でも実施しやすい点が特徴です。また、会場の収容人数などの制限がなく、一度に大人数の参加が可能な点もメリットとなります。
一方で、インターネット環境が不安定な場合はスムーズに受講できない点がデメリットです。また、決められた日時に受講しなければならず、時間的な拘束を受ける点も懸念点です。
⑤オンライン研修(eラーニング/LMS)
eラーニングやLMS(学習管理システム)を活用したオンライン研修は、受講者が自分のペースで学習を進められる形式です。事前に用意された録画講義などのオンデマンド教材を活用し、場所や時間を問わず学べる点が魅力です。また、録画講義であるため複数回の受講が可能で、費用対効果が高い点もメリットとなります。
一方で、オンラインかつ一人での受講となるため、受講者のリアクションが把握しにくい点がデメリットです。LMSを通じて、受講者が講義内容を理解できているか随時確認する必要があります。
⑥ブレンディッドラーニング(オンライン研修+集合研修)
ブレンディッドラーニングは、オンライン研修と集合研修を組み合わせた形式です。ブレンディッドラーニングはオンラインとオフラインの利点を両方活かせる研修形式となっています。例えば、オンラインで情報セキュリティに関する基礎知識を学び、集合研修で実践や応用力を養うワークショップを実施すれば、学習効果を最大化できます。
また、ワークショップ実施後にオンライン研修で復習・テストを実施し、さらに情報セキュリティに関する理解を深めるなどの活用方法も可能です。あらゆる研修手法のなかで、最も成果が出やすい研修形式です。
ブレンディッドラーニングに興味をお持ちの企業様はお気軽にこちらにご相談ください。
情報セキュリティ研修を実施するポイント
情報セキュリティ研修を実施するポイントとして、以下の4つがあげられます。
- 自社にあった研修方法にする
- 参加者の経験・レベルにあわせた内容にする
- 外部の専門家を活用する
- 研修実施後のフィードバック・フォローアップを忘れない
情報セキュリティ研修を実施する際は、上記のポイントを参考にしてください。なお、情報セキュリティ教育を効果的に実施するポイントについては「情報セキュリティ教育で確認すべき内容とは?実施手順と強化ポイントを紹介」でも解説しています。
自社にあった研修方法にする
情報セキュリティ研修は、自社の業務内容や遭遇するリスクに応じた内容にして効果を最大化できます。汎用的な内容では、従業員が研修の重要性を十分に実感できない場合があります。
自社の情報セキュリティポリシーを基に、現場で実践可能な内容を組み込むことが重要です。例えば、以下のように部署ごとで遭遇するセキュリティリスクにあわせて研修内容を作成すると効果的です。
- 営業部門:顧客情報の取り扱い
- IT部門:システムの脆弱性管理
また、集合研修・オンライン研修・eラーニングなど多様な形式を検討し、従業員が参加しやすい環境を整えることも成功のポイントです。
参加者の経験・レベルにあわせた内容にする
情報セキュリティ研修は、参加者の経験や役割に応じた内容で設計すると理解度を高めやすくなります。一律の水準で作成した研修内容では、初心者には難しすぎたり、セキュリティ担当者には物足りなかったりする可能性があります。
例えば、新入社員向けの基礎研修では情報セキュリティの基本やリスク意識を養う内容を重視しましょう。一方で、情報セキュリティ担当者向けの高度な研修では、最新のセキュリティ手法や実務に直結する演習を取り入れるのが理想的です。
外部の専門家を活用する
情報セキュリティの専門家を活用すれば、研修の質を大幅に向上させられます。外部専門家は、社内で補えない専門的な知識や最新のセキュリティ動向を提供してくれるためです。
また、外部の視点を取り入れれば、客観的なセキュリティ診断や改善案を得られる点もメリットです。例えば、セキュリティ診断と研修を組み合わせると、現状の課題を踏まえた具体的な対策を提示できます。外部の専門家を活用する方法は、特に高度なセキュリティ対策が求められる業界や規模の大きい企業にとって効果的です。
研修実施後のフィードバック・フォローアップを忘れない
研修を実施しただけでは、従業員に知識や行動が十分に定着しないケースがあります。そのため、研修後のフィードバックやフォローアップは欠かせません。
研修の効果を検証するために、アンケートやテストを実施して理解度や満足度を把握しましょう。また、フォローアップとして日常業務におけるセキュリティ行動を観察し、改善が必要な部分を指導します。
さらに、定期的な補講や最新情報を共有する場を設ければ、継続的な学びの機会を提供できます。研修実施後のフィードバック・フォローアップにより、従業員の知識が定着して組織全体のセキュリティ意識が向上します。
効果的な教育を実現する「manebi」情報セキュリティ研修のメリット

manebiの情報セキュリティ研修は、企業のニーズに合わせた多彩なプログラムと手厚いサポートで、多くの企業から高い評価を得ています。以下に、manebiの情報セキュリティ研修の主なメリットを紹介します。
はじめての実施でも手厚く支援
情報セキュリティ研修を初めて実施する企業にとって、研修内容の設計や運営は大きな課題です。manebiでは研修の目的や求める成果を整理し、最適な教育スケジュールやプログラムを提案するなど専門講師による伴走支援を提供しています。
上記の体制により、情報セキュリティ研修の効果を最大限に引き出せる点がメリットです。さらに、研修後のフォローアップや効果測定の方法についてもサポートが充実しており、継続的な学習環境の構築を支援しています。初めての研修実施でも安心して取り組める体制がmanebiの魅力です。
企業での豊富な実績がある
manebiは今までに3,500社以上の企業に導入され、多様な業界での研修実績をもっています。多種多様な研修経験により、業種や規模を問わず、企業の状況に合わせた効果的な研修プログラムを提供できる点がmanebiの魅力です。
例えば、従来の対面研修をeラーニングに切り替えて研修運営の手間を削減し、効率化を実現したケースがあります。また、中途入社者向けの年金セミナーや自転車通勤を行う社員向けの安全研修など多面的な学習機会を提供するプラットフォームとして活用している事例もあります。豊富な研修実績をもとに、企業の課題解決につながる研修を提供できる点がメリットです。
あらゆるテーマのコンプライアンス研修ができる
manebiは情報セキュリティ研修だけでなく、コンプライアンス研修・新入社員研修などさまざまなテーマに対応した研修プログラムを提供しています。5,000を超えるeラーニング教材と専門講師による100種類以上の集合研修カリキュラムを組み合わせ、企業の課題に合わせてカスタマイズした教育を提供できる点が強みです。あらゆるテーマのコンプライアンス研修ができるため、社員のスキルアップや組織のガバナンス強化を効率よく加速・浸透させられます。
eラーニングと集合研修を組み合わせた「ブレンディッドラーニング」で効率的に学習できる
manebiでは、eラーニングと集合研修を組み合わせた「ブレンディッドラーニング」を提供しています。ブレンディッドラーニングにより、オンラインでの柔軟な学習と対面での実践的な研修を組み合わせて学習効果を高められる点がメリットです。
AI搭載のLMS(学習管理システム)により、最適なプログラムを構築して研修内容のカリキュラム設計にかかる時間を大幅に削減できる点もメリットです。また、研修後のフォローも充実しており、学びを成果に変える研修を企業の課題に合わせてオーダーメイドで実施できます。
自社独自の教材も簡単に作成できる
manebiでは、企業ごとのニーズと目標に合わせた教育コンテンツのカスタマイズが可能です。自社独自の教材制作をサポートしており、業界固有の課題に対応する専門コースの開発や企業文化に根ざしたオリジナル教材の作成なども支援できます。
既存の豊富なコンテンツと組み合わせれば、より効果的な研修プログラムを構築できる点も魅力です。自社独自の教材を活用して研修の質を高め、従業員のスキルアップを効果的に図れます。
manebi◯◯研修に興味をお持ちの企業様はお気軽にこちらにご相談ください。
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