概念化能力をわかりやすく解説!構成要素や鍛え方・人材育成につなげるポイントとは?

  • ビジネススキル

2024年3月12日(火)

目次

概念化能力(コンセプチュアルスキル)とは、個別の物事を抽象化し、ある概念として構築できる能力のこと。職位が上がるほど重要なスキルとされています。

 しかし、コミュニケーションスキルやテクニカルスキルなどの具体的な能力と異なり、概念化能力をどうやって育てていけばよいか悩んでいる人事・研修担当の方もいるのではないでしょうか。本記事では概念化能力とは何かわかりやすく解説し、能力の構成要素や鍛え方、人材育成につなげるポイントなどを解説します。 

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概念化能力(コンセプチュアルスキル)とは

概念化能力(コンセプチュアルスキル)は抽象的なスキルであるため、とらえにくい面があります。また、先天的な資質や才能として考えられ、人材育成の領域としてあまり意識されなかった時代もありました。ここでは概念化能力の定義や注目されるようになった背景などの基礎知識を解説します。 

概念化能力は物事の本質を理解する能力

概念化能力は、物事を概念化して理解する能力のこと。概念とは物事の「何たるか」を示す性質や、対象をおおまかに表したもので、抽象的で普遍的な言葉で表現されることが一般的です。 

たとえば「水」はそのままだと物質です。しかし、目的や観点に応じて概念化すると「飲むもの」「洗うもの」などになるでしょう。また「デジタル活用」と「ビジネスモデル変革」という2つの概念を統合して「DX(デジタルトランスフォーメーション)」という新たな概念をつくるような場合もあります。 

概念化能力に優れた人は物事の本質をつかめるため、過去の知見をほかの領域にあてはめ、応用的に解決可能です。さらに物事の全体像や構造をとらえられるため、図解やたとえ話を用いて物事をわかりやすく相手に伝えられます。 

概念化能力がビジネスで注目されるようになった背景

概念化能力という言葉が広まったのは、1955年に発表されたロバート・L・カッツ(1933-2010)の論文「スキル・アプローチによる優秀な管理者への道(Skills of an effective administrator)」がきっかけです。

この論文でカッツは、管理者に必要なスキルとして「コンセプチュアルスキル(概念化能力)」という用語を使っています。カッツは管理者育成の指針となる「カッツモデル」を考案し、ビジネス領域に概念化能力という言葉を広めました。古くからある概念化能力が再び注目された背景にあるのはふたつです。

  1. 肉体労働に代わって知的労働が増え、自身のスキルによって付加価値を生み出す「ナレッジ・ワーカー」が増えたこと。つまり、概念化能力は管理者層だけでなく、一般社員まで広く求められるようになった
  2. ビジネス環境が、Volatility(変動性)・Uncertainty(不確実性)・Complexity(複雑性)・Ambiguity(曖昧性)の増したVUCAの時代に入った

たとえば身につけた技術が数年で陳腐化するケースもめずらしくないため「自社の企業価値とは何か」を概念化して、経営理念や戦略を考える必要に迫られています。 

概念化能力と関係が深いカッツモデルとは

カッツが考案した「カッツモデル」は概念化能力と深い関係にあります。カッツモデルは、管理者に必要なスキルを3つにわけ、さらに管理者が獲得するべきスキルバランスを3つの階層ごとにモデル化したものです。概念化能力に関連する管理者に必要な3つのスキルを以下に示します。 

スキル概要具体例
コンセプチュアルスキル(概念化能力)物事を概念化して理解するスキルロジカルシンキング、俯瞰力、決断力など
ヒューマンスキル(人間関係能力)良好な人間関係をつくるスキルコミュニケーションスキル、交渉力など
テクニカルスキル(業務遂行能力)業務に必要な知識、技術会計知識、プログラミングスキルなど

 管理者の3つの階層と、望ましいスキルバランスは以下のとおりです。 

階層スキルバランスの例(※合計を10とした場合)
トップマネジメント(社長、取締役、CEOなど)コンセプチュアルスキル:5ヒューマンスキル:3テクニカルスキル:2
ミドルマネジメント(部長、課長、支店長など)コンセプチュアルスキル:3ヒューマンスキル:4テクニカルスキル:3
ロワーマネジメント(主任、リーダーなど)コンセプチュアルスキル:2ヒューマンスキル:3テクニカルスキル:5

 上記のスキルバランスはあくまで目安にすぎません。しかしカッツモデルでは、コンセプチュアルスキルは階層が上がるほど重視されるのが原則です。一方、現場業務に必要なテクニカルスキルは階層が低いほど重視され、ヒューマンスキルはどの階層でも求められるスキルになります。 

概念化能力と抽象化能力の違い

  • 抽象化能力:個別の物事から性質を抜き出して理解したり利用したりする能力
  • 概念化能力:抽象化したものをある概念に統合していく能力

 たとえばカラスやハトなどの個別の鳥を分析する際は、羽根の色やクチバシの形などの特徴を抜き出して抽象化します。対して概念化は「クチバシがある」「羽毛で覆われている」「前肢が翼である」「卵を産む」という条件を満たした生物を「鳥」の概念にまとめます。抽象化したものを概念に統合する思考です。

 概念化は「個別の事象→抽象化→統合」という手順を踏むため、抽象化は概念化に含まれます。たとえば、顧客を年齢、性別などで分類してから顧客像をつくるケースを考えると理解できるでしょう。概念化能力と抽象化能力に違いはあるものの、両者は密接しています。 

概念化能力を構成する12の要素

ここでは概念化能力を構成要素に分解して解説します。構成要素を知り、スキルバランスを踏まえて育成すると、概念化能力を伸ばしやすくなるでしょう。 

  1. ロジカルシンキング
  2. ラテラルシンキング
  3. クリティカルシンキング
  4. 受容性
  5. 柔軟性
  6. 多面的視野
  7. 俯瞰力
  8. チャレンジ精神
  9. 知的好奇心
  10. 探究心
  11. 決断力
  12. 計画性・時間管理能力

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ロジカルシンキング

物事の論理的なつながりを考えながら思考する方法のこと。日本語では論理的思考とも呼ばれます。ロジカルシンキングを説明する際によく挙げられる例が以下の「空・雨・傘」モデルです。 

  1. 空が曇っている(事実)
  2. 雨が降るのではないか(推測)
  3. 傘を持っていこう(判断)

1→2→3の流れは、科学や経験知にもとづいているため論理的といえます。ロジカルシンキングは概念化能力の土台となるスキル。概念化する際に論理性を伴わないと説得力がないだけでなく、間違いや矛盾が生じる確率も高まってしまいますし、複雑な事象も分析できません。

概念化のスキル育成として、ロジックツリーや演繹法などのロジカルシンキングの研修を実施するとよいでしょう。 

ロジカルシンキング研修の実施方法については、下記の記事も参考にしてください。

ラテラルシンキング

固定概念や常識、慣習などにとらわれず自由に発想すること。ラテラル(lateral)は「水平の」という意味のある英語で「水平思考」と訳されます。

 たとえば、先ほどの「空・雨・傘」にラテラルシンキングを適用すると、新たな観点からの分析が可能です。たとえば「傘を持って出かけずに用事を済ませる方法はないか」と発想を広げられるでしょう。

 ラテラルシンキングのスキルがあると、観点を変えたり発想を飛躍させたりできます。このスキルを鍛えるには、別の切り口がないかと考えたり、物事を抽象化してほかの事象にあてはめたりする習慣をつけることがポイントです。 

クリティカルシンキング

批判的思考ともいわれ、物事の前提や常識を疑い、思考の偏りをみつける思考方法のこと。「批判的」といっても相手の主張を批判してくつがえすというよりも、自身の論理や分析などを内省する意味合いです。 

「空・雨・傘」にクリティカルシンキングをあてはめれば、「空が曇っているからといって雨が降ると考えるのは短絡的」などと常識や既成の概念、理論を疑う発想が可能です。クリティカルシンキングは概念化能力を行使する際のチェック機能となるため、論理の飛躍やバイアスによる偏りなどを発見できます。

 クリティカルシンキングを鍛えるには、あえて物事を批判的に考える習慣を身につけるのが効果的です。たとえば主張を検討する際は客観的な事実やデータがあるかを確かめます。

また、「感情やバイアスにとらわれていないか」と自分を疑ったり、常識や既成概念をいったん外して考えたりするのもよいでしょう。

クリティカルシンキングの鍛え方について詳しくは、下記の記事も参考にしてください。

受容性

 異なる意見や価値観を受け入れるスキルのこと。受容性は経営ビジョンの策定で多くの意見を聞き、合意形成しながら決める際にも必要です。受容性を発揮して他者の意見を取り入れることで、よりよい結論を導き出せるでしょう。 

受容性があれば、他者と協調しながら概念化能力を発揮できます。ビジネスのグローバル化や職場のダイバーシティ(人材の多様化)が進む現代において、受容性は重要度を増しているスキルです。 

柔軟性

現状に即して臨機応変に対応できるスキルです。仕事にはトラブルがつきもので、マニュアルどおりの対応が通じない状況もあり、このようなときに柔軟性が求められます。

また、管理者には顧客ニーズや市場動向などに応じて、考え方をアップデートしていく柔軟性が必要といえるでしょう。

 概念化能力を発揮する際にも柔軟性が求められます。柔軟性がなければ、自由な発想で物事をとらえるラテラルシンキングや、固定概念を疑うクリティカルシンキングなども働きません。概念にあわせて事実をゆがめてしまう場合もあるでしょう。 

柔軟性に優れた人は行動力があるのも特徴です。たとえば多くの現場を回ったり、知見を持った人に意見を求めたりするなど、頭で考えるだけでなく、すぐに行動できます。 

多面的視野

物事を複数の観点からとらえ、いろいろなアプローチを検討できるスキルです。たとえばビジネスは、売り手である自社だけでなく、買い手、仕入れ先、流通業者、小売業などさまざまなステークホルダーで成り立っています。したがってビジネスで最適解をみつけるには多面的視野が欠かせません。 

この多面的視野の必要性は、社内においても同じです。管理者の階層が上がるほど正しい判断を下すには、複数の部署や拠点の業務内容や役割を広く理解しておく必要があります。

そのため、幹部候補にさまざまな部署や職務を経験させ、ゼネラリストとして育成するのが一般的です。知識や技術、スキルが広範囲になり、多面的視野を獲得できます。 

俯瞰力

大所高所から物事をとらえ、全体像を把握するスキルです。鳥のように空から見下ろす「鳥瞰(ちょうかん)」のスキルとほぼ同じ意味があります。

 俯瞰力があれば、物事を過去・現在・未来という大きなタイムスパンでとらえたり、事業を自社、顧客・市場、競合を含めたマクロの視点でとらえられたりするのです。俯瞰力は、事業の舵取り役となる管理者に必須のスキルといえます。

俯瞰力を身につける方法として、自社の外部環境と内部環境を強み、弱み、機会、脅威の4つで分析する「SWOT分析」を学ぶのがオススメです。そのほか、自社と顧客・市場、競合の3つの観点で分析する「3C分析」を学ぶ方法もあります。 

チャレンジ精神

リスクを恐れず困難や新たな課題などに挑戦できるスキルです。「過去の成功事例がない」「できるわけがない」などと思考をシャットアウトせず、可能性を追求できるスキルともいえるでしょう。 

チャレンジ精神がなければ、概念化能力を発揮する対象が狭まってしまいます。たとえば異業種への参入や、革新的な製品を生み出すプロジェクトの立ち上げといったチャレンジングな行動を生み出せないでしょう。

チャレンジ精神が欠けるとリスクを恐れて行動できず、新たな挑戦もしないため、部下がついてこない可能性もあります。チャレンジ精神を養うには、達成が難しい目標をあえて設定する「ストレッチアサインメント」という手法が有効です。

また、マインドセットに関する研修を実施したり、失敗を許容する社内文化を醸成したりするなどの施策を行っている企業もあります。 

知的好奇心

未知の知識に対する興味を持てるスキルです。博覧強記の読書で有名なビル・ゲイツやイーロン・マスクなどの経営者は多くいます。彼らのように自分のビジネス領域だけでなく、未知の領域も貪欲に知ろうとするマインドが知的好奇心です。 

知的好奇心があれば、さまざまな対象に対して概念化能力を使えます。全く違う領域からビジネスのヒントを得たり、新商品開発のための技術を取り入れたりするなども可能です。 

知的好奇心を育成する代表的な方法としては、社員の自己啓発をサポートする施策が挙げられます。またGoogleや3Mのように、業務時間の一定割合を自分が選んだプロジェクトに使える制度を設けて、社員の知的好奇心と創造性を活性化する企業も出てきました。 

探究心

成果が出るまで粘り強く追求できるスキルです。概念化能力としての探究心は、物事の構造や本質まで深く掘り下げて概念化できる能力といえるでしょう。

探究心を持っている人は、たとえば商品のコンセプト設計の際、利益や性能などの表層理解にとどまらず「なぜ今この商品なのか」「社会に貢献できるのか」などの本質的な部分まで深く追求します。 

探究心を伴わない概念化では、事業や商品・サービスについて、本質的な課題の発見や構造化に至りません。その結果、たとえば軸から外れた戦略を立てたり、短期的で持続可能でない施策を立案したりしてしまいます。 

決断力

適切なタイミングで的確な意思決定できるスキルです。管理者は部下から意見や判断材料をもらったうえで決断しなければならない場面があります。このようなときに、個別具体的な事象を抽象化して概念化したうえで、判断を下せる決断力が必要です。 

つまり決断力とは、概念化能力から何かを生み出すための出口となるようなスキルといえます。決断力が伴わなければ、仮に画期的なアイデアや精度の高いマーケティング分析などがあったとしても机上の空論に終わってしまうでしょう。 

計画性・時間管理能力

全体を把握して何をどの順番で実施するか決められるスキルです。たとえばプロジェクト計画であれば、目的・ゴール、作業項目、各工程の期間、人員、予算などを把握して計画書に落とし込むときに、計画性能力が欠かせません。 

この計画性能力には、計画が有効なものであったか検証する「計画の有効性評価」能力も含まれます。計画どおりに進まない場合もあるため、計画の有効性評価による修正・追加、もしくは次回への改善も必要です。 

また、時間管理能力も計画性能力と密接な関係があります。ビジネス領域では工程管理や業務時間の見積もりなどの際に時間管理能力が欠かせません。時間管理能力がなければ、納期を遵守したり、タイムリーな事業計画を実行したりできないからです。 

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概念化能力を鍛える3つの方法

概念化能力は徐々にスキルアップする性質を持つため、早い段階から日常的にトレーニングして身につけていくとよいでしょう。ここでは社員が個人的に取り組める方法について解説します。 

  1. 定義を明確にする癖をつける
  2. 抽象化・概念化・具体化する癖をつける
  3. 多面的な考えを身につける

定義を明確にする癖をつける

概念化能力を鍛えるには、事柄を明確に定義する習慣をつけるのが効果的です。概念化では「個別の事象→抽象化=定義→ある概念として統合」というプロセスを経るため、抽象化=定義のスキルを高めれば、結果的に概念化能力も高まっていくのです。

 トレーニング方法としては、個別の事柄について「本質は何か」「要するにどういうことか」「図や表で構造化できないか」などと考える習慣づけが挙げられます。たとえば物事を箇条書きでまとめたり、図に書いて整理してみたりといった方法です。

「マネジメントとは何か」「顧客ファーストとは何か」のように、自らに「○○とは?」と問いかけるのも効果があります。 

抽象化・概念化・具体化する癖をつける

概念化能力を鍛えるには「個別の事象→抽象化→概念化→個別の事象に概念を適用」というステップで検証するのが効果的です。

概念化能力は概念に統合するまでのスキルであるものの、具体化まで進めると概念化の正しさ、有効性を確認できます。具体化の際に問題や改善点がみつかればフィードバックを行い、概念を集約していけるのです。

 抽象化・概念化・具体化のトレーニング手法として、人材教育を手がけるキャリア・ポートレート コンサルティング代表の村山昇氏が考案した「ハンモックモデル」があります。ハンモックモデルが提案するトレーニングは、以下の表形式でステップ1から4の順に「π(パイ)」の字で思考して表を埋める方法です。

【抽象化(ステップ2)】商談化率が低い【概念化(ステップ3)】One to Oneマーケティングの必要性
【事象・経験(ステップ1)】売り上げが伸びない【具体化(ステップ4)】顧客管理システムの導入

 上記はあくまで一例であり、正解はありません。自身の身近な事象で表を作成すれば、概念化能力を鍛えられるでしょう。 

多面的な考えを身につける

概念化能力には多面的視野や受容性、ラテラルシンキング、クリティカルシンキングなど、多面的な考えが求められる思考、能力が多く含まれます。したがって、多面的な思考を身につけられれば、概念化能力の成長スピードを高められるでしょう。 

個人で取り組みやすい行動として挙げられるのは、積極的に多くの意見を聞く方法です。たとえばメーカーの経営者として不良品の課題に対応する場合、以下のように複数の部署から意見を聞き取ります。 

  • 製造部:なぜ不良品が発生するのか
  • 開発部:技術的に不良品が発生しやすい構造や材質なのか
  • 営業部:現状の不良品率は顧客満足度に影響しているか

日常的に情報収集のチャネルを広げておくと、多面的な思考を身につけやすくなるでしょう。 

社員の概念化能力を鍛える2つの施策

人材育成施策として概念化能力を鍛えるには、どのような方法があるのでしょうか。ここでは社員に受けさせたい研修や業務を解説します。 

概念化能力を実践で確認する

企業が望む人物像にしたがって概念化能力を伸ばすには、実務で確かめながら進めるとよいでしょう。優れた概念化能力を持っていても、成果をもたらすかどうかは実務に適用しないとわからないからです。

OJTやロールプレイングといった実践の場を与えられると、社員はアウトプットを意識した概念化能力を鍛えられます。たとえばOJTでは社員に権限を付与して、より概念化能力が求められる上位のマネジメントを担当してもらいます。

また、後継者育成計画(サクセッションプラン)では、経営者のそばに候補者を置き「君が経営者だったらどう決断するか」「経営者として現状分析をしてみてほしい」などとロールプレイングを実施する企業が多いです。 

集合研修で思考力を鍛える

対象者が多い場合は、集団研修を実施するとよいでしょう。概念化能力のうち、思考力の骨組みとなるスキルは、下記の3つです。

  1. ロジカルシンキング
  2. ラテラルシンキング
  3. クリティカルシンキング

 これらの論理的なスキルは、管理者に求められる概念化能力に必須であるだけでなく、一般社員の業務にも欠かせないスキルのため、新入社員や若手社員に対して集団研修を実施している企業も少なくありません。論理的なスキルを身につければ、感情的な判断やバイアスを受けた偏った考え方に陥りにくくなります。また、常識や慣例を疑い、新しい発想が生まれやすくもなるでしょう。

 しかし、集団研修は時間や場所の制約があるのがデメリットです。受講者を一堂に集めるのが難しい場合はオンラインでの集団研修を実施するとよいでしょう。オンライン研修はインターネットを通じて参加できるため、複数の拠点を持つ企業やテレワークを導入している企業にも最適です。

目的に合わせた社員研修をオンラインで行うならmanebi ラーニングの活用がオススメです。目的にあわせたeラーニングやオンライン研修を効果的に実施できます。

豊富なコンテンツから、社員の概念化能力を鍛えられるコンテンツが選択可能です。階層別の社員研修もオンラインで実施可能なため、効率的で効果的な人材育成につなげられます。 

概念化能力を人材育成につなげる3つのポイント

ここでは概念化能力の育成効果を高めるポイントとして、対象者の選定や研修内容の決め方、研修を実施する前の合意形成などについて解説します。

概念化能力の育成対象となる社員は、管理者または管理者候補であるのが一般的です。企業の将来を担う人材への重要な施策だけに、成果につながるポイントを押さえておきましょう。 

幹部社員やマネジメント層だけでなく一般社員の意見も取り入れる

概念化能力は一般的に幹部社員やマネジメント層に求められる能力です。しかし、概念化のすべてを上層部に依存する状況はよくありません。

 たとえば飲食店の経営において、顧客の反応や要望は現場で働く店舗スタッフがよく知っています。よって「お客様が求めているのは味だけではなく、提供までの早さ」というように、顧客ニーズを的確に概念化できる場合もあるでしょう。 

概念化能力の育成は一般社員にも広げることが大切です。著名な経済学者のピーター・ドラッカーも、知的作業の増大によってナレッジ・ワーカー全般に概念化能力が必要だと述べています。

事実、広範囲の社員に各種の研修を受けさせる企業も多いのです。概念化能力を持った社員が増えれば、組織の活性化につながります。

個人のスキルや職級に合った研修を実施する

効果的な研修にするには個人のスキルや職級に合った内容を選ぶのが重要です。管理者を対象とする場合、先に解説したカッツモデルの管理者の階層で研修を選定する方法があります。

たとえば、トップマネジメントならば経営戦略や意思決定などリーダーに求められる研修、ロワーマネジメントなら現場管理で重要な計画性・時間管理能力の研修など、役割に応じた研修が考えられるでしょう。 

より細かくマッチングしたい場合は、研修会社やHR企業などが提供している診断テスト(選択式の質問に回答すると、概念化能力をおおまかに見える化できるテスト)が役立ちます。たとえば、ロジカルシンキングは優れているがチャレンジ精神が足りないといった、個人レベルでスキルや特性をスコアで把握できるため、効果的な研修プランを作成できます。 

理解してもらえる人材教育を行う

概念化能力の研修やOJTなどを実施する際は、受講者に研修の意図を理解してもらえるよう、モチベーション形成を重視しましょう。なぜなら、概念化能力は先天的な能力といわれる場合もあるほどパーソナリティーに近い能力であるからです。一方的にスキル習得を押しつけると、社員が拒絶感を持ちやすい面があります。

 概念化能力の必要性は合理的な理由がないと納得してもらえないケースも少なくありません。ポジションベースの指示では理解されない場合があるため「DX推進の指揮を執ってもらうために概念化能力の向上が必要だ」などと業務ベースの説明も必要です。 

社員の理解を得るには、キャリア面談を設けて丁寧に説明するとよいでしょう。キャリア面談は人事評価の面談と違い、部下のキャリア形成にフォーカスする面談です。概念化能力が今後のキャリアに役立つことを伝えることで必要性を理解してもらえるでしょう。 

概念化能力は早い段階からの意識が重要

概念化能力は企業の上層部になるほど重要度を増していくスキルです。短期間で身につくスキルではないため、定義化・抽象化・具体化の思考トレーニングを積み重ねていく必要があります。概念化能力を適切に身につけるなら、早い段階から概念化能力を育てる研修を実施していくと効果的です。

manebi eラーニングは、オンライン研修やeラーニングをブレンドしたブレンディッドラーニングを提供しており、コンテンツ数は約5,000件と豊富で、概念化能力の育成に役立つ研修やコンテンツを多数ご用意しています。

より詳しい内容は「サービス資料・教材一覧ダウンロード」ページより御覧ください。

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