宿泊研修を行う意義とは?研修内容や効果を解説

  • 研修運営

2024年4月22日(月)

目次

「宿泊研修は準備が大変そう」「社員が参加を嫌がるのでは……」と不安な要素も多く、実施すべきか悩む研修担当者も多いのではないでしょうか。宿泊研修は、企画内容や運用の工夫次第で、集合研修にはない効果を得られます。

本記事では、宿泊研修の目的やメリット、参加を嫌がる社員に対する適切な対応方法などを解説するので、研修導入を検討している方は参考にしてみてください。

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宿泊研修とは

宿泊研修とは、泊まりこみで行う研修のこと研修内容によって宿泊期間は異なり、1泊から2泊程度のものから数週間の長期研修までさまざまです。宿泊研修では、習得に多くの時間を要する研修を集中して学んだり、社員との交流を目的としたりするケースが多く、一般的な集合研修では得られない効果が期待されます。

宿泊研修の目的

宿泊研修を実施する目的として、おもに次の3つが挙げられます。

  • 集中して研修内容を習得してもらう
  • 研修時間を凝縮する(時間や回数の多い研修)
  • 受講者同士のコミュニケーションの活性化

宿泊研修では日常業務から完全に離れるため、集中した研修受講が可能です。宿泊研修では研修受講後もほかの参加者と過ごすため、参加者同士のコミュニケーションが促されます。たとえば、研修を終えたあとに食事やレクリエーションを行ったり、研修の前後の日程で観光エリアをまわったりするなどです。

宿泊研修ならではの効果(メリット)

宿泊研修のメリットは、おもに以下の4点が挙げられます。それぞれのメリットについて詳しくみていきましょう。

  1.  研修に集中しやすい
  2.  社内コミュニケーションを活性化できる
  3. 参加者のモチベーションを高める
  4.  リフレッシュできる

研修に集中しやすい

宿泊研修は、日常業務から完全に切り離して時間を確保できるのが特徴です。普段、業務が慌ただしい社員にとって、研修だけに集中できるのはメリットでしょう。

日帰りの研修では、研修前後に職場や自宅に戻る必要があり、移動の負担がかかってしまうもの。これにより日常業務と研修スケジュールを調整する必要もあるため、なかなか集中が難しい場合もあるでしょう。

一方、宿泊研修は移動時間も参加者同士のコミュニケーションに充てられるため、研修前後の時間を、研修の振り返りや思考の整理に費やせます。業務をしながら中途半端に受講することを避けられるため、学んだ内容の理解を深められるでしょう。

社内コミュニケーションを活性化できる

宿泊研修では食事や就寝時間をほかの受講者とともにするため、コミュニケーションが増えやすくなります。業務中に知るきっかけがなかった同僚社員のプライベートな話や、仕事の価値観を含めて、さまざまな会話ができるチャンスです。

社員の人となりや考えについて深く知りながら関係を構築すると、組織に一体感も生まれるでしょう。参加者同士のコミュニケーションを促進するために、事前に会話のテーマを受講者に伝えておく方法もオススメです。

参加者のモチベーションを高める

宿泊研修で利用する会場周辺に美味しいお店があったり、観光できる場所があったりすると、研修にプラスアルファの「楽しみ」が増え、研修参加へのモチベーションが高まります。

会場周辺に観光スポットがなかった場合でも、宴会やレクリエーション、社員表彰などのコンテンツを企画して研修プログラムを工夫してみましょう。それにより、普段の研修とは異なる「特別感」を演出できます。

リフレッシュできる

宿泊研修では、社員のリフレッシュ効果も期待できます。研修といっても、日常業務から離れて社員同士の会話を楽しんだり、宿泊先エリアを観光したりすることで、気分転換になる社員もいるはず。より効果を促すため、あえて温泉施設を宿泊先に選ぶのもよいでしょう。

宿泊研修をきっかけに、仕事でストレスを抱えてしまっている社員が新鮮な気持ちを取り戻せるのはメリットといえます。

宿泊研修のプログラム例

宿泊研修は、おもに以下のようなプログラムが組まれ、実施されています。ここからは、各プログラムについて詳しくみていきましょう。

  1. 新入社員研修
  2. リーダーシップ研修
  3. 新任管理職研修
  4. オフサイトミーティング
  5. コミュニケーション研修
  6. レクリエーション

新入社員研修

新入社員は、社会人としてどのように振舞えばよいのか、入社後に会社に馴染めるかなどさまざまな不安を抱えているもの。社会人としての考え方やビジネスマナーなどを習得しつつ同期社員とのコミュニケーションを取れる宿泊研修は効果的です。

宿泊研修をとおして同期との関係を構築できれば、配属決定後も中長期的に相談しあったり、お互いを高め合ったりできるでしょう。

新入社員研修のカリキュラムについては「新入社員研修のカリキュラムの作り方〜教育手法やポイントなど徹底解説」もあわせて参考にしてください。

リーダーシップ研修

リーダーシップ研修は、中堅社員や次期リーダー候補、プロジェクトリーダー候補を対象に実施される研修で、リーダーシップとリーダーの違いやメンバー間でのコミュニケーション方法などを、座学やワークを通じて学びます。宿泊研修を活用すると、受講者同士で話せる時間を多く取れるため、新人リーダー同士で助け合いながら不安をやわらげられるでしょう。

リーダーシップについては「シェアド・リーダーシップを活用するには?必要なスキルやメリット・ポイントを解説」もあわせて参考にしてください。

新任管理職研修

新任管理職研修は、おもにマネジメントにかかわる知識を学び、結果を出せるチームづくりを目指すために実施されます。管理職研修のカリキュラムにはボリュームがあり、日ごろ慌ただしい管理職の場合、まとまった研修時間を確保できないケースも多いでしょう。そこで、日常業務と完全に切り離して実施できる宿泊研修が有効といえます。

また、新任の管理職者は、慣れないマネジメント業務に対して悩みを抱えてしまう場合もあるはずです。宿泊研修で同じ悩みを抱えた新任管理職同士が集い、現場での困りごとや気づきを共有することで、課題解決を後押しできます。ほかの受講者とゆっくり対話しながら学ぶには、宿泊研修の形式が適しているでしょう。

オフサイトミーティング

オフサイトミーティングとは、社内のミーティングルームではなく、社外の施設を利用して実施するミーティングのこと。社外で実施するため新鮮な気持ちになり、新たなアイデアが生まれやすいとして、実施する企業が増えてきました。

オフサイトミーティングは、日常業務から離れて会話に集中するため、来客や電話対応が不要な環境で行う必要があります。このように、日常業務と切り離す観点で宿泊研修との相性がよいと考えられるのです。

普段は全社員が一堂に会することが難しい企業や、年度始まりのキックオフ、半期や四半期などの営業の締め日のタイミングなどで宿泊研修を企画して、オフサイトミーティングを実施するとよいでしょう。宿泊研修時にオフサイトミーティングを実施すれば、率直な意見を交わせるだけでなく、参加者の結束力を高める効果も期待できます。

コミュニケーション研修

コミュニケーション研修は、社内外の相手と適切な関係構築をしてビジネスを推進するためのコミュニケーション方法を学ぶ研修です。社内の報連相に役立つ話し方をはじめ、部下の成長を促すためのコミュニケーション力や、顧客から信頼獲得をするための手法まで幅広いコミュニケーション力を養います。

宿泊研修は、研修受講後も受講者同士で会話する時間が長いため、座学で学んだコミュニケーション力を自然な形でアウトプットできるのです。

コミュニケーションに役立つ「アサーションとは」もあわせて参考にしてください。

レクリエーション

宿泊研修では、レクリエーションを実施する企業も多いです。レクリエーションは厳密にいうと研修ではありません。しかし社内コミュニケーションやチームビルディングを目的として、研修とセットで実施すると効果をもたらす場合も多いでしょう。

座学研修の合間にレクリエーションをはさむと、研修の詰め込みを防止でき、参加者のリフレッシュにもつながるのです。レクリエーションでは、以下のようなものが研修で活用されています。

  • 条件プレゼン
  • 人狼ゲーム
  • マシュマロチャレンジ

レクリエーションがきっかけで自分の伝え方の課題に気づいたり、相手の考え方を知るきっかけになったりする場合もあります。研修の目的や受講者にあわせて企画を練ってみるとよいでしょう。

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宿泊研修に行きたくない?デメリットと社員の本音

まとまった研修時間を確保し、日常とは異なる場所で集中して受講できる宿泊研修である一方、「宿泊研修に行きたくない」という社員も一定数存在します。宿泊研修が煙たがられる理由や、宿泊研修ならではのデメリットについて解説しましょう。

長時間の拘束と強制参加に対するストレスを感じる

宿泊研修は社員を長時間拘束する研修形態となるため、ストレスを感じる人もいるはずです。強制参加にストレスを感じる人の意見には、次のものが挙げられます。

  • わざわざ泊りがけでおこなわなくても学べるのではないか
  • プライベートの時間がとれないのは嫌だ
  • 強制参加に納得がいかない

いずれの意見に対しても相手の気持ちに寄り添いながら「宿泊研修ならではのメリット」や「研修実施の目的」について、論理的に説明する必要があるでしょう。時代が移り変わるとともに、効率やワークライフバランス、多様性が重視されるようになったからこそ、「会社がおこなう研修には絶対に参加しましょう」と押しつけるのはリスクが高いです。

不満を感じている人のなかには、納得できる理由があれば、参加を前向きに考える人もいるはずです。研修を企画する際は、研修目的や意図、受講者にとってのメリットなどを十分に説明するよう心がけてください。

苦手な社員と宿泊しなければならない

苦手な社員と宿泊することが嫌だと感じる人もいるでしょう。その背景にあるのは、特定の社員に苦手意識をもっていたり、そもそも人とのコミュニケーションが苦手だったりする場合です。

しかし組織で働く以上、苦手な人ともかかわっていかなければなりません。また苦手と感じている相手も、別の角度から見ることで良好な関係構築につながるケースもあるはずです。

宿泊研修では「日常業務では見えずらい相手の一面を知るきっかけになる」「チームメンバーや部下と関係を深めれば業務を進めやすくなる」など、宿泊研修ならではの魅力を伝えつつ、説明してみるとよいでしょう。

業務とのスケジュール調整が難しい

宿泊研修を企画する場合、以下の人員やスケジュール、状況を総合的に考慮して調整する必要があります。

  • 受講者の部署の業務状況
  • 受講者自身のスケジュール
  • 受講者の業務状況
  • 研修の講師のスケジュール
  • 研修会場の空き状況

すべての調整が難しい場合人数をわけて実施したり、数か月前から早めに告知をしたりして、全員が参加できるよう工夫するとよいでしょう。

費用面の負荷が大きい

宿泊研修では、一般の研修にくわえて次の費用が発生します。

  • 宿泊費
  • 研修期間中の食費
  • 宿泊施設の設備費用
  • 研修会場の連続使用料
  • 懇親会の費用

宿泊研修の費用の一部を受講者に負担させる場合は注意してください。業務上必要な知識やスキルを修得する目的で実施する研修は業務とみなされるため、原則として費用を会社負担するのが一般的なためです。研修内容が業務に直接影響しない場合でも、参加を業務命令とすると業務とみなされるため、やはり費用は会社負担となるでしょう。

どうしても自費で宿泊研修に参加させたい場合は、就業規則に「自己啓発を目的とする研修は自費とする」と明記する方法も考えられます。しかし必ず専門家の意見をあおぐようにしてください。

宿泊研修のモデルスケジュール

宿泊研修では、施設やホテルによって以下のようなスケジュールが組まれます。

【1日目】

9:00~10:00受講者同士の自己紹介・アイスブレイク
10:00~13:00研修
13:00~14:00昼休憩
14:00~17:00座学・ロールプレイ・チームビルディング
17:00~18:00チェックイン・グループディスカッション
18:00~20:00夕食・懇親会

【2日目】

8:00~9:00朝食・チェックアウト
9:00~12:00研修
12:00~13:00昼休憩
13:00~16:00研修まとめ・表彰など
16:00~18:00地域観光・解散

宿泊先の施設で、モデルスケジュールを用意している場合もあります。スケジュールを計画する際に、宿泊先や旅行会社に問い合わせしてみてもよいでしょう。

オススメの宿泊施設・エリア

宿泊研修の場所を選定する場合は、次のポイントをおさえましょう。

  • 研修に必要な設備が整っているか
  • レストスペースなどリラックスできる場所があるか
  • 1部屋あたりの人数はグループごとの人数と合うか
  • 宿泊施設内、もしくは周辺の徒歩圏内に飲食店やコンビニがあるか

研修に必要な設備・備品の確認は必須です。くわえて、宿泊施設にリラックスできる設備や場所があるかをチェックしてください。なかには、慣れない宿泊研修でストレスを感じ、研修の合間に少し休息をはさみたいと感じる社員もいるでしょう。

また、病人やけが人が出た場合にスムーズに対応できるよう、周辺に病院やドラッグストア、スーパー、24時間営業のコンビニエンスストアなどの施設が充実しているかどうかも大事なチェックポイントです。続く章では、宿泊研修で人気なエリアを複数取り上げてご紹介します。

東京

東京エリアは、研修に適した設備があるホテルやミーティングルームが豊富なだけでなく、徒歩圏内にコンビニや飲食店も充実しています。また、首都圏においては300人以上を収容できる会場も多いため、あらゆる企業規模の研修に対応可能です。

新宿や渋谷などの都心部をはじめ、東京駅周辺の八重洲、秋葉原にも宿泊研修に対応できる施設がそろっています。東京は電車で各エリアに短時間で移動できるため、観光にも適したエリアです。

神奈川(箱根・横浜)

神奈川県は、おもに横浜と箱根エリアが対応しています。横浜駅周辺では、ホテルやミーティングルームがそろっており、徒歩圏内にコンビニや飲食店、百貨店などが充実しています。

箱根エリアは観光名所のひとつで、天然温泉や豊かな自然、観光スポットを楽しめるのが大きな魅力となっています。観光地のため、コンビニなどは徒歩では遠い可能性が高いです。必要になりそうなものはあらかじめ準備しておきましょう。

北海道(函館・札幌)

北海道では、おもに函館と札幌エリアが宿泊研修の候補地としてオススメです。両エリアとも、おもに宿泊研修に対応できるホテルがメインとなり、函館駅や札幌駅周辺は、徒歩圏内に飲食店やコンビニも充実しています。北海道は観光地できるエリアも豊富なほか、美味しい食事に期待できるため、研修旅行の候補地に多く選ばれているのです。

京都

京都では、京都駅周辺のホテルを活用するのがオススメです。京都駅周辺は徒歩圏内にコンビニなど各種施設がそろっているため、神奈川エリアの横浜に近い活用方法が可能といえます。

また、京都も観光名所のため、北海道と同様に研修旅行の候補地に多く選ばれているのです。京都の観光名所は京都市内に集中しているため、少ない時間でもいろいろな場所を巡れるのは魅力でしょう。

目的にあわせて宿泊研修を取り入れてみよう

宿泊研修は、通常の集合研修よりもはるかに研修に集中できるほか、寝食をともにするため受講者間のコミュニケーションが活発になるのが最大の魅力です。宿泊をともなうため費用がふくらむものの、内容次第では投資以上のメリットが期待できます。

宿泊研修の効果を最大限に高めるには、受講者が意欲的に参加できる状態が必須です。研修に参加することで得られるメリットを十分に伝え、参加する意義を見出してもらうよう工夫しましょう。また、研修効果を高めるために、オンラインで自学自習できるサービスを並行して活用することもオススメです。

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