タイムマネジメントスキルを高めるコツと8つの手法・研修を紹介

  • ビジネススキル

2024年3月11日(月)

目次

タイムマネジメントスキルを高めると、業務時間を有効に使えるようになり仕事の質も高まります。しかし、タイムマネジメントと「時短」の違いがわからない、社員のタイムマネジメントスキルの高め方がわからない、など悩む人もいるでしょう。

本記事では、タイムマネジメントスキルを高めるコツや具体的な手法・研修などを紹介します。タイムマネジメントに役立つフレームワークも紹介するので、ぜひ参考にしてください。

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タイムマネジメントの意味

タイムマネジメントとは、限られた時間を有効活用して取り組みの質を高めること。スケジュールを管理して締め切りを守るだけでは、タイムマネジメントとはいえません。

ビジネスシーンにおけるタイムマネジメントとは、生産性を高めること。タイムマネジメントスキルが高い人は「仕事に早く手をつける」「サボらずに仕事を進める」ことにくわえ、「効率よい働き方」を重視します。たとえば出張の機会があったとしましょう。タイムマネジメントスキルが高い人は、事前に議事録作成や司会などの役割分担をしたり、移動中に仕事ができるようパソコンを手配したりします。

そもそも、出張をやめてWeb会議で対応できないか検討する人もいるでしょう。取り組む前の手際よい段取りが、タイムマネジメントを成功に導きます。

タイムマネジメントは時間管理・スケジュール管理ではない

タイムマネジメントは、単なる時間管理・スケジュール管理とは異なります。タイムマネジメントの本質は、業務における生産性の向上です。時短テクニックを駆使する、スケジュールをミスなく正確に管理するのみでは、時間管理・スケジュール管理の枠に留まります。

また、単純に時間だけを意識すると、業務の質が下がったりトラブルが起きたりする恐れもあるでしょう。リカバリーに時間がかかると、かえって業務の負担が増えてしまうので注意が必要です。

タイムマネジメントスキルの高い人は、業務内容を理解して取り組み方や優先順位を考えています。時間短縮にとらわれずタイムマネジメントを成功させましょう。

タイムマネジメントの目的

タイムマネジメントスキルを高める目的は、自分や社員の行動を見直し、企業全体の生産性向上につなげること。正確な時間・スケジュール管理や、時短テクにこだわりすぎず、個人の業務処理能力を高めましょう。

組織目線で見ると、働きがいのある環境作りもタイムマネジメントの目的といえます。社員のタイムマネジメントスキルが高まると、時間の使い方に余裕を持てるようになるでしょう。

時間の余裕があれば、丁寧に仕事に打ち込めるようになり、ほかのやりたかった仕事やプライベートの時間に充てることも可能です。タイムマネジメントスキルの向上は、企業と社員の双方にとってメリットをもたらすといえるでしょう。

タイムマネジメントを向上するメリット

タイムマネジメントスキルを向上させるメリットは次のとおりです。

  • 体と心に余裕が生まれる
  • 自己肯定感が高まる
  • コスト削減につながる

時間に追われながら働くうちに、心身にダメージを負う人も少なくありません。慌てているとミスやトラブルが起きやすく、カバーしようと働くことで体に無理が生じる場合もあります。上手くいかずに落ち込むと、メンタルが消耗するもの。社員のタイムマネジメントスキルを高めて、余裕を持って働ける人材を育成しましょう。

またタイムマネジメントにより業務を上手く進められた社員は、成功体験を得られますし、それを積み重ねると自己肯定感が高まり、前向きに仕事に取り組めるようになるでしょう。さらに、社員個々の生産性が高まると、労働時間の短縮によるコスト削減も期待できます。

タイムマネジメントのパターン

タイムマネジメントの目的は、生産性向上です。生産性は「生産性÷投入時間」の計算式で評価できます。マッキンゼーの元採用・人材マネジャーの伊賀泰代氏は、タイムマネジメントのパターンは、次の4つに分類できると提唱しているのです。

  1. 投入時間は同じでも、成果を増やす
  2. 投入時間を少し増やして、成果を大幅に増やす
  3. 成果は同じでも、投入時間を減らす
  4. 成果を減らすが、投入時間を大幅に減らす

投入時間は同じでも、成果を増やす

「投入時間は同じでも、成果を増やす」には社員のスキル向上・ムダな工程の削除・機械化やシステム化の推進などが挙げられます。

投入時間を少し増やして、成果を大幅に増やす

ポイントは、成果に結びつきやすい業務を特定すること。すべての業務に均一に時間をかけるより、労力を割く対象を絞ったほうが多くの成果を得られます。緊急性・重要性を見て業務の優先順位をつけて取り組むため、投資に近い感覚のタイムマネジメントだといえます。

成果は同じでも、投入時間を減らす

「成果は同じでも、投入時間を減らす」では、前述の「投入時間は同じでも、成果を増やす」と同じく社員のスキル向上・ムダな工程の削除などを検討します。一方、「成果は同じでも、投入時間を減らす」では、対象となる業務自体の成果は上がりません。余った時間を他の業務に費やすことで、結果的に事業または企業の生産性が高まるイメージです。

成果を減らすが、投入時間を大幅に減らす

特定の不要な業務にかける時間、成果をともに削減すること。成果に結びつきにくい業務を減らすと、他方で成果が上がりやすい業務に時間をかけられます。このパターンも、「成果は同じでも、投入時間を減らす」と同じく、事業または企業全体で見たときの生産性を高めたいときに向いています。

タイムマネジメントを高める方法8選

タイムマネジメントスキルを高めるポイントは、業務に取りかかる前の段取りと、定期的な振り返り。本章で紹介する手法を参考にして、タイムマネジメントスキルを高めましょう。

  1. 目標設定をする
  2. 業務を細かくわける
  3. 優先順位をつける
  4. グルーピングする
  5. 人に任せる・アウトソースする
  6. 時間を区切る
  7. 期限・スケジュールを明確にする
  8. 振り返りの時間を設ける

目標設定をする

事業や業務の目標を明確にすると、タイムマネジメントしやすくなります。目標や目的が曖昧だと、必要な業務を洗い出せず優先順位をつけられないため、生産性が低下します。目標を設定する際は、「終了する」「完成させる」だけではなく、内容を具体化しましょう。漠然としすぎている目標ではモチベーションを保ちにくくなります。

また、可能な限り目標を数値化して、達成度の客観的な確認ができる状態にしましょう。数値で把握すると、スケジュールの遅延を確認しやすくリカバリーも容易になります。また、「今日中にレポートを5割書く」といった「完成させる」という最終的な目標との間に、中間目標を設定しておくのもオススメです。中間目標があると進捗確認しやすいだけでなく、達成感を感じながら最後までモチベーションを維持しやすくなります。

業務を細かくわける

業務を細分化&見える化して仕分ける作業は、キーポイントとなる工程です。前述のように、タイムマネジメントするときは最初に「目標設定」を行い、そこでは業務を洗い出して、個々の業務の内容を具体化します。

業務を内容ごとに仕分け、まとめて取り組んだほうが効率よいものはないか、優先順位が高い仕事はないかなどと考えつつ、具体的な取り組み方を決めて「業務を細かくわけていく」のです。瞬時に業務を仕分ける能力があれば、タイムマネジメントスキルは大きく向上するでしょう。業務を仕分けする具体的なアプローチ方法を紹介するので参考にしてください。

自分でやる仕事と人に任せる仕事

コア業務とノンコア業務で仕分ける方法があります。

  • コア業務:企業の利益に直結する業務で、企業活動でいえば営業や生産などが一例
  • ノンコア業務:企業の利益に直結しない業務で、代表的なものは総務や経理などのバックオフィス業務

また、コア部門にあたる業務でも、細分化すればコア業務・ノンコア業務に仕分け可能です。たとえば営業の仕事でも、得意先とのやり取りはコア業務で顧客リストの確認や請求書の作成などはノンコア業務のようにわかれていきます。

コア業務にあたる業務は、属人化しやすく、代替が難しいです。一方、ノンコア業務は属人化が起きにくい業務のため、手の空いている社員に依頼したり、外部にアウトソースしたりしたほうが生産性を高められる可能性もあります。

考える仕事と作業をこなす仕事

考える仕事と作業をこなす仕事に仕分ける方法もあります。

  • 考える仕事:リサーチをしたり人と協議したり、判断したりする業務
  • 作業をこなす仕事:帳簿作成や工場のライン作業、配達や清掃といったルーチン業務

考える仕事は定型化やマニュアル化が難しい一方、作業系の仕事はマニュアル化や作業フローを仕組み化して外部にアウトソースできる点で異なります。ノンコア業務と同様に、手の空いている社員に任せたり、外部にアウトソースしたりして生産性を高めましょう。

一人で行う仕事と共同作業が必要な仕事

一人で完結する仕事と、複数名を巻き込んで共同作業が必要な仕事にわける方法もあります。共同作業が必要な仕事には、部門をまたぐ複数の関係者で協議しながら進める業務や、同じ部門内で作業を分担して進める業務などが挙げられるでしょう。

共同作業が必要な仕事ほど優先順位は高い傾向が見られ、先に相手の予定を押さえておかないと、当該業務は終わりません。また、複数名の稟議や承認が必要なときに、特定の人が作業を止めてしまうと、全体の業務が滞るリスクもあります。この特徴を理解したうえで、1人で行う仕事と共同作業が必要な仕事を分類し、人と一緒に進める仕事の優先度を上げて取り組むとよいでしょう。

利益率の高い仕事と低い仕事

優先順位をつけるという観点では、利益率の高い仕事と低い仕事との仕分けも意識しましょう。

  • 利益率が高い仕事:売上高が大きい仕事や将来的に利益につながる業務
  • 利益率が低い仕事:売上貢献度が低く、かつ将来性も見込めない業務

利益率は数値化できるため、利益率を比較しながら業務の優先順位をつけるとよいでしょう。続いて、利益率は低い業務を分析して将来性があるか判断を進めます。さらに、利益率の高い仕事の効率化を優先して、事業全体の生産性向上を図りましょう。

必須の仕事とできればやりたい仕事

目の前の仕事が、絶対にやらなければならない仕事かどうか見極める手法もあります。本人の意思でやりたいかどうかではなく、「法的に見てやるべき義務がある」「事業プロセスのなかで絶対にやるべき業務である」ものを抽出する考え方です。たとえば、社員が入退社した際の社会保険・労働保険の手続きは、事業運営上、必須の仕事といえます。

また、営業活動において「リードを獲得する」業務は必須です。しかしリード獲得をするために「テレアポをする」「メールマーケティングをする」「飛び込み営業をする」といった手法は任意の業務となります。優先順位を感覚でつけず、根拠をもって「やるべきかどうか」判断しましょう。根拠を見極める際は、法的に義務化されているか、事業プロセス上で必要かどうか、緊急性や重要度の高さなどの視点で確認するとスムーズです。

優先順位をつける

共同作業が必要な仕事、利益率が高い仕事、緊急性が高く必須の仕事など優先順位をつけたほうがよい業務を優先度順に整理し、順位の高い業務から取りかかりましょう。優先度の確定が難しい場合は、業務一つずつの順位を確定しなくても構いません。優先順位の確定に時間をかけすぎると、結果的に取りかかりが遅れて生産性が低下するためです。

優先順位をつけるときは、todoリスト(取り組むべき業務を箇条書きにして優先順位にしたがって並べたもの)が役立ちます。todoリストを作ると業務を見える化でき、やり忘れを防げます。todoリストは手書きやエクセルでも構いません。ただし、部門やチームでタスク管理する場合、専用の管理ツールやアプリ、システムを使うとお互いの進捗状況がよくわかります。

グルーピングする

関連する業務をまとめると、マルチタスクせずに済むため効率よく進行できます。たとえば、一人で行う仕事を地道に進めると決めた時間は、ほかの予定が入らないようカレンダーをブロックしておくとよいでしょう。「商談の日を1日にまとめる」「毎日午前中をリサーチにあてる」こともグルーピングといえます。

グルーピングしたあとは、頭がすっきりしている午前中に「考える仕事」に取り組むといったように、業務内容や自分の都合にあわせて取り組む時間を決めてください。グルーピングに向いている業務は、緊急性が低いものの重要性は高いもの。緊急性が高い業務に埋もれて忘れがちな業務も、まとめて実行すれば取りこぼしを防げるでしょう。

人に任せる・アウトソースする

業務によっては、人に任せる・アウトソースしたほうが生産性を高められます。業務の内容や要求されるレベルから、外部の専門家や、BPOや顧問先、社内でその業務が得意な人、チーム内で手の空いている人など委託先を決めましょう。

すべてのタスクを自分でこなしたい人もいるかもしれません。しかし自分でやることにこだわりすぎると生産性が低下する恐れもありますし、「誰かに依頼する時間がもったいない」と考える人もいるでしょう。長い目で見ると早いうちに業務を託したほうがよいと考えられます。

時間を区切る

限られた時間で集中すると、生産性が高まるといわれています。時間を区切る方法として有名なものが「ポモドーロテクニック」です。ポモドーロテクニックは、以下の手順で実行します。

  1. 25分間作業に集中する
  2. 5分間休憩する
  3. 1.と2.を繰り返す
  4. 状況に応じて30分程度の長い休憩をはさみ、再び作業に戻る

5分間の短い休憩と、30分間の長めの休憩を挟むことで、モチベーションを維持しつつ業務を進められます。脳を休息させられるため、疲労を意識せずに済むためです。また、マルチタスクの癖を強制的に直せる点も、ポモドーロテクニックのメリットといえるでしょう。

マルチタスクの概要やメリット、デメリットについては「マルチタスクとは?メリットやデメリット、マルチタスクを活用するコツを解説」で説明しています。

期限・スケジュールを明確にする

業務の優先順位に応じて、期限を区切ってスケジュールを立てます。スケジュールを立てたら、タスク管理表やスケジュール表で見える化しましょう。とくに複数の関係者で取り組む場合は、誰がどの仕事を担当しているかを明確にします。想定外のトラブルが起きる恐れもあるため、調整時間も含めて余裕のあるスケジュールを立てましょう。

工程管理によく用いられるのが、ガントチャートです。ガントチャートは、縦軸に業務や担当者、開始日、納期などが記されており、各業務から伸ばした横長の棒グラフが、作業の期間や進捗を示しています。ガントチャートを活用すると、視覚的に業務や担当者ごとの進捗状況を把握可能です。スケジュールに遅れが見られる部分がわかりやすいため、手の空いている人がフォローすれば挽回できます。

振り返りの時間を設ける

タイムマネジメントを振り返る時間を設けましょう。「納期に間に合わない」「まだ達成できない」などの事態を避けるには、定期的な振り返りが必要です。たとえば、1日の終わりといった余裕があるときに、次の内容を振り返りましょう。

  • 計画どおりに物事が進んでいるか
  • 目標を変更する必要はないか
  • スケジュールを変更する必要はないか
  • クオリティの低下や、クレームはなかったか

スピードアップしても業務の質が落ちていれば、タイムマネジメントできているとはいえません。必要に応じて、業務の取り組み方を見直しましょう。

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タイムマネジメントにおすすめのフレームワーク

フレームワークは、効率よく取り組むための「思考の枠組み」です。タイムマネジメントを向上させる考え方や、段取りや振り返りの際に役立つ8つのフレームワークを解説します。

  1. ロジックツリー
  2. アイゼンハワーマトリクス
  3. フィジビリティスタディ
  4. SMARTの法則
  5. HIROEN(ヒロウエン)
  6. MECE(ミ―シー)
  7. QCDRS

ロジックツリー

ロジックツリーは、タイムマネジメントに限らず論理的思考に役立つフレームワークです。タイムマネジメントにおけるロジックツリーは、業務を思いつく限り洗い出してから、大きな業務を細分化するよう小さな業務を配置するといった「業務を細かくわける」段階で活用します。

ロジックツリーと呼ばれる理由は、小さな業務の部分が枝分かれしているように見えるためです。タイムマネジメントにロジックツリーを活用すると、業務の全体像を見える化できます。ポイントは、できる限り多くの関係者でブレインストーミングして業務を洗い出してから、ロジックツリーの形式に配置すること。さまざまな視点から業務を挙げると、見落としを防げるでしょう。

アイゼンハワーマトリクス

緊急度重要度マトリクスとも呼ばれるアイゼンハワーマトリクスは、「優先順位をつける」段階で活用するフレームワークです。アイゼンハワーマトリクスでは、緊急度・重要度により以下の4つのカテゴリーに業務を分類し、優先順位を明確化します。

  • 第1の領域:緊急度・重要度とも高い
  • 第2の領域:緊急度は低いが重要度は高い
  • 第3の領域:緊急度は高いが重要度は低い
  • 第4の領域:緊急度・重要度ともに低い

アイゼンハワーマトリクスを使うと、業務ごとの優先順位が明確になるうえ、第2の領域の「緊急度は低いが重要度は高い業務」を見える化できます。企業の将来を考えると、緊急性の高い第1の領域の業務を進めつつ、第2の領域を進める時間も確保しましょう。

フィジビリティスタディ

フィジビリティスタディも「優先順位をつける」段階で活用します。アイゼンハワーマトリクスでも優先順位を確認できます。しかし、開発段階でまだ売上がない業務に対しては、フィジビリティスタディを活用しましょう。フィジビリティスタディは、主に次のポイントで業務を評価します。

  • 自社やチームの経営資源
  • 業務にかかわるノウハウや技術力
  • 市場動向
  • 採算性
  • 競合と比較したときの競争優位性
  • 想定されるリスク
  • 業務にかかる時間や取り組みを終えたい時期

上記のポイントはあくまでも一例です。企業やチームごとにフィジビリティスタディを実行するポイントを決め、調査・検証しましょう。

SMARTの法則

SMARTの法則は「目標設定をする」段階で活用します。目標が曖昧だと、適切な業務の優先順位を判断できません。SMARTの法則では次の5つの基準をもとに具体的な目標を立てます。

  • Specific(具体的で分かりやすいか)
  • Measurable(成果を測定可能か)
  • Assignable(実現見込みのある目標か)
  • Realistic(企業の方針につながる目標か)
  • Time-related(期限は決まっているか)

HIROEN(ヒロウエン)

HIROENは「業務を細かくわける」段階で活用します。HIROENは「すべての業務の進め方は、次の6つのカテゴリーのいずれかに分類される」という考えを示すフレームワークです。

  • Hear(聞く)
  • Inform(知らせる)
  • Request(伝える)
  • Operate(自分で取り組む)
  • Examine(調べる)
  • Negotiate(交渉する)

それぞれの進め方を比較して、時間と質を担保できる取り組み方を選ぶと生産性が高まります。他者の助けを借りる進め方を選ぶときは、必ず相手の状況を確認しましょう。業務にかかる時間自体は短くても、相手のスケジュールが空いているとは限りません。また、自分で取り組む進め方は、Operate(自分で取り組む)とExamine(調べる)のみです。

MECE(ミ―シー)

MECEは「モレなく、ダブりなく」を意味する造語で、「業務を細かく分ける」段階で意識したい考え方です。MECEの4つのポイントに注意すると、抜け漏れをできる限り抑えて業務を整理できます。

  • Mutually(お互いに)
  • Exclusive(重複せず)
  • Collectively(全体に)
  • Exhaustive(漏れがない)

多種多様な業務がある状況でも、一つひとつを細分化してカテゴリーにわけると、何の作業をどの程度やる必要があるかを理解しやすくなります。ただし、MECEで細かく分類しすぎると、生産性が低下する恐れもあるため注意してください。

パレートの法則(80:20の法則)

「優先順位をつける」段階では、パレートの法則を意識しましょう。パレートの法則とは「組織を構成する2割が、組織の成果の8割を生み出している」という考え方のこと。

タイムマネジメントにパレートの法則を展開すると「業務時間の2割で、成果の8割を生み出している」と解釈できます。2割に相当する優先順位の高い業務を発見するために、アイゼンハワーマトリクスの活用が有効です。また、パレートの法則を意識すると、いかにタイムマネジメントに取り組む価値があるか、優先順位が低い仕事を切り捨てると生産性を高められるかを理解できます。

QCDRS

「目標設定をする」段階では、QCDRSを活用できます。QCDRSは「成果物」に求められるものを整理するときに役立つフレームワークで、次の5つのポイントで成果物を定義します。

  1. Quality:品質レベル
  2. Cost:コスト
  3. Delivery:納期
  4. Risk:リスク
  5. Service:配慮

タイムマネジメントは生産性を高めるもの。単純に時間だけを意識すると、業務の質が下がったり、トラブルが起きたりする恐れもあります。リカバリーに時間がかかるとかえって負担が増えてしまうため、最初に成果物を定義することは非常に重要です。とくに、人から業務を依頼されたときには、しっかりQCDRSを確認しましょう。また、人に業務を依頼するときも、QCDRSを意識して伝えるとスムーズです。

タイムマネジメントの研修例

タイムマネジメントの研修は、ビジネススキル研修の一種です。新入社員研修に採用されるケースもあれば、若手・中堅社員の研修としてもオススメです。研修のカリキュラムには、主に次の内容が含まれます。

  • タイムマネジメントとは何か
  • タイムマネジメントの重要性
  • 業務の優先順位の付け方
  • 現時点でのタイムマネジメントスキルのチェック方法
  • タイムマネジメント力を高める方法
  • 生産性向上につながるコミュニケーションのコツ
  • PDCAを回してタイムマネジメントを改善する方法

タイムマネジメント研修は、オンライン集合研修でも実施できます。オンライン集合研修なら、日程調整や会場手配などの手間やコストを削減できるでしょう。研修参加者としても、時間や場所の融通が利くので研修に参加しやすくなります。

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タイムマネジメントスキルとは、限られた時間を有効活用して、個人や企業の生産性を高めるスキルです。タイムマネジメントスキルを高めるためにも、業務を漏れなく洗い出して具体化したうえで、効率よい取り組み方を探しましょう。

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