人材育成は企業経営上の重要な課題であり、そのためには社員教育が不可欠です。しかしビジネススキル、知識、心構え、メンタルヘルスなど、さまざまなテーマの研修を思いつきで実施したところで、企業が求める人材に育てることはできません。そこで社員教育をより効果的なものにするために多くの企業で導入されているのが「階層別での研修の実施」です。
本稿では、これから階層別研修を検討している担当者のために知っておくべき基本知識と効果的に実施するポイントなどを解説します。
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資料をダウンロードする階層別研修とは?
階層別研修は、経営理念・経営戦略を踏まえて計画的・系統的なOJTによる人材育成を実現するための方法で、新入社員、若手社員、中間管理職、幹部社員といった階層ごとに研修を実施します。
日本では広く普及していた職能資格制度のもとで階層別研修が行われてきた事情があり、同一労働同一賃金の職務給制度、ジョブ型雇用の導入企業が増えているなかでは、階層別で研修をする必要がないとする考え方もあるようです。
しかし、職務の線引きが難しい日本では、純然たる職務というより役割に着目した括りの方が適切であり、その意味では、より上位の役割に向けての階層別での研修実施は効率的な人材育成方法として今後も重要でしょう。
階層別研修については「階層別研修の効果を最大化するには?実施方法や体系図作成のポイントを解説」も参考にしてみてください。また、階層別研修とも関わりのある360度評価については、下記の記事を参照ください。360度評価(多面評価)とは?メリット・デメリットや導入事例などについて徹底解説します。
階層別研修の実施状況と効果
階層別研修の実施状況については、HR(人事)領域に関する調査・研究機関であるHR総研が2021年実施したアンケート調査があります。それによると実施率8割以上である新入社員研修に対し、中堅社員研修の実施率は3割程度にとどまっています。
■中堅社員研修の実施状況
出典:HR総研「人材育成(階層別研修)に関する調査 結果報告【中堅社員・管理職研修編】」
優先度の低い中堅社員研修ですが、その実施における目的は、「実務のキーマンとしての役割認識」が32%で最多となっています。次いで「職場の問題解決能力向上」が29%、「リーダーシップ/フォロワーシップスキル習得」が27%と続きます。
また、実施された中堅社員研修の形式については、オンライン講座、eラーニングが増加していることも報告されています。2020年の調査と比較すると、「集合研修」は2020年の88%から24ポイント低下している一方、「オンライン講座」は19%から18ポイント上昇、「eラーニング」は17%から10ポイント上昇しました。
■中堅社員研修の実施形式(2020年との比較)
出典:HR総研「人材育成(階層別研修)に関する調査 結果報告【中堅社員・管理職研修編】」
非対面型のオンライン研修やeラーニングの実施企業を増加しているのは、新型コロナウイルス感染症の影響が大きいことは明らかですが、研修コストが安価で済むことや、受講生にとっても通勤が不要になること、eラーニングの場合は時間や場所も選ばないことなどのメリットも背景にあると思われます。その意味で、今後もICT(情報通信技術)を活用した研修が主流になっていく可能性はあるでしょう。
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資料をダウンロードする階層別研修を効果的に実施する3つのポイント
階層別研修の実施に際して重要なポイントがいくつかあります。ここでは3つのポイントをご紹介します。
①経営理念・経営戦略を踏まえた計画的・系統的な人材育成計画を策定する
経営理念・経営戦略は、企業によって異なります。収益を最優先させるのか、社員の結束を優先させるのかなどによっても要求されるテーマは違ってきます。
また、従来型の評価制度では、新入社員から中堅社員までの階層が下位の社員については情意考課のウェイトが高く、業績考課のウェイトは低い傾向にあったものの、最近では変化しつつあります。
企業によっては、経営理念を策定しながら社員への浸透がおざなりになっているケースも少なくありません。階層別研修を実施する際は、まずこの点を徹底しておくことが必要となるでしょう。
②キャリア形成への意識を高める
階層別研修は、その社員がキャリア形成への意識を高めるものであることが重要です。それが結果的に企業の将来にわたる事業拡大につながるからです。そのためにはキャリア形成の計画を作ることを会社が支援し、階層別に期待する役割、スキルなどを明確化する必要があります。
階層別で研修を実施することによって、社員が目標に向かってステップアップできる仕組みにすることが重要になります。
③PDCAサイクルを回す
研修はやりっぱなしでは意味がありません。Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)というPDCAサイクルを回すことが不可欠です。
研修実施後は、受講者アンケートの実施・集計・分析、講師・プログラムの評価、受講生の職場での効果測定、研修目的の検証と反省事項の洗い出し、フォロー研修の検討、研修報告書の提出などをCheckとして実施します。
Actionでは、研修の報告後、プログラムの改善点や新たな改善点の検証し、研修をブラッシュアップしていきます。
階層別研修の実施方法とは?
階層別での研修実施は、前述のアンケート調査でも分かるようにさまざまな形式で実施されています。そのいくつかの実施方式の特徴について紹介します。
①集合型研修
業務を離れて受講者を会場に集め、対面式で実施します。研修会社が主催する外部研修と、研修会社などから専門家を派遣してもらう派遣型の研修があります。いずれも会場が必要であること、受講者がそこに集まることが不可欠です。そのため会場費、交通費のほか、テキストも必要となります。一方、対面の良さとして、ディスカッションやワークショップなどが可能です。
②オンライン研修
ICT(情報通信技術)であるZoom、TeamsなどのWeb会議ツールを活用し、主にパソコンを使用して遠隔で非対面で実施します。学習者が自宅で受ける場合、会場が不要であり、交通費も発生しません。テキストもダウンロードすることが可能です。
サービスによっては、ディスカッションやワークショップなどの参加型プログラムが用意されているため、非対面型のデメリットも軽減できます。
③eラーニング
eラーニングもICTを使った研修の実施形式です。研修会社が録画した動画を配信サーバーにアップロードし、受講生が都合の良い時間に視聴するというのが一般的です。時間と場所を問わず学習できる、繰り返し学習できる、学習者の学習状況を管理できるなどが大きな特徴です。
会場や交通費が不要であること、テキストがダウンロードできることはオンライン講座と同じですが、非対面型であるため、ディスカッションやワークショップなどができない点はデメリットといえるでしょう。
階層別研修の種類
一般的には、次のような内容になります。
①新入社員研修
新入社員研修に先行して、入社の前の採用内定者を対象として実施される内定者研修というものもあります。社会人としての常識・心構えや基礎知識がテーマであり、実施方法もテキストによるオンライン研修など多様です。
その後に実施される新入社員研修では、ビジネスマナー、ビジネス文書の書き方、仕事の進め方、チームワーク、コミュニケーションなどをテーマとする研修が実施されます。
②若手社員研修
一般的には、入社後3年から8年目の社員を対象としたものです。業務遂行の中心的立場であるため、説得力を高めるプレゼンテーション、問題解決力などの業務教育もさることながら、リーダーシップ、後輩指導のためのコミュニケーション能力の育成にも力点を置きます。
③マネジメント(管理職)研修
経営幹部としての役割では、意思決定のための情報収集や経営に対する提言・提案力が必要となります。組織の方向性と価値観の共有、組織の将来像、経済指標などについて研鑽することが重要になります。
階層別研修におすすめのeラーニング
階層別研修の基本知識と効果的に実施するポイントなどを解説しました。
従来は、伝統的な対面式の集合教育が主流でしたが、今後は非対面型のオンライン研修やeラーニングが取って代わる可能性もあります。階層別研修を実施する際、併せてそのメリットについても考える価値はあると思われます。効果的な階層別研修を、オンラインやeラーニングで行うなら「manebi ラーニング」がおすすめです。
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