総務研修とは?対象者や研修目的・カリキュラム例や効果を解説

  • 業務スキル研修

2024年7月12日(金)

目次

企業活動を縁の下で支える総務は、どのような会社組織にとっても欠かせない存在です。しかし総務の仕事をひと言で説明するのは難しく、人材を育てようとしても、何を教えればよいのか、どのような研修を行えばいいのか判断がつかないこともあります。

本記事では、総務研修の重要性を解説しつつ、具体的なカリキュラム例や研修によって期待できる効果などを紹介します。総務で活躍する人材を育てたいときに、ぜひ参考にしてください。

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総務研修とは

総務研修とは、総務の業務を担当するスタッフに向けて、仕事に必要な知識や仕事の進め方、マインドセットなどを身につけてもらうために行うものです。

総務研修の対象となるのは、新卒・既卒を問わず総務の業務にかかわる人です。総務の仕事は商品を作ったり売ったりするような具体性の高いものではないため、漠然とした知識しか持たない人も少なくありません。

とくに社会人経験のない新卒者にとっては、イメージがつかみづらい仕事だともいえるでしょう。

その一方で、法令や行政制度が関係する業務も多く、知識が乏しい人が業務にあたると、会社に損害を与えかねません。

実務に取りかかる前に研修で総務の全体像を把握し、業務に対する理解を深めてもらうことは、本人にとっても会社にとっても必要なことです。

総務の仕事とは?人事や庶務との違い

総務の仕事は、施設や設備の管理、備品の購入、取引先への贈答品の手配など、円滑な組織運営のために必要な事務全般です。

総務のように直接的な利益を生み出さない業務は、バックオフィスと呼ばれています。バックオフィスには、お金の出入りを管理する経理や人材管理を担当する人事、一般的な事務作業を広く担う庶務などがあります。

ただし、総務が果たす役割や業務範囲は企業ごとに異なる点に注意が必要です。規模が大きくない会社では、総務が人事や経理などのバックオフィス業務をまとめて担当することも珍しくありません。

総務の業務をこなすには、一般的な総務の知識が必要なのはもちろんのこと、企業ごとに異なる担当領域を把握し、適切に対応することが求められます。

総務研修の重要性

総務は会社という組織にとって、いわば縁の下の力持ちのような存在です。会社を円滑に運営するための人材を育てるには、目的を持って研修を実施することが大切です。総務研修の重要性や必要性について解説します。

総務業務の全体像をおさえる

総務の仕事をスムーズにこなすにはまず、総務業務の全体像を把握する必要があります。総務の仕事は、かんたんにいえば円滑な企業活動に必要な事務であるものの、実際の内容は多岐にわたります。

そのため実際に何をすればよいのか、どういった心構えが必要なのかがわからず、ピンとこない人も少なくありません。

とくに人事や庶務から総務職になったばかりの人や、新卒で総務部に配属された人にはまず、総務という仕事の概観を知ってもらう必要があります。総務の業務が何のためにあるのかを知ることは、仕事への理解度を深め、マインドセットを整えるために必要不可欠です。

研修を通じて総務の重要性を認識できれば、仕事へのモチベーションアップにもつながるでしょう。

複数の役割を理解する

総務は、ひとつの枠にとらわれない「何でも屋」のような側面も持っているため、複数の役割を担うことが珍しくありません。さらに総務の役割は会社によって大きく異なることもふまえ、研修を通じて一つひとつの業務について理解してもらう必要があります。

たとえばバックオフィスの統括として、人事部や経理部と連携して会社運営を支えることも、総務が果たす重要な役割のひとつです。

さらに取引先へ送付する挨拶状を手配したり、地域住民が参加できるイベントを企画したりなど、社外ステークホルダーと良好な関係を築くことにも総務が関係します。

このほかに、会社の規模や方針によっては、人事や経理、労務、庶務、情報システム部といった役割を兼務することもあります。総務研修では、実際の業務に即した内容をレクチャーすることが重要です。

総務研修の種類(新入社員向け・テーマ別)

総務研修の種類は、大きく分けるとふたつに分類されます。

ひとつめは、総務に関する知識や経験がない人向けの新人研修です。新卒でも中途採用でも、未経験者はまず、総務という仕事の全容や役割を理解する必要があります。

新人研修では、総務で取り扱う業務や心構え、備品の購入・管理、ビジネス文書作成方法といった基礎を学びます。

ふたつめは、より専門的な分野に絞ったテーマ別の研修です。たとえば各種資格取得に向けた講習やプライバシーマークなどの取得に向けた研修、組織マネジメントに関することなどが該当します。

総務に求められることは企業ごとに異なるだけでなく、時代の流れによっても変化していきます。企業活動を続けていくには、総務にかかわるスタッフ全員に、適切なタイミングで必要な研修を実施することが重要です。

総務研修のカリキュラム例

総務の仕事は多岐にわたることから、「研修では具体的に何を学ぶ必要があるのだろうか」と悩む人も多いのではないでしょうか。ここでは、多くの企業で共通する総務研修のカリキュラム例をご紹介します。

総務の業務内容や全体像の説明

総務業務を担当するにあたってまず大切なのは、そもそも総務とはどういった仕事を担当するポジションなのかを知ることです。そのためには研修で総務の業務内容をくわしく解説し、仕事の全体像を把握できるようにレクチャーする必要があります。

総務部は、営業部や開発部のようにひとつの業務に特化した部署ではありません。企業活動が円滑に進むよう会社全体を取りまとめることが仕事であり、組織を俯瞰して見る視点が重要です。

総務研修ではまず、実務のイメージをつかみ、総務として働く際の心構えを身につけられるカリキュラムが求められます。全体像を把握してからそれぞれの実務を経験すると、一つひとつの仕事に対する理解度も高められます。

総務の機能・企業における役割

総務研修では、総務がどういった機能を持つのか、企業においてどのような役割を果たすのかもレクチャーします。

会社組織で働く人は、どのような職種であっても、自分自身に求められている役割を理解したうえで業務にあたることが重要です。しかし総務は結果が数字にあらわれる仕事ではなく、ルーティンワークも多いことから、何のために仕事をするのかが分かりづらい一面もあります。一般的な総務の役割には、以下のものがあげられます。

  • 社内設備や備品の管理
  • 社内のスケジュール管理
  • 年間カレンダーの策定
  • 社内文書作成
  • 社内広報
  • 契約書関連の手続きや管理
  • 社外ステークホルダーの対応
  • 人事・労務・経理といったバックオフィスとの連携
  • 経営サポート
  • 情報システム(社内ネットワークやPC、IT機器、業務システムなどの対応)

研修では、こういった一つひとつの仕事がどういった役割を持つのかを理解してもらうことが大切です。

備品・消耗品管理

スタッフが使う備品や消耗品の管理は、総務の重要な仕事です。管理するものは、コピー用紙やボールペンのような文房具から、複合機、パソコン、社用車まで多岐にわたります。

備品や消耗品は仕事に欠かせないものです。たとえばコピー用紙などをうっかり切らしてしまうと、それだけで会社全体の業務が滞りかねません。

さらに備品の私物化や紛失を防いだり、イレギュラーな故障に対応したりするためにも、総務が適切に管理することが重要です。

また備品や消耗品にかかるコストは経費となるため、税務の観点からも正しく記録しておくことが求められます。経費への計上を忘れてしまうと、納税額にも影響が出てしまいかねません。

備品・消耗品管理は総務の必須業務でもあるため、研修ではその重要性や手順をレクチャーする必要があります。

配送物・郵送物管理

荷物の発送や会社に届いた郵便物の仕分けなども、総務が担う業務のひとつです。発送や受け取りの作業だけでなく、受信簿や発信簿への記録、社名入り封筒の手配、宛名リストの作成、切手の管理なども業務に含まれます。

さらに社外に向けて挨拶状や年賀状などを送付する際は、ビジネスマナーにのっとった文面の作成や印刷の手配も行わなくてはなりません。

総務研修では主に、配送物の基本的なルールや適切な配送サービスの選び方、会社に届いた郵便物や荷物の取り扱い方などをレクチャーします。

郵便や宅配には、送れるもののサイズや重さ、送ってはいけないものなどルールがあり、かつ社外の人へ発送する以上、失礼がないようにしなければなりません。

総務担当者は、先方に迷惑をかけないためにも、研修をつうじて配送物の基本的なルールとマナーを学んでおくことが大切です。

賃貸契約・施設管理

オフィスや駐車場、店舗、倉庫といった賃貸物件の管理や、スタッフが快適に働くための施設管理も総務の重要な仕事です。

  • 賃貸契約:賃貸契約とはどういった契約なのか、借りた設備をどのように管理すればよいのか
  • 施設管理:清掃業者の手配、オフィス什器の手配、空調設備や照明設備の点検、オフィスレイアウト変更などひ職場の環境を整える仕事

研修ではまず、業務を効率的に進めるためには適切な施設管理が欠かせないことをレクチャーすることになるでしょう。また、エレベーターの点検など、法令で義務づけられている設備の管理について解説することも重要です。

防災管理・衛生管理

企業の規模によっては、社内から「防災管理者」や「防火管理者」、「衛生管理者」を選任しなくてはいけません。

これらの役割は、総務の人間が務めなければならないという決まりはないものの、多くの企業では総務部が担当しています。総務研修では、各資格の職務内容や重要性、取得方法などを学習することになるでしょう。

  • 防災管理者と防火管理者:いずれも災害発生時の被害を軽減するための計画や防災管理業務を担当。対象となる災害に違いがあり、防災管理者は地震など火災以外の災害、防火管理者は火災が対象
  • 衛生管理者:職場で働く人の健康管理や健康促進などを担う。いずれも法令で決められた役職のため、適切に選任することが求められる

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契約書関連業務

事業の運営には、不動産の賃貸契約や従業員の雇用契約、業務用品のリース契約、業務上の秘密保持契約など、さまざまな契約が発生します。総務では、契約が必要な業務における契約書の作成や契約相手とのやり取り、契約締結、管理などを担当します。

また、クライアントと結ぶ取引契約は本来であれば法務部の担当です。しかし、法務部がない企業では総務部が兼任することも珍しくありません。

総務研修では、契約の基本や契約書を作成する際にチェックしておくべきこと、注意点などを学びます。契約書に不備があると、大きなトラブルにもつながりかねません。契約の本質を理解し、リテラシーを高めることは、企業のリスク管理という意味でも重要だといえるでしょう。

社内広報・各部署への連絡

社内広報や各部署への連絡も、総務の業務に含まれます。社内広報とは、社内で働くスタッフに向けて広く情報を発信することです。情報の共有や企業理念の浸透、スタッフ同士のコミュニケーション促進といった目的のために行われます。

社内広報の仕事でもっともポピュラーなのが、社内報の作成です。昨今ではWeb上で発信・閲覧ができる社内報ツールもあり、社員のパーソナリティを紹介したり、業務に関連するニュースを掲載したりすることで、職場の一体感を生み出すのにひと役買っています。

総務研修では、社内広報の基本をはじめ、社内報の作成方法や発行スケジュールの管理などをレクチャーします。

社外対応(株主・協力会社・採用など)

社外への対応も総務の重要な職務です。とくに株主総会を開催する企業では、株主総会の準備や運営が総務にとって一番大きな仕事だといっても過言ではないでしょう。

スケジュール決めや会場の選定、招集通知の印刷や発送、警備の手配、当日のシナリオづくりなど、さまざまな業務をこなさなくてはなりません。

失敗が許されないイベントでもあるため、株主総会に携わるスタッフには、より専門的な研修をとおしてレクチャーする必要があります。

また官公庁への届出やマスコミ対応、協力会社とのコミュニケーションなども総務の業務に含まれます。研修では、さまざまなケースを想定した社外対応を解説し、適切な対応について理解してもらうことが重要です。

ビジネス文書や電話応対・来客対応

ビジネス文書の作成や電話応対、来客対応などは、総務にとって日常的な業務です。ビジネス文書には社外文書と社内文書があり、総務は一般的に両方を取り扱います。

総務で扱うビジネス文書は種類が多く、取引先への挨拶状やお祝い状のように、直接業務とはかかわりのない文書を作る機会も少なくありません。

研修では、ビジネス文書の種類や基本的な作成方法などを解説し、状況や相手にあわせた文書を作成するスキルを身につけてもらうことが大切です。

また、電話応対や来客対応で失礼のないように振る舞うには、敬語の使い分けやお茶出しなど、基本的なビジネスマナーを学ばなくてはなりません。研修を通して、総務は会社の顔でもあることを認識してもらう必要があります。

個人情報・システム管理

個人情報管理や社内で運用するシステムの管理は、もはや総務研修の必須事項だといえるでしょう。たとえ大きな実害がなかったとしても、個人情報の流出は、企業イメージを大きく損ねるもの。

総務研修では、個人情報の定義や個人情報保護法のあらまし、個人情報流出の前例や対策などをレクチャーする必要があります。

くわえて社内システムを適切に管理することは、個人情報だけでなく、あらゆるデータの流出を防ぐこととも深く関係しています。規模の大きくない会社では、総務が情シスを兼任することも珍しくありません。

こういったケースでは、コンピューターの性能やネットワーク、システム開発に関する基礎知識といったITに関する研修が必要になってきます。

統制業務・リスクマネジメント

総務を担当するスタッフには、研修を通じて内部統制やリスクマネジメントに関する意識を持ってもらうことも重要です。とくに内部統制システムの構築が義務づけられている企業では、必須のカリキュラムだといえるでしょう。

内部統制とは、会社を健全に運営していくための仕組みのこと企業にとって不祥事と呼ばれるようなミスや不正を防ぐためには、適切なルールを設けることやルールを遵守する風土を醸成することが大切です。

また、リスクマネジメントとは発生しうるリスクを想定し、被害を抑えるための対策を立てることです。内部統制とは似て非なるものですが、共通している部分や内包する部分もあるため、両方をあわせて学ぶ必要があります。

労務・福利厚生

労務とは、企業が人を雇ううえで必要な業務全般のこと。

給与計算や社会保険の手続き、勤怠や有給休暇の管理、就業規則の作成、さらに労働時間の管理やメンタルヘルスケア、ワークライフバランスの実現なども労務の業務に含まれます。弔事休暇の付与や各種手当ての支給といった福利厚生の管理も、労務の一環だといえます。

労務は企業の規模にかかわらず発生する仕事です。研修では労働基準法や労働安全衛生法といった法令に関するレクチャーをはじめ、働きやすい環境づくり、ハラスメントへの対応など、多岐にわたることを学ぶ必要があります。

管理職になればコンプライアンスや人権保護といった内容も含まれるため、より専門的な研修が必要となってくるでしょう。

その他・法令知識

総務の仕事は企業によって担当範囲が異なることから、実務に即した研修をおこなうことが重要です。

たとえば秘書も兼務するのであれば、身だしなみや接遇スキル、贈答品のマナーなどを学ばなくてはなりません。人材採用も担当するのであれば、面接や人材教育に関する研修が必要です。

健全な会社運営を支えるには、会社の事業や業務に関する法令知識についての研修も取り入れるとよいでしょう。総務の業務とかかわりが深い法令は、個人情報保護法や労働基準法、著作権法や下請法などです。

法律は改正されることも多いため、知識をアップデートしていくための研修も重要な意味を持ちます。

総務研修に参加するメリット

総務の仕事は幅が広く、こまごまとした事務も多いことから「実務に取り組みながら覚えた方が早い」と考える人もいるかもしれません。しかし、会社の戦力となる総務スタッフを育てるには、研修を取り入れることをオススメします。

総務研修に参加するメリットについて解説します。

総務業務を体系的に学べる

多岐にわたる総務業務の全体像を把握し、体系的に学べることは、研修がもたらす大きなメリットです。日常的な業務で経験するだけでは、業務間のつながりを認識しづらく、ただ指示された作業をこなすだけになりかねません。

一例として法令に関する知識を身につければ、労務や法務、税務といったバックオフィス関連の業務を連携させて理解するために役立ちます。さらに、法令のポイントを押さえておくだけで、官公庁とのやり取りがスムーズに進む場合もあります。

得意・不得意な分野を見つけられる

総務は担当する業務が広いため、研修で幅広い仕事にまんべんなく関わることで、得意なことや苦手なことが明確になることもメリットです。得意なことを伸ばすにしても、苦手なことを克服するにしても、まずは個人の特性を見極めることが大切なのはいうまでもありません。

とくに新卒者や若年層の中途採用者を育てるには、研修をとおして個性を把握し、そのうえで適切なポジションや実務を経験してもらうことが重要です。個人の得手不得手を知ることは、将来的なスキルアップやキャリアアップの参考にもなります。

総務に必要なスキルを習得できる

研修をおこなうことで、実務に入る前に実践的なスキルを習得できます。たとえばビジネス文書の作成方法や電話応対のマナー、コミュニケーションスキルといった基礎的なものから、株主対応や法令文書の作成まで、個人のレベルにあわせたスキルアップが可能です。

さらに研修は、実務を通して身につけた知識やスキルを整理するきっかけにもなります。何となくこなしていた作業を研修で学び直し、業務への理解を深めることは、個人にとっても会社にとっても大きな意味があります。

会社の顔となる総務部のスキルを底上げしよう

総務は会社の顔であり、縁の下の力持ちでもあります。どのような企業も、総務なしで組織を成り立たせることはできません。総務スタッフのスキルアップは、直接的な利益を生み出すわけではないものの、会社全体の底上げにつながります。

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