少子高齢化により労働人口が減少しているなか、人材の定着を図るひとつの方法として職場のメンタルヘルス対策が重要視されています。職場のメンタルヘルス対策としてラインケアを考えている人事担当者や責任者の方も多いのではないでしょうか。ラインケアを職場に定着させるにはラインケア研修が有効です。
本記事では、ラインケア研修の基礎知識から、ラインケア研修で期待できる効果、ラインケア研修で学べるカリキュラム、ラインケア研修を効果的に行う方法などまでを解説していきます。ぜひ参考にしてください。
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資料をダウンロードするラインケア研修の概要
ラインケアは、職場のライン上に位置する管理監督者が部下の様子に気づいてメンタルヘルス対策やケアを行うことで、ラインケア研修は、ラインケアの知識や技術を習得するために行われる研修を指します。
まずはラインケア研修の概要として安全配慮義務との関係性、目的や対象者などについて確認しましょう。
ラインケア研修と安全配慮義務
ラインケア研修の実施に法的義務はないものの、企業に求められている安全配慮義務を果たすためには必要です。安全配慮義務とは社員(従業員)が身体の安全を確保しつつ、健康に働けるよう企業が配慮するべき義務を指します。業務中の事故を防ぐことにくわえて、心身の健康を守るのも安全配慮義務のひとつです。
社員(従業員)の心身の健康を守るには、就業場所の変更や作業の転換措置などが必要なケースもあるでしょう。そのためには、社員(従業員)の心身の不調を見分ける必要があります。社員(従業員)に対する心身の不調を見抜き、早期対策を講じるにはラインケア研修が効果的です。ラインケア研修は、社員(従業員)の心身の健康を守り、安全配慮義務を果たすための方法といえます。
ラインケア研修の特徴・目的
ラインケア研修は管理監督者を中心に、メンタルヘルスに対する知識を学ぶ研修です。管理監督者がラインケアに必要な知識を身につけ、メンタル不調が見られる部下に対して重症化する前に必要な対策を行うことを目的としています。ラインケア研修は職場環境を整え、部下の心の健康を守るために必要です。部下が心身ともに健康で働ければ、エンゲージメントや満足度、生産性の向上にもつながるでしょう。
ただし部下の変化に気づけず、間違ったコミュニケーションの取り方をしてしまうと安定したメンタルは維持できません。ラインケア研修で部下の変化や不調に対する気づき方やコミュニケーション方法を学び、部署ごとにメンタル管理ができる状態を目指します。
ラインケア研修の対象者
ラインケア研修の主な対象者は、管理監督者としての権限を委譲される部長や課長などの管理職です。部下の評価や指示を行う立場の社員全員です。管理監督者には、業務をスムーズに遂行するための指揮を行うと同時に、部下の健康を配慮する役割が必要といえます。メンタルヘルス対策を充実・改善させるためには、リーダー候補となる社員まで範囲を広げて研修を実施すると、より効果を高められるでしょう。
ラインケア研修の実施で期待できる4つの効果
ラインケア研修の実施で期待できる効果は以下のとおりです。
- 社員の不調を早期発見し対処できる
- 管理者自身の心の健康につながる
- 社員の離職や休職の対策につながる
- 人間関係の改善と業務効率化につながる
社員の不調を早期発見し対処ができる
ラインケア研修では社員の変化や違和感に気づく方法を学ぶため、メンタルの不調を早期に発見して対処可能です。メンタルの不調は、早い段階で発見して対処できるほど、快復までの期間が早まります。
管理者自身の心の健康につながる
管理者が自身の心の健康につなげられるのもラインケア研修で得られる効果のひとつ。管理者として慣れないうちは部下のメンタルの不調に気づき、必要な対策を講じるのはむずかしいでしょう。結果的に管理者自身に大きなストレスがかかってしまうことも考えられます。管理者がメンタルヘルスに不調をきたすと組織のメンタルヘルス対策を進められません。
管理者自身が精神状態の変化に気づいて適切なケアをすることで心の健康が保たれ、組織のメンタルヘルス対策を安定して進められるようになるのです。
社員の離職や休職の対策につながる
ラインケア研修では、メンタルの不調による社員の休職や離職を防ぐ方法も学べます。部下のメンタルの不調に気づけず、適切な対応ができなければ重篤な精神疾患を招いてしまうかもしれません。メンタルの不調が続くと療養のために休職が必要になるでしょう。また、休職中の社員ができない業務をほかの社員が代わりに行うことになるかもしれません。社員の業務負担が増えることで離職につながる可能性も考えられます。
優秀な人材を長期的に確保し、企業として利益を出し続けていくためにもラインケア研修は重要です。
人間関係の改善と業務効率化につながる
ラインケア研修では、メンタルの不調を防ぐための職場環境作りの方法も学びます。良好な職場環境はコミュニケーションで決まるといっても過言ではありません。相手の目を見て、笑顔で元気よく挨拶するだけでも印象は大きく変化し、良好な人間関係を作るきっかけになります。
人間関係を改善できれば社員の心理的安全性が高くなり、コミュニケーションも活発化して安定したメンタルを保ちやすくなるでしょう。メンタルが安定していれば、継続して高いパフォーマンスを発揮できるようになります。そのため、メンタルヘルス対策による人間関係・職場環境の改善は生産性を高め、業務効率化につながる重要な方法なのです。
ラインケア研修で学べる5つの内容・カリキュラム
ラインケア研修では、主に以下のカリキュラムが実施されます。
- メンタルヘルスの基礎知識
- 部下からの相談に対応する方法
- 部下のストレス・メンタルの不調に気づく方法
- ハラスメントに関する知識
- メンタル不調の休職者を支援する方法
メンタルヘルスの基礎知識
ラインケア研修は、管理者としてラインケアを行うために必要な基礎知識から学びます。カリキュラムの主な内容は以下のとおりです。
- ラインケアの定義
- 職場のメンタルヘルス対策
- 労災の知識と事例
- 社員のストレス状況を把握する手段
- 衛生委員会の役割・知識
- 産業医の存在・役割・活用方法
上記のほかにも厚生労働省が『職場における心の健康づくり』で提唱している「4つのメンタルヘルスケア」の内容も学びます。(※)
部下からの相談に対応する方法
ラインケア研修では、部下からの相談に対応する方法も学べます。部下から仕事や人間関係の悩みなど相談を受けた場合、上司として適切な対応が必要だからです。部下から相談を受けたら、まずは部下の話に耳を傾ける必要があります。自身の経験や慣習から価値観を押しつけてはいけません。
部下の話を傾聴して「どうしてほしいのか」を見極め、寄り添って話を進めていく必要があります。また、部下が相談しづらい環境ではメンタルの安定に結びつきません。相談しやすい環境作りや、人間関係の築き方もラインケア研修のカリキュラムのひとつです。
部下のストレス・メンタルの不調に気づく方法
ラインケアでは管理者が部下のメンタル不調に気づいて対策することが求められます。たとえ部下から相談されていなくても、いつもと違う言動に気がつかなければなりません。メンタルの不調やストレス状況に気づく方法もラインケア研修で学びます。なお、部下のメンタル不調の主な兆候は以下のとおりです。
- 話をする際に目が合わなくなった
- 声のトーンが変わった
- 考え事をしているようなしぐさが増えた
- 服装が乱れ始めた
- ミスが増え始めた
- ストレスチェック数値の変化
上記のようなストレスやメンタルの不調に見られる兆候を学び、社員の不調を察知するスキルを身につけられます。
ハラスメントに関する知識
職場におけるハラスメント対策は、社員(従業員)のメンタルヘルス不調を防ぐためにも重要とされています。アドバイスを与えたつもりが反対に「ハラスメントを受けた」と認識されてしまうのも問題です。
2022年に改正労働施策総合推進法(パワハラ防止法)が改正され、企業の規模にかかわらず、ハラスメント対策が義務化されました。対策が義務化されたハラスメントは以下の3種類です。
ハラスメントの名称 | 概要 |
パワーハラスメント | 立場を利用して適正範囲を超えた嫌がらせなどを行う行為 |
セクシャルハラスメント | 社員を不快にさせる性的な言動や行動 |
マタニティハラスメント | 妊娠・出産・育児を理由に不当な扱いをする行為 |
参考:厚生労働省|労働施策総合推進法の改正(パワハラ防止対策義務化)について
ハラスメントを恐れるあまり社員とかかわりをもてず、教育が進まなくなってしまうことも考えられます。そのためラインケア研修で適切に社員を指導する方法を学ぶことが大切です。
メンタル不調の休職者を支援する方法
メンタルの不調で社員が休業になってしまった場合、休職から復帰まで支援することは管理監督者の重要な役割です。ラインケア研修では、休業から復帰までの支援についても学べます。なお、厚生労働省では、職場復帰支援の流れを紹介しています。
【第1ステップ】病気休業の開始及び休業中のケア
引用:職場のあんぜんサイト:職場復帰支援[安全衛生キーワード
【第2ステップ】主治医並びに産業医による職場復帰の可否判断
【第3ステップ】職場復帰の可否判断及び職場復帰支援プランの作成
【第4ステップ】最終的な職場復帰の決定
【第5ステップ】職場復帰後のフォローアップ
復帰してすぐに休職前と同じ量の業務を行うことは難しいでしょう。管理者として部下の仕事量を調整することが大切です。そのほか、ラインケア研修では部下の健康状態における個人情報の取り扱い方も学びます。
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資料をダウンロードするラインケア研修を行う3つの手段・方法
ラインケア研修の主な手段・方法は以下のとおりです。
- 集合研修
- オンライン研修
- eラーニング
ここでは、ラインケア研修を行う3つの方法・手段について解説していきます。それぞれのメリット・デメリットを把握し、自社の目的にあった研修方法を見つけてください。
集合研修
集合研修は、ひとつの場所に社員を集めて講義を受ける研修方法です。集合研修には、以下のメリットやデメリットがあります。
メリット | デメリット |
・講師や受講者同士のつながりが持てる・講師に直接質問できる・アウトプットの機会を提供しやすい | ・場所の確保や講師の手配が必要・移動に時間や費用がかかる・研修準備に手間がかかる |
集合研修の大きなメリットは講師や受講者同士のつながりが持てること。ほかの受講生とディスカッションを交えたり、疑問点を直接質問できたりなどメリハリのある研修を実現できます。
一方で研修を実施する側は場所の確保や講師の手配などが必要です。受講者側は会場までの移動に時間や費用が必要になります。研修資料の作成や会場整備など研修準備にも手間がかかるでしょう。
オンライン研修
オンライン研修は、ZoomやSkypeなどのWeb会議システムを利用して行う研修方法です。パソコンやスマートフォン、タブレットなどで受講できるので手軽に研修を実施できます。
オンライン研修の主なメリットとデメリットは以下のとおりです。
メリット | デメリット |
・時間や場所の制限がない・研修のクオリティを合わせられる・研修準備に手間や労力がかからない | ・システム環境の整備が必要・コミュニケーションがとりにくい・受け身の研修になりやすい |
オンライン研修は、時間と場所の制限なく実施できる点が大きなメリットでしょう。研修のための交通費や宿泊費、会場費用などがかからないため、研修にかかるコストを抑えられます。
オンライン研修では受講者が同じタイミングで同じ教材を使用して講義を受けるため、研修のクオリティを合わせられるのもメリットです。また、研修に必要な教材は受講者に一斉配布できるため準備にかかる手間や労力を削減できます。
オンライン研修のデメリットは、コミュニケーションがとりにくいこと。オンラインでの講義が単調になってしまうことで受け身の研修になりやすいでしょう。受講者が集中できるようなカリキュラムの工夫が必要です。
eラーニング
eラーニングでは、クラウドやシステム上に用意されたコンテンツをインターネット環境を利用して学習できます。オンライン研修と同じく、パソコンやスマートフォンなどで、時間や場所を問わずいつでも学習できる方法です。
メリット | デメリット |
・時間と場所の制限がない・最新の教材を提供できる・学習の進捗を一括管理できる | ・学習に差が出やすい・実技の習得がむずかしい・インターネット環境が必要 |
eラーニングもオンライン研修と同じように時間や場所に関係なく学べる点がメリット。教材の改変もかんたんにできるため、最新の教材の提供が可能です。学習の進捗状況をプログラム上で一括管理できることも魅力といえます。
一方、受講者の時間に合わせて行えるため、学習に差が出やすいことが考えられます。オンライン研修とeラーニングを組み合わせたブレンディッドラーニングを行えば、学習効果を高められるでしょう。
ラインケア研修を効果的に行うならmanebi eラーニングの活用がおすすめ
社員が健康で働ける環境を整えることは、安全配慮義務によって企業に定められています。ラインケア研修は、安全配慮義務を果たすために必要な方法のひとつです。管理者が部下のいつもと違う様子に気づいていち早く対策を行うためにラインケアが求められています。ラインケアを習得する方法としてラインケア研修が有効です。
場所や時間に関係なくラインケア研修を実現するならオンライン研修を検討してみてはいかがでしょうか。隙間時間を活用して学習できるeラーニングと組み合わせれば、さらに効果を高められます。「manebi eラーニング」なら、ラインケアの習得につながるメンタルヘルス対策に関するコンテンツを始めとした5,000件のコンテンツを利用できるうえ、オンライン研修と合わせたブレンディッドラーニングも可能です。
詳しい内容は「サービス資料・教材一覧ダウンロード」ページよりご覧ください。
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