相手との関係性にかかわらず会話を展開する雑談力。コミュニケーションを円滑にし、信頼関係を構築するために重要なスキルといわれています。社員に雑談力を身につけてもらいたいと思いつつも、ビジネスシーンでの具体的なメリットや鍛え方がわからず、なかなか一歩が踏み出せない担当者も多いのではないでしょうか。
本記事では、雑談力の定義やビジネスに与えるメリット、雑談力が高い社員・低い社員の特徴などを解説しています。雑談に使えるネタや雑談力を向上させる方法もまとめているので、雑談力についてより深く知りたいと考えている方はぜひ参考にしてください。
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雑談力とは相手との親しさにかかわらず何気ない会話(雑談)をし、相手との距離を縮めたり人間関係を良好にしたりするスキルを指します。雑談力はビジネスシーンにおいても重要と考えられているスキルです。たとえば、関係の浅い顧客とは雑談が会話の糸口になり、スムーズに商談を始めるきっかけになります。
また、互いによく知らない社内のメンバーなら、雑談をとおして距離が縮まり、信頼関係の構築やチームビルディングの足がかりになるでしょう。近年はテレワークやオンライン会議の機会が増えたことで、コミュニケーションの希薄化が問題視されています。これまで以上に雑談力の重要度が高まっているといえるでしょう。
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雑談力がビジネスに与える3つのメリット
ビジネスシーンにおける雑談力の具体的なメリットは以下の3点です。
- 営業・商談を有利に進められる
- アイスブレイクに使える
- 風通しのよい職場づくりにつながる
営業・商談を有利に進められる
雑談力を身につけると、営業や商談を有利に進められる可能性が高まります。商談相手と適度な距離感で話すことができ、信頼度が向上するからです。
突然、商品・サービスの説明をされても、すぐに受け入れる人は少ないでしょう。相手との距離感を埋める際に役立つのが雑談です。雑談によって共通点が見つかったり、会話が盛り上がったりすれば、本題に関連する糸口が見つかりやすくなります。優秀なビジネスパーソンの多くは雑談力を身につけており、さまざまなシーンで相手との関係構築に活用しているのです。
アイスブレイクに使える
雑談はアイスブレイクにも活用できます。雑談による何気ない会話は、沈黙のプレッシャーを取り除き、場の空気を和ませて相手を安心させる効果もあるからです。たとえば、会議で雑談を取り入れるとリラックスした雰囲気になり、発言が増えたり、会議の結論や決定に対して納得感を得られやすくなったりするでしょう。
雑談力は交渉や商談などの直接的な成果につながるわけではないものの、社内外を問わず相手に安心感や信頼感を与え、その後の会話を有利に進める効果があります。
風通しのよい職場づくりにつながる
雑談力は風通しのよい職場づくりにも役立ちます。雑談により社員の心理的安全性を高める効果があるからです。たとえば、職場での雑談は、仕事以外のかかわりや互いを知る機会が増えるため、相手への関心や共感を示しやすくなります。互いを理解し合えば、会議や話し合いでも新たなアイデアを出しやすく、組織・チームの活性化につながるでしょう。
雑談力が活気を生み出し、社員の働きやすさやモチベーションにポジティブな影響を与えるため、結果的にエンゲージメントの高い働き方が実現できるのです。
雑談力が高い社員4つの特徴
雑談力が高い社員には、以下4つの特徴があります。
- 話し上手
- 聞き上手
- 知的好奇心が強く情報収集が得意
- 自分の弱みを相手に見せるのが上手
話し上手
自分から積極的に日常会話や時事ネタなどを振り、沈黙が長引かないよう働きかけるため、雑談力が高い社員は話し上手な傾向にあります。
相手が興味を持ちそうな話題を探したり、共通の話題を見つけたりするのもうまく、相手が気を許しやすい雰囲気を作り出します。一方的に話し続けるだけでなく、場の雰囲気を読み取りながら質問を投げかけることもできるため、相手も安心して話せるでしょう。
単に話題が豊富で話し方がうまいのではなく、その場や相手の状況に配慮しながら臨機応変に立ち回れる点がポイントです。
聞き上手
雑談力の高い社員は、話し上手であることにくわえ、聞き上手でもあります。相手の話に関心を示し、最後まで真剣に聞けるため、相手は「自分の意見を尊重してくれている」「大切に扱ってくれている」と感じるのです。
ただ相手の話を聞くだけではなく、話しているときの表情や声のトーンなどから相手の感情を推測できるため、その場その場で適切に反応していけます。相手はこのような態度に好印象や安心感を抱き、自分から進んでさまざまな話をしてくれるようになるでしょう。結果的により多くの情報を得られます。
知的好奇心が強く情報収集が得意
雑談力が高い社員は、知的好奇心が強く情報収集が得意な傾向にあります。知的好奇心とは、さまざまな物事に興味・関心を示し、より深く知りたいという欲求や気持ちです。
知的好奇心が強い人は、日頃から習慣的に幅広く情報収集しているため、雑談のネタに困ることはほとんどありません。また、自分が知らない話題にも興味を示して積極的に質問するため、相手は質問者の姿勢に好感を抱き、より気持ちよく話せるでしょう。
話し上手・聞き上手であることの根底には、このような知的好奇心が影響しているケースが少なくありません。
自分の弱みを相手に見せるのが上手
雑談力が高い社員は、自分の弱みを相手に見せるのが上手な傾向にあります。前述の知的好奇心も相まって、自分が知らないことを恥じるのではなく、素直に教えてほしいと伝えられるためです。
雑談力が高い人は、適度に自分の弱みを見せることで必然的に相手が話す機会を作り出し、なおかつ真剣に相手の話を聞こうとするため、相手との会話が弾みやすいでしょう。雑談力の高い社員は相手の話から新しいことを学び、また別の場面での雑談に生かしています。
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雑談力がない社員2つの特徴
雑談力がない社員によくある特徴は以下の2つです。
- 自分の話ばかりをしてしまう
- 会話のネタが思いつかない
自分の話ばかりをしてしまう
雑談力がない社員は、つい自分の話ばかりをしてしまいがちです。自分のことを少しでもよく見せようと考えたり、沈黙に耐えられなかったりなど、自分主体で考える傾向にあるためです。
雑談力は、共通の話題で盛り上がったり、相手の話を興味深く聞いたりすることで効果を発揮します。そのため、自分ばかりが一方的に話している状態では相手とコミュニケーションが取れず、雑談の効果はなかなか実感できません。とくに、ビジネスシーンでは、相手の興味やお互いに関心が持てる話題で会話をすることや、相手の主張や意見に耳を傾けることが重要です。
会話のネタが思いつかない
雑談力がない社員は会話のネタが乏しいのも特徴で、これには以下のようなさまざまな原因が考えられます。
- 興味がある分野以外のことを知ろうとしていない
- 普段から人と会話する機会が少なく、何を話せばよいのかわからない
- そもそも人とコミュニケーションを取ることが苦手
なかには仕事に直接的に関係のない話には意味がない、または生産性がないと考えている人もいるかもしれません。初対面なのか中長期的な関係かをとわず、雑談で相手と距離を縮めたり、話しやすい関係を構築したりすることは、さまざまなシーンでプラスに働く重要な要素といえるでしょう。
雑談力につながる話題・会話のネタ3選
雑談力を身につけるには、相手に共感を与えられる会話のネタを知っておくこともポイントです。そこで、雑談につなげられる会話のネタを紹介します。
季節や天気の情報
季節や天気の話題は誰でも共感できるため、会話の糸口にしやすいネタといえます。ただし、季節や天気の話題は、会話の中身が薄いため一言二言で会話が途切れがちです。以下のように季節や天気に関連づけて話題を広げてみるとよいでしょう。
- 「最近は段々と寒くなってきましたね。体調は大丈夫ですか?」
- 「昨日は大雨でしたね。お仕事に影響は出ませんでしたか?」
季節や天気の話題は切り出しやすいメリットがある一方、相手との距離を縮めたり本題に移行しづらかったりする場合もあります。会話のテーマを相手に向けることで、相手が話しやすい雰囲気を作れるでしょう。
地域の情報
自分や相手の出身地や最近行った場所など、地域の情報も雑談に適しています。地域の情報は、自身や相手のパーソナリティーに触れやすく、共通点を見つけて会話が盛り上がりやすいです。
「先週、出張で地元の北海道に行っていました。◯◯さんのご出身はどちらですか?」
「この辺りは初めて来ました。おいしいラーメン屋さんとかありますか?」
雑談をとおして、互いの出身地や出身校が同じであることがわかり、一気に心理的距離が縮まった経験がある人も多いでしょう。地域の情報は、互いのことを知りつつ会話が弾む可能性もあるため、積極的に活用したい話題です。
相手への気づき
雑談力が高い人は、相手の様子や変化に対する気づきを話題として取り上げるのが得意です。些細な変化に気づくことはその人に対する興味・関心の表れ。その変化を褒められることを嬉しく感じる人も多いからです。
- 「髪型を変えられましたか?とてもよくお似合いですね。」
- 「いつもおしゃれですね。オススメのショップはありますか?」
髪型やファッション、眼鏡などの小物類の変化は話題にしやすい内容です。相手を褒めつつ、質問を投げかけることで親近感や信頼関係の構築につながります。お世辞をいったり過度な表現を用いたりするのはかえって逆効果です。しかし、日頃から相手に興味を持ってよく観察する姿勢は重要といえます。雑談力の向上につながることを理解しておきましょう。
ビジネスに役立つ雑談力の鍛え方5つのポイント
ビジネスシーンで役立つ雑談力の鍛え方・ポイントは以下の5つです。
- 雑談のタイミングを身につける
- 話題を見つける
- 場の雰囲気をつくる
- 会話を広げる
- 会話を切り替える
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資料をダウンロードする雑談のタイミングを身につける
雑談が苦手な場合、まずは雑談のタイミングを身につけるのがオススメです。たとえば、「お世話になっております。最近すっかり暑くなりましたが、体調は崩されていませんか?」といったように、挨拶をした流れでそのまま雑談を開始する方法がよく用いられます。
一方で、雑談を終わらせるタイミングが掴めないという人もいるでしょう。この場合は以下のように会話を切り替えるフレーズを用意しておくと便利です。
- 「では、今日の本題ですが……」
- 「それでは、本題に移らせていただきますね」
このように雑談の始め方・終わり方を決めておくだけでも雑談力の向上につながります。なお、雑談はある種の緩さや遊びが大切なため、会話の区切りをつけるために結論を求めすぎないよう注意しましょう。
話題を見つける
「話す話題が見つからず雑談が苦手」という人も多いでしょう。このような場合は会話の糸口となる話題の頭文字を取った造語である「木戸に立ちかけし衣食住」が役立ちます。それぞれ以下のような意味があるのです。
- き:気候・天気
- ど:道楽(趣味・関心事)
- に:ニュース
- た:旅・旅行
- ち:知人・友人
- か:家族
- け:健康
- し:仕事
- 衣:ファッション
- 食:グルメ
- 住:住まい・出身地
相手との関係性によって出せる話題や盛り上がる話題は異なるものの、相手が興味を持っていそうな話題、興味を持っているとわかっている話題を用意しておくことが大切です。一方、人によって大きく意見がわかれる以下のような話題は、雑談で触れないようにしてください。
- 政治
- 宗教
- 事件・事故などの暗い話題
- 相手の話を否定する話題
場の雰囲気をつくる
雑談力を鍛えるには、相手が話しやすい場の雰囲気をつくる練習も重要です。具体的には、自分の立ち位置を相手よりも少し下に置き、相手の存在を認め、尊重しているという姿勢を示すことです。これを実現する返し言葉として受け方としての「さ・し・す・せ・そ」が有効といわれています。
- さ:さすがですね
- し:知りませんでした
- す:すごいですね
- せ:センスがいいですね
- そ:尊敬しています
「褒められると嬉しい」というのは多くの人に共通する感情であり、自分のことを肯定してくれていると感じる相手に心を開く傾向にあります。あわせて、相手の意見や主張に共感を示すことも話しやすい雰囲気づくりに有効です。
会話を広げる
雑談がなかなか続かない場合は、会話が一問一答形式になっていたり、質問の仕方がクローズドクエスチョンになっていたりするケースがほとんどです。
- クローズドクエスチョン:回答の範囲を限定して選ばせる質問方法。「今日はいい天気ですね」や「AとBではどちらが好きですか?」など
- オープンクエスチョン:回答の範囲を制限しない質問方法。会話を広げたいときはこちらが有効。たとえば、「この連休はどこに行きましたか?」や「どう思いますか?」など
オープンクエスチョンにすると回答方法や範囲が広がるため、必然的に話題や情報が増え、会話も広がるでしょう。
会話を切り替える
雑談力を高めるには、会話を切り替える方法を身につけておくのも効果的です。相手がよく話す人だった場合、こちらが興味を持てない話題や知見がない話題が続くと、共感できず距離が縮まらないからです。また、なかなか雑談が終わらず本題に入れないケースもあるでしょう。
このような場合、ちょっとした話の切れ間で、「そういえば」や「ところで」といった切り替えの言葉を入れることで、相手に不快感を与えずスムーズに話題を変えられます。会話が途切れて沈黙してしまったときにも役立つため、困ったときに使えるよう覚えておくと便利です。
雑談力を高めてコミュニケーションにつなげよう
相手との距離を縮め、信頼関係のベースを築くうえで大いに役立つ雑談力。営業・商談などを有利に進められたり、風通しのよい職場環境づくりができたりなど、活用できるシーンは多岐にわたります。
雑談力は複数の特徴を合わせ持った概念です。鍛えるには雑談するタイミングや話題の見つけ方、会話の広げ方などを学び、トレーニングする必要があります。効率的・効果的に雑談力を高める方法としてオンライン研修がオススメです。
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