時代や消費者ニーズの変化により、ビジネスにはその場に応じた正確な意思決定・判断が求められます。時代の変化に翻弄されないためにも、組織でクリティカルシンキングを強化することが大切です。この記事では、クリティカルシンキングの意味や組織で強化を図るメリット、実践ワークなどをわかりやすく解説します。ぜひ参考にしてください。
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資料をダウンロードするクリティカルシンキングの意味とは?
クリティカルシンキングとは、批判的な視点から物事を捉え、本質を見極めて正確な判断を下すことで、「批判的思考」と訳される思考法です。あえて批判的に物事を見てはいるものの、自分の癖や偏見であら探しをしてはクリティカルシンキングとはいいません。
クリティカルシンキングについては「クリティカルシンキングとは?意味や組織で活用するメリットなどを解説」も参考にしてください。
クリティカルシンキングとラテラルシンキング・ロジカルシンキングとの違いとは
クリティカルシンキングと一緒にされがちな思考法に、ラテラルシンキングとロジカルシンキングがあります。それぞれの言葉について、クリティカルシンキングとの意味の違いを解説しましょう。
ラテラルシンキングとの違い
ラテラルシンキングとは、ひとつの物事をあらゆる角度から考えて、新たな発想を生み出すための思考法です。クリティカルシンキングは、ラテラルシンキングと違い「疑う」ことが起点となっています。
ロジカルシンキングとの違い
ロジカルシンキングとは、物事の原因と結果のつながりを意識しながら考えを整理する論理的思考法のこと。ロジカルシンキングはクリティカルシンキングと異なり、疑わずに思考します。
ロジカルシンキングについては、下記も参考にしてください。
組織でクリティカルシンキングを強化するメリット
組織全体でクリティカルシンキングの強化を図るメリットを解説します。組織全体にクリティカルシンキングが根づくと正確な意思決定・判断ができ、新しいアイデアの創出などにもつながります。
物事の本質にもとづいて正確に判断できる
クリティカルシンキングを用いれば主観的な判断ではなく、本質や事実にもとづいた正確な判断が可能です。
たとえば「ある市場は拡大傾向にあり、新規事業として参入すると成功できる確率が高いのではないか」という議題があったとしましょう。クリティカルシンキングでは「本当に市場は拡大しているのか?」「実際どのくらい伸びているのかを数値化するとどうか?」など複数の観点から具体的に事実をとらえます。
組織にとって好機と感じられる状況でも、思い込みが先行すると正確な判断が妨げられるかもしれません。批判的な姿勢で物事を見ると、事実をもとに正確な意思決定ができます。
新しいアイデアが生まれるきっかけになる
クリティカルシンキングは批判的に物事をとらえる姿勢で思考していくため、新しいアイデアが生まれるきっかけにもなります。前提条件までも批判的に見るため、固定概念を取り払った思い切った考えに至るためです。
また、思いつきのアイデアを仮説検証しないまま実行しても、大きな損失が発生しかねません。「このアイデアに欠点はないか?」「アイデアの欠点をカバーする方法は、本当にないのか?」と視野を広くして考えると、アイデアの質を高められます。企業としてより発展していくために、クリティカルシンキングは欠かせない思考法のひとつです。
社内でのコミュニケーションがスムーズになりやすい
スムーズなコミュニケーションができるのも、クリティカルシンキングのメリット。
クリティカルシンキングは、事実をベースに議論を展開していくため、社員同士が感情的・主観的にならずに冷静に話し合いを進められます。スムーズにコミュニケーションをとれると、意思決定のスピードが上がりビジネスで優位に立てるのです。
なお、クリティカルシンキングで感情的になってしまう場合、言い方に悪意があったり、主観的な意見が混じっていたりする恐れもあります。クリティカルシンキングができているか、議論を見直したほうがよいでしょう。
部下の育成にも役立つ
1on1といった場面で部下とミーティングする場合も、クリティカルシンキングを活用できます。たとえば部下が「前回のプレゼンがうまくいかなかった理由は、作成した資料に問題があったためである」と発言したとしましょう。
「プレゼンが失敗した理由は、本当に資料にあるのか?」「単なるインプット不足ではないか?」など、批判的な立場からさまざまな問いかけを行うと、正しい指導につながります。
また「このままでは目標を達成できないため、今週はアポイント数を2倍に増やします」と言われたとしましょう。「なぜ2倍なのか?」「今週のみでよい根拠はあるのか?」と問いかけていくと、適切な目標設定につながります。クリティカルシンキングにより適切なミーティングを行い、効果的な人材育成に役立てましょう。
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資料をダウンロードするクリティカルシンキングにおける基本ポイント3つ
クリティカルシンキングを実施する際に、前提として押さえておきたい3つのポイントを解説します。
目的(イシュー)を意識する
クリティカルシンキングするときは、まずは「目的(イシュー)」を意識しなければなりません。クリティカルシンキングには物事を批判的にとらえる特徴があるため、考える範囲が広がりすぎて収束が難しくなる恐れもあるためです。論点がブレると正しい答えを導き出せず、あれこれ考えているうちに時間もかかってしまいます。考えている内容が本筋から外れてはいないか、確認しながら思考しましょう。
思考のクセを認識して考える
長年の経験からできた思考のクセは、クリティカルシンキングを行ううえで障害となります。「この考えは自分の主観に偏っていないか?」「経験による推測で発言していないか?」といったように、つねにクセをチェックしながら思考する必要があります。数人で議論する場合、他者の思考のクセも意識すると、客観性の高いクリティカルシンキングが可能です。
問い続けて本質を見出す
クリティカルシンキングからひとつの結論を導き出しても、その結論すらも疑い問い続ける意識が大切です。問い続けた結果、導き出した結論が本質とズレていたとわかるケースもあります。また、考え続けるうちに知識が高まっていくと、より適切な結果を導き出せるかもしれません。
時間の経過とともにビジネスを取り巻く状況が変われば、結論づけたことが通用しなくなっている場合もあります。問い続けてその時点でベストな結論を見つけることが、クリティカルシンキングのポイントです。
クリティカルシンキングに役立つ思考のフレームワーク
クリティカルシンキングに役立つ、思考のフレームワーク(枠組み)を紹介しましょう。思考する過程が決まっていれば、スムーズにクリティカルシンキングを実践できます。
「So what?」「Why so?」「True?」の3つの問い
クリティカルシンキングにおける基本ポイント3つとして、「問い続ける」姿勢の重要性を解説しました。問い続けるには、「So what?」「Why so?」「True?」の3つの問いが役立ちます。
- 「So what?」:データから読み取れる内容を考えるときに使う
- 「Why so?」:考えに至った根拠を探る問い
- 「True?」:本当にそう言い切れるかを疑う問い。思い込みや主観を避けられ、本質を捉えた議論につながる
MECE(ミーシー)
MECEは、「Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive」の略語で、「モレなくダブリなく」という意味を持ちます。ビジネスで正確な判断を下すには、思考すべき要素にモレやダブりがないかを確認しなければなりません。MECEを意識すると、思考すべき内容がシンプルになるため、速やかに本質をとらえた結論にたどり着きます。
ピラミッド・ストラクチャー
ピラミッド・ストラクチャーは、結論と根拠をまとめて論理的に考えるための思考法です。結論の下に根拠を並べていくとピラミッド状態の構造ができあがるため、ピラミッド・ストラクチャーと呼ばれています。ピラミッド・ストラクチャーを用いると、その結論に至った理由が整理されやすく、納得させられる説明ができるのです。ピラミッド・ストラクチャーが完成したら、「So what?」「Why so?」「True?」の問いで、矛盾がないか確認しましょう。
クリティカルシンキングの実践ワークのやり方・例題
研修や複数人の議論などで実践ワークをするときは、以下のように進めましょう。ここからは「人材不足に関するクリティカルシンキング」を例に挙げてワークの進め方を解説します。
自社の離職率の高さを課題に挙げ、課題解決に向けクリティカルシンキングで取り組む例です。まず社員Aが「人材が辞める理由は労働環境にある」と提案したとしましょう。ほかの社員は「本当に離職率が高い原因は労働環境にあるのか?」「労働環境の他に原因があるのではないか?」「労働環境に問題がある点に、社員の意見による裏づけはあるか?」など批判的な問いかけを行います。
問いかけを続けると、離職率が高い理由について本質を見極めていけるのです。本質を見極められたら、課題を洗い出して解決策を検討しましょう。
組織におけるクリティカルシンキングの鍛え方
組織全体でクリティカルシンキングを鍛えていく方法として、eラーニングや研修を紹介します。
eラーニングを活用する
eラーニングとは、インターネット上に配信されたコンテンツをパソコンやタブレットなどを用いて学習する方法のこと。業務の空き時間を活用して効率よく学習を進められるので、大勢のスケジュールをすり合わせる必要がありません。またeラーニングなら、担当者は既存の教材を配信するだけで研修を開催できます。企画から実施するまでの工数を減らせるのも、eラーニングのメリットです。
研修を開催する
研修には、集合型研修やオンライン集合研修などさまざまな形態があります。
オンライン集合研修なら、ネット環境さえあれば研修に参加可能です。研修のために大きな会議室を押さえたり、開催地までの高額な交通費を準備したりせずに済むため、開催側の負担を抑えられるでしょう。
ただし、オンライン集合研修ではお互いの反応を読みにくく、講師のスキルがとわれます。また、グループワークでお互いの距離感をつかみにくいかもしれません。それぞれの研修の特徴を把握して、社員に合う研修を開催しましょう。
組織でクリティカルシンキングの強化を図るなら「manebi eラーニング」
組織でクリティカルシンキングを強化するなら「manebi eラーニング」がオススメです。「manebiラーニング」は、eラーニングとオンライン集合研修を提供する社員研修トータルソリューション。eラーニングとオンライン集合研修を組み合わせて、より効果の高い社員研修を開催しましょう。
「manebi eラーニング」では5,000以上もの豊富なコンテンツを取り扱っており、自社で作成した研修動画もカリキュラムに組み込めます。アンケートやテスト機能も搭載されているため、受講生の理解度を確認するのも可能です。また、受講を促す機能が搭載されているので、円滑に研修を受けてもらえます。
自社でクリティカルシンキングの強化を図ろう!
クリティカルシンキングは、批判的な視点から物事をとらえ、本質を見極めて正確な判断を下す思考法です。近年、ビジネスシーンは目まぐるしく変化しています。組織が発展していくために、クリティカルシンキングは欠かせない思考法です。
組織でクリティカルシンキングができる人材を増やしていくと「客観性の高い議論ができる」「斬新で質の高いアイデアを創出できる」などさまざまなメリットを得られます。
クリティカルシンキングの強化を図るなら、「manebi eラーニング」がおすすめです。ぜひご活用ください。
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