企業によって新入社員研修は1日で終わらず、数日から数か月にかけて行います。また新入社員研修はセミナーと異なり、多様なカリキュラムを適切にスケジューリングすることが大切です。
本記事では新入社員研修のスケジュールを適切に作成する方法や目的、手順、具体例などについて解説します。新入社員研修のスケジュール作成の方法としてぜひ参考にしてください。
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資料をダウンロードする新入社員研修のスケジュールを作成する目的
人事担当者として新入社員研修のスケジュールを作成する主な目的として以下が挙げられます。
- 効率よく研修を進められる
- 指導者と新入社員の認識を共有できる
- 目的やゴールを明確にできる
効率よく研修を進められる
新入社員研修のスケジュールを作成しておくと、指導者と新入社員、どちらも「次に何が行われるのか」「誰がどこにいるのか」わかるため、連携力が強化され効率よく研修を進められます。もしスケジュールを作成せずに新入社員研修を行った場合「どのタイミングでどこに移動するのか」「何を用意しておくべきか」などつねに確認しなくてはなりません。
それにより「定刻になってもカリキュラムが始まらない」「受講者がそろわずに始められない」状況もありえます。無駄な時間が増えて、非効率な研修になってしまうかもしれません。
指導者と新入社員の認識を共有できる
新入社員研修は、複数日をかけて行われる場合も多いです。スケジュール表がなく指導者から口頭でスケジュールを伝えられるだけでは聞き漏れや聞き忘れが生じる可能性があります。その結果、新入社員と指導者の間に認識の違いが生じるリスクが考えられるでしょう。
新入社員研修のスケジュールを作成すると、指導者と新入社員のミスを防いで認識を共有できます。その結果、研修をスムーズに進められ、高い成果を得られる可能性が高まるのです。
目的やゴールを明確にできる
新入社員研修のスケジュールを作成すると、新入社員に研修の目的やゴールを明確に伝えられるため、実務に対するモチベーションの維持につながります。「研修によって何を習得できるのか」「何を得られるのか」がわかり「指導者が何を重視しているか」「企業がどのような人材をもとめているか」などもイメージしやすくなるでしょう。
新入社員研修のスケジュールを作成する手順
新入社員研修のスケジュールを適切に作成するには、手順を踏んで進めていくことが重要です。ここでは、新入社員研修のスケジュール作成をスムーズに進める手順を紹介します。
研修の予算を決める
企業にとって新入社員研修は、重要な事業計画のひとつでもあります。まずは新入社員研修の予算を決めるところから始めましょう。予算を決めずに進めてしまえば、あとになって重要なカリキュラムを組み込めなくなったり、外部講師に支払う報酬が足りなくなったりといったリスクが生じてしまうかもしれません。
これらのリスクを回避するには、まずおおまかな予算を立て、そのなかで必要なカリキュラムや外部委託する内容を詰めておくことが重要です。研修に必要なカリキュラムや外部委託する内容は前年度の研修内容や成果を参考にします。
外部委託する場合は複数の会社に見積もりを依頼しましょう。また、要件に該当すれば助成金や補助金が受けられることがあるので確認しておくと安心です。
経営者・現場社員にヒアリングを行う
新入社員研修のスケジュールを作成する際は、事前に経営者や現場社員にヒアリングを行い、新入社員に何を求めているのかを明確にすることが重要です。現場の声を聞かずにスケジュールを作成してしまうと、実際の業務内容とはく離したカリキュラムになってしまう可能性もあります。予算と時間をかけて研修を行っても、いざ現場に出てみたら研修で得た知識が使えないのでは意味がありません。
具体的には、実際に配属された際に知っておいて欲しいことや、身につけておくべきマナーなどをヒアリングしておきましょう。また2年目の社員に対して、研修で身につけられたことや実務で役に立った内容、カリキュラムとして取り入れるべき内容などをヒアリングするとよいでしょう。
新入社員にヒアリングを行う
研修を受講する側である新入社員へのヒアリングも忘れずに行いましょう。たとえば事前アンケートを実施し、一人ひとりが持つスキルや知識などを把握しておくと、より実践的なカリキュラムを組めるようになります。
新入社員の現状を把握するには、事前アンケート以外に入社試験の結果も参考にしてください。取得資格や語学力、PCスキルやライティングスキルなど、把握できない点については、事前課題を提出してもらうのもよいでしょう。貴重な時間を割いて行う研修の効果を高めるためにも、新入社員の現状把握は手間をかけて行い、研修内容を充実させることが重要です。
研修の目的や目標を決める
新入社員研修を実施する目的や、目標を具体的に決めておくのも大切です。また、研修内容に応じて、何をいつまでにどこまでできるようになるかを明確に決めておくと、研修の成果が可視化されます。目標を設定するポイントは、曖昧ではなく明確な基準を設けること。
たとえば「経理システムの操作方法を覚える」だけでは具体的に何ができるかがわかりません。「電子請求書発行システムで電子請求書を発行できるようになる」「経費精算システムで領収書の自動仕訳の設定ができる」など具体的に設定します。
そのほかにも「取引先へのお詫びメールのマナーを知っている」ではなく、「お詫びメールを作成できる」のように多様な解釈ができてしまわないよう、明確な行動状態を設定しましょう。
必要な研修カリキュラムを決める
研修を行う目的・目標設定をしたら、次は目標を達成するための具体的なスキル・知識を得るためのカリキュラム選択を行います。たとえば「お詫びメールを作成できる」を目標とした場合に必要なカリキュラムは「ビジネスマナー」や「ビジネスライティング」です。
このように目標達成に必要なスキルや知識を得るにはどのようなカリキュラムを用意すべきかを決めていくと、実践的な研修のスケジュール作成が可能になります。
外部委託するカリキュラムと社内で実施するカリキュラムを決める
新入社員研修はカリキュラムの内容が多岐にわたるため、すべてを社内だけで実施するのは難しく、高い成果を生み出しにくい可能性もあります。カリキュラムの内容によって、社内で実施できるものと、外部への委託が必要なものを整理するとよいでしょう。
たとえば、自社が属する業界動向についての講義は社内で実施できます。自社の概要や沿革、社内設備や部署に関することは役員や人事、総務の担当が指導者になることが多いでしょう。
外部への委託が必要なカリキュラムとしては、ビジネスマナーやビジネスライティングなどが考えられます。社内で専門的な指導ができないものを外部に委託すると研修内容の質を担保できるでしょう。
研修関係者の予定を調整・スケジュールを組む
外部に委託した講師の予定や、社内講師の予定などを確認しながら、新入社員研修のスケジュールを組みます。特に外部に委託するカリキュラムは、早めに委託先に連絡を取っておかなくてはなりません。新入社員研修はどの企業も実施時期が重なりやすいため、人気が高い講師は早々にスケジュールが埋まってしまうかもしれないからです。
また、受講者が多く社内で研修を行うことが難しい場合は、貸し会議室やレンタルスペースなどの予約が必要になります。そのほか「製造系の企業で工場実習がある」といった場合、繁忙期と重なると実習ができなくなるため、事前の確認を怠らないようにしてください。
研修内容・実施方法をスケジュール表に落とし込む
研修内容が決まり、関係各所との調整も取れたら実際にスケジュール表に落とし込んでいきます。外部の講師に依頼しているカリキュラムはとくに、日にちや時間に間違いがないか、二重・三重にチェックしましょう。
また、どれだけ調整してもトラブルによる突然のリスケジュールが必要になる場合も想定しておかなくてはなりません。たとえば「台風や交通機関のトラブルなどにより受講者が会場に来れない」といったケースです。「カリキュラムを録画しておく」「Web会議システムやeラーニングを活用する」などの対策も準備しておくとよいでしょう。
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資料をダウンロードする新入社員研修のスケジュール例
ここで一般的な新入社員研修のスケジュール例を紹介します。
一日目のスケジュール例
時間 | 研修内容 | 研修指導担当者 | 形式 |
8:30~9:00 | オリエンテーション(朝礼・講師紹介) | 人事部 | 講義 |
9:00~10:00 | アイスブレイク | 人事部 | グループワーク |
10:00~10:10 | 休憩 | ||
10:10~11:00 | 会社概要・沿革 | 人事部 | 講義 |
11:00~12:00 | 自社が属する業界動向の解説 | 役員 | 講義 |
12:00~13:00 | 昼休み | ||
13:00~14:00 | 社内見学・部署の紹介 | 人事部 | |
14:00~15:00 | 就業規則についての解説 | 人事部 | 講義 |
15:00~15:20 | 休憩 | ||
15:20~16:20 | 社内設備、備品についての解説 | 総務部 | 講義 |
16:20~17:00 | 振り返り・質疑応答 | 人事部 | 講義 |
二日目のスケジュール例
時間 | 研修内容 | 研修指導担当者 | 形式 |
8:30~9:00 | 朝礼・昨日の振り返り | 人事部 | 講義 |
9:00~12:00(10:30~10:50 休憩) | ビジネスマナー(身だしなみ・電話対応・来客対応・訪問マナー・名刺交換など) | 外部講師 | ロールプレイング |
12:00~13:00 | 昼休み | ||
13:00~14:30 | コンプライアンス・セキュリティについて | 総務部・情報システム部 | 講義 |
14:30~14:50 | 休憩 | ||
14:50~16:20 | ビジネスライティング研修 | 外部講師 | グループワーク |
16:20~17:00 | 振り返り・質疑応答 | 人事部 | 講義 |
三日目のスケジュール例
時間 | 研修内容 | 研修指導担当者 | 形式 |
8:30~9:00 | 朝礼・昨日の振り返り | 人事部 | 講義 |
9:00~12:00 (10:30~10:50 休憩) | プロジェクト研修(自社新規ブランド立ち上げ・新規事業の創出など) | 外部講師 | グループワーク・課題提出 |
12:00~13:00 | 昼休み | ||
13:00~16:20 | プレゼンテーション研修(自社既存商品のキャッチコピー作成・プロモーション戦略立案など) | 外部講師 | グループワーク・課題提出 |
16:20~17:00 | 振り返り・質疑応答 | 人事部 | 講義 |
初日に基礎の講義を行い、二日目にビジネスマナー、三日目にグループワークというのが一般的な新入社員研修のスケジュールです。
新入社員研修のスケジュールを作成するポイント
新入社員研修のスケジュール作成をスムーズに進めるためのポイントとして以下の内容が挙げられます。
- 基礎を先に実施する
- 具体的な目標を意識して作成する
- 場所や受講者の人数を早めに把握しておく
- 内容を詰め込みすぎないようにする
- 研修後はアウトプットする時間を作る
- 社外研修のスケジュールは先に決めておく
基礎を先に実施する
新入社員研修のスケジュールを作成する際は基礎を先に実施し、実践的な内容をあとに回すと成果が上がる可能性が高まります。たとえば、足し算や引き算、割り算やかけ算などの四則計算ができない状態で関数を教えても理解できません。同じようにビジネスマナーや業界動向などがわからない状態で実務を教えても、理解しにくいでしょう。
「基礎の内容を指導して理解した」と確認したうえで、実践的なカリキュラムを実施すると研修の充実度が向上します。
具体的な目標を意識して作成する
新入社員研修のスケジュールは、具体的な目標を意識して作成しましょう。たとえば、下記のようなものです。
・研修では基礎的な部分だけを習得し、実践的な部分は現場で指導する企業:講義やロールプレイングを増やす
・現場ですぐに独り立ちできることを目標とする企業:グループワークを増やす
「研修が終わったとき、どのような状態になっていてもらいたいか」を意識してスケジュールを作成します。また、具体的な目標は指導者側だけではなく新人社員側とも共有しておくとよいでしょう。研修に臨むモチベーションも向上し、高い意識を持って研修を受講できます。
場所や受講者の人数を早めに把握しておく
研修を行う場所の予約や受講者の出欠はできるだけ早めに確定して、把握しておきましょう。研修を行う場所は音響設備や一定の広さが必要になるため、開催ギリギリになってから変更するのは困難です。
自社内はもちろん、貸し会議室で行う場合でも重複予約がないよう、早めに場所の確保をしたうえで管理者との確認も忘れずに行いましょう。
また、オンラインで研修を行う場合、当日になって「登録をしていない」「音声が聞こえない」といったトラブルが起きるリスクもあります。必ず事前登録し、音声チェックもしておくように伝えておき、当日はスムーズに進むよう準備をしておきましょう。
内容を詰め込みすぎないようにする
新入社員研修はやるべきカリキュラムが多岐にわたるため、多くのことを無理に詰め込んでしまいがちです。しかし、短期間で習得できるスキルには限界があります。これまで学生であった新入社員にいきなり多くの内容を伝えようとしても適応できず、仕事に対するモチベーションが低下してしまうかもしれません。
高いモチベーションを持って研修に臨んでもらうためにも1日に多くの内容を詰め込みすぎず、3日程度にわけて実施するようにしてください。徐々に慣れてもらえるように工夫すると理解も進み、研修の効果も高まるでしょう。
研修後はアウトプットする時間を作る
研修はインプットだけでは定着が難しいもの。1日のなかで必ず振り返りを行い、アウトプットをする時間を設定するのも欠かせません。その日の最後や翌日の朝にこれまでの研修内容を振り返り、得たことを実務でどう生かしたいかを互いに話し合えばモチベーションアップにもつながります。
また、わからないところや不安な点がなくなるよう、質問時間を設けたり、確認テストを行ったりすれば、定着率も高まるのでオススメです。
社外研修のスケジュールは先に決めておく
社外研修を行う場合は、まず社外研修のスケジュールを決め、それに合わせて社内研修のスケジュールを決めるとスムーズに進みます。社内での研修スケジュールはある程度調整可能です。
しかし、社外研修はあらかじめ実施する日程が決まっている場合も多く、調整できない可能性も高いでしょう。社外研修後から入れ込もうとしても日程が合わなくなるリスクがあります。まず社外研修のスケジュールを決めておけば、後から再設定する必要もなくなるでしょう。
テンプレートを活用したスケジュール表の作り方
スケジュール表を効率的に作成するには、テンプレートの活用がおすすめです。ここでは、代表的なテンプレートとして、3つの方法を紹介します。
Excelを活用した方法
スケジュール作成を行うテンプレートのなかでも、最も汎用的なのがExcelのテンプレートです。1日・月間・年間のスケジュール作成が可能で、シンプルで使いやすいデザインのため、ほかの研修スケジュール作成でも活用できます。公式サイトからダウンロードするだけで使用できるので便利でしょう。
活用する際は、次のリンクからテンプレートをダウンロードしてください。
ガントチャートを活用した方法
ガントチャートはGoogleのスプレッドシートにあるテンプレートのため、複数人での編集が可能です。Googleスプレッドシートを開き、画面右上にある「テンプレートギャラリー」をクリックすると、「プロジェクト管理」にガントチャートがあります。アドオンの拡張機能も使えるため、カスタマイズしながら自社に合ったスケジュールの作成が可能です。
Notion(ノーション)を活用した方法
Notionとは、ブラウザ上でメモやタスク、ドキュメント管理などを行えるアプリです。さまざまなテンプレートが公開されていて、基本的には無料で使えるため、日本での利用者も増加しています。スケジュール作成を行うには、「プロジェクト管理」や「講義スケジュール」のテンプレ―トが便利です。また、デスクトップ版やモバイル版もあるので、状況によって使いわければ効率的にスケジュールを作成できるでしょう。
プロジェクト管理
https://www.notion.so/ja-jp/templates/project-management-template
講義スケジュール
https://www.notion.so/ja-jp/templates/course-schedule
カリキュラムに沿ったスケジュールを作成し新入社員研修をスムーズに進めよう
新卒の新人が対象となる新入社員研修では、多様なカリキュラムをこなし、社会人としてビジネスを行える人材育成を実現させなければなりません。そこで重要となるのがスケジュール作成です。基礎を徹底的に学び、研修後のアウトプットの時間もつくりつつ、社外研修のスケジューリングも同時にこなす必要があるため、担当者に負担がかかります。
スケジュール作成の手順を踏まえ、Excelやガントチャート、Notionなどのテンプレートを上手く使い効率的に進めていきましょう。また、新入社員研修を成功させるには、カリキュラムの精査も欠かせません。社会人としてのマナーやビジネスの基礎にくわえ、企業理念や沿革、文化など多岐にわたるため、重要なカリキュラムがもれても気づけないケースも考えられます。
そこでオススメなのが「manebi eラーニング」です。約5,000以上の豊富なジャンルの教材がそろっているため、カリキュラムの漏れを防げるうえカリキュラム作成のサポートも行っています。これにより、自社に合った適切なカリキュラム策定が実現し、研修の成功確率が高まるでしょう。
新入社員研修のスケジュール作成をスムーズに進めるためにも、導入を視野に入れてみてはいかがでしょう。「manebi eラーニング」について気になるときはお気軽にお問合せください。
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